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とらやさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2101
性別 男性
自己紹介 善人が苦労が報われて幸せになるハッピーエンドの映画、
悪人が出てこないゆる~い世界観の映画、
笑いあり、涙ありの人情喜劇が好きです。

2008年11月19日の初投稿から、早いもので10周年を迎えました。
この間、みんシネのおかげで出会ったいい映画もいっぱいありました。
管理人様、レビュワーの皆様、いつもお世話になっております。
これからもよろしくお願いいたします。
2018.11.19

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1.  アンダーグラウンド(1995) 《ネタバレ》 
第2次大戦から冷戦の時代を経て、製作当時にはまだまだ燻っていた内戦に至るまで、 クストリッツァの祖国の、争いを抜きに語れない悲しき現代史を、登場人物の人生に重ね合わせ一気に見せる叙事詩。 いつの間にやって来たのか、クストリッツァ映画のレギュラーとも言える大勢の人物に紛れ登場する楽団が奏でる賑やかなジプシーブラスは クストリッツァならではの力強い人間描写と共に時に陽気にコミカルに、過酷な中にも日々を懸命に生きる人々を称える人間賛歌でもありますが 時にはその人間模様が狂気じみても見え、時には何とも滑稽にも見えます。人間と戦争を彼らしい描き方で強烈に皮肉り風刺する。 賑やかな音楽と共に彼の映画に欠かせないのが動物ですが、本作ではその動物たちが空襲により傷つき血を流し死んでいく様も描かれます。 登場する人間達が放つ強烈なまでに人間臭さを感じさせる個性、 全てのシーンにみなぎる力強さとスケールの大きさに圧倒される3時間はあっという間に過ぎていく。 クストリッツァらしく賑やかな結婚式のラストですが、賑やかな宴の一団のいる陸地は分断され不安定に漂っているように見える。 祖国ユーゴスラビアもまたいくつにも分断し、今後どうなっていくのだろう? 「この物語に終わりはない」というラストもまた考えさせられる。 「映画の持つチカラ」というものをとても強く感じる作品です。 クストリッツァという人を知るにはやはりこの映画だと思うし、彼の最高傑作であると思います。
[DVD(字幕)] 10点(2017-12-27 16:25:15)(良:1票)
2.  奇人たちの晩餐会 《ネタバレ》 
映画を見て久々に腹の底から笑わせてもらいました。フランシス・ヴェベールの監督作を見るのはこれが3本目。どれも90分足らずの短い尺の中にしっかり笑いのツボがあり、どれも本当に面白い。  本作は超がつくほどの「バカ」な善人の主人公の行動で笑わせながらも、それをバカにする男のバカさも一緒に描く。爆笑の中にも皮肉が効いています。この人はどの作品も自らが脚本も手がけていますが、本作の脚本は見事だと思います。最初から最後まで、至る所にちょっとした行動のズレがもたらす笑いドコロが見事なまでにテンポ良く配置されています。  ラストの主人公の「バカ」の思わぬ行動に、“奇人たちの晩餐会”の仕掛け人が発する「次の晩餐会では僕が客になるよ。僕こそバカだった。」という台詞がいい。バカをバカにしていた男が、本当のバカとは一体誰だったのかに気付く。  しかし、もっといいのはそのすぐ後。本作の最後の最後にかかってきた電話に・・・!やっぱりバカはこっちだったか!一瞬持ち上げておいて、でもやっぱり落して、最後もしっかり爆笑を誘います。  これ、映画館で見たかったなあ・・・。上映中は爆笑の渦だったんだろうな。僕もそこで一緒に笑いたかったな。
[DVD(字幕)] 10点(2013-11-19 22:42:16)(良:1票)
3.  愛が微笑む時 《ネタバレ》 
観ている間中何度も笑って泣いて、素晴らしい映画でした。4人が天国に行く前に叶えたい最後の望みがどれもささやかなのものなのですが、それがいいんですね。男2人に女2人、この4人それぞれのキャラのバランスが絶妙。バスのお迎えが来て一人ずつ天国に旅立っていくその表情がとても清々しくてみんなとてもいい笑顔なのが印象に残ります。一人ずつ仲間が減っていくのは淋しさもありますが、人は一人で生まれ一人で死んでいく、ということだったのでしょうか。この4人のような顔をして天国に旅立っていけるような人生を送りたい。彼らの表情を見ながらそんなことを考えていました。そんな4人の望みをかなえるロバート・ダウニーjrの変幻自在の演技が素晴らしく、やはりこの人は名優なんだなと思います。惜しいのは邦題。この可もなく不可も無いラブコメのような邦題で決定的に損をしています。しかしとても分かりやすくて、深い。いい映画でした。
[DVD(字幕)] 10点(2010-05-26 21:50:07)(良:1票)
4.  ラヴソング 《ネタバレ》 
先日、近所のレンタル店に置いてないある映画のDVDを探しにDVDの量販店に脚を運んだ。「やった!見つけた!」ふと、その隣に置かれていたDVDに目が行った。普通なら素通りする。でも、「ラヴソング」・・・。思い出した。そういえば、タイトルしか覚えてないけどみんなのシネマレビューで凄い高得点の映画だったなあ。しかもプライスダウンコーナーに無造作に並んでいる。2枚買っても2600円か。これも一緒に買うか・・・。という全くの偶然が重なり手にした本作。感動しました。本当に優しくて素晴らしい映画でした。マギー・チャンがその表情で魅せる表現力豊かな素晴らしい演技と不器用で素朴な男を演じたレオン・ライ。2人の魅力が見事なまでに融合した。そんな2人の挙げればキリが無いほど素敵で素晴らしいシーンが随所にちりばめられています。そして、そんな印象に残るシーンの多くでこの2人に必要以上に語らせすぎないところがいい。その表情で見せる確かな演技力で2人の気持ちが痛いほど伝わってきます。特にラストシーンは「同志」であり、「親友」である2人に言葉は要らない。あの澄みきったマギーの笑顔が全てを物語っているし、マギーのその笑顔に心が洗われるような気がした。そのラストに続く、冒頭では分からなかった香港に着いた列車の車中で疲れて眠っているレオンの後の座席。そこに実に効果的にテレサ・テンの歌が重なる。みんなのシネマレビューのお世話になっていなかったら、出会うことなく素通りしていたであろうこの映画。みんなのシネマレビューと、レビュワーの皆さんに心から感謝いたします。
[DVD(字幕)] 10点(2009-07-29 19:22:49)(良:2票)
5.  男はつらいよ 寅次郎紅の花 《ネタバレ》 
シリーズ最終章となってしまった作品ですね。最後の柴又への帰郷のシーン、リリーの乗る車に寅さんが乗り込むシーンは何度見ても本当に感動します。「寅さん、どこまで送っていただけるんですか?」「男が女を送るって場合はなァ、その女の玄関まで送るってことよ。」寅さんがカッコ良過ぎると共にこのタクシーの場面はシリーズ史上に残る名場面だと思います。結果的に最終章となってしまった本作のマドンナがリリーで本当によかったと思いますし、シリーズ最終章にふさわしい作品になっていると思います。リリーとの結婚を見たかった気もするけど神戸に行った後、きっと寅さんは奄美に帰る。そう思える。それだけで十分だとも思います。神戸のエピソードは震災後、復興に立ち上がった神戸の人々がぜひ寅さんに神戸に来てもらって神戸を元気付けて欲しいという、神戸の人々の熱い思いで実現したそうですね。最後まで人々に元気と笑いと感動を与え続けてくれた渥美清さん。寅さん。本当にありがとうございました。永遠に輝き続ける世界映画史上屈指の名シリーズ、「男はつらいよ」に心からの感謝を込めて10点を差し上げたいと思います。
[CS・衛星(邦画)] 10点(2009-01-18 18:24:19)(良:3票)
6.  ロザンナのために
久しぶりにいい泣き笑いのある映画を見ました。ジャン・レノ主演の隠れた傑作です。 人の死がテーマにあり、本来なら笑えるお話ではないのですが、 死体をめぐり少々ブラックな笑いを含みつつも夫婦愛という下地がしっかりとしており、 これが素晴らしきハートウォーミング・コメディとなっています。 余命僅かの最愛の妻の最後の願いを叶えるために右往左往するジャン・レノ。 ドタバタもするしその姿はかなり滑稽ですが、それでいて最高にいかしている。ジャン・レノ見事な名演。 その間に挿入される、夫婦が互いを思いやる短いシーンの1つ1つがいい。 落としドコロをどうするのかと思っていたら、このラストには参りました。 その直前の展開があっただけに、感動的なのですが涙よりもほっと笑顔になれる。素晴らしい結末でした。
[DVD(字幕)] 9点(2021-01-23 20:18:01)
7.  スピード(1994)
何度見ても本当に面白い。2時間ってこんなに短かったっけ?鑑賞後はまずこんな素直な感想が出てくる作品です。 アクシデント発生、知恵と勇気を絞り何とか最悪の事態を回避。 束の間の安堵、見る者の緊張感をほんの一瞬緩めておいて、更なる危機が発生。 このテンポのいい一難去ってまた一難の繰り返しが素晴らしい。 何をやらかしたのか、何かから追われている乗客の男、一瞬ハッとさせるベビーカー、工事現場、最後の手錠…。 細かいところまで全く手抜かりがありません。 キアヌが完璧なカッコよさ。サンドラも飾り気のない、しかしチャーミング。彼女の持ち味が十分に出ている。 冒頭の作品のプロローグ的な扱いのエレベーターも十分に面白いし最後は地下鉄に場所を変えますが、 中だるみや隙間がほとんど無い。ノンストップアクションのお手本のような映画です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2019-06-02 10:50:07)
8.  いつか晴れた日に 《ネタバレ》 
ジェーン・オースティンの原作を読んだことはありませんが、 「分別と多感」を読んでいると恐らくは本作のような光景を想像するのだろう。 人々の暮らしのすぐそばにある豊かな自然、手入れされた庭園と、その先に一面に広がる緑あふれる風景。 映像も、控え目に挿入される音楽も、とても美しい。控え目で奥ゆかしく上品で、それでいて情熱的。 ラストはよくあるハッピーエンドなのかもしれません。しかし、邦題の通り晴れ渡る空の下に笑顔がはじける結婚式、 そこに至るまでの登場人物の紆余曲折、心の機微を繊細なタッチで見事に描き出す。 だからこそラストの幸せな結婚式の風景とその直前、長女エレノアが感極まり言葉にならず泣き崩れるシーンが印象的で説得力があります。 脚本も兼任し、本作で女優業以外でもアカデミー賞に輝いたエマ・トンプソン。 原作と本作、そして演じる長女エレノア役に対する彼女の思い入れの深さをひしひしと感じさせられました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-11-01 21:10:27)
9.  クール・ランニング 《ネタバレ》 
どこまでも陽気で前向き。本職の陸上競技でオリンピックの夢を絶たれてもなんのその。 ボブスレーという競技を知り、即決でオリンピックを目指す4人組の勢いが実に気持ちがいい。 「がんばれ!ベアーズ」のウォルター・マッソーを思い出させるようなジョン・キャンディのコーチぶりも素晴らしい。 南国を思わせるカラフルな普段着も防寒着も、白銀の世界に響くレゲエも作品の陽気な雰囲気を見事に作り上げている。 ボブスレーでは弱者である彼らが、困難に直面し強豪国の白人のエリート選手から馬鹿にされても、 どこまでも陽気で前向きな「プライド!パワー!」の合言葉どおりの彼らを応援せずにいられなくなる。 素晴らしきスポーツコメディです。 ゴールシーンはフィクションのようですが、観客も母国でTVの前で応援している人達も反目していた父も、 馬鹿にしていた強豪国の選手達も、コーチと敵対してた人物も、皆が4人の健闘を称えリスペクトする。 スポーツ映画のラストにふさわしい感動があります。やはりスポーツ映画にはこんなベタなラストがよく似合います。 メダリストだけがヒーローじゃない。近年は色々な問題もありますがやはりオリンピックっていいもんだなと思わされる作品です。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2017-01-28 15:16:04)
10.  暗い日曜日 《ネタバレ》 
名曲「暗い日曜日」まつわるエピソードは聞いたことがありましたが、 その曲をモチーフにした、こんなストーリーがあったとは・・・。 あまりにも美しい1人の女と3人の男。それぞれの人物像と、彼らの心の配置が見事という他に無い。 戦争の時代を描いたドイツの映画特有の重さはあるのですが、 「暗い日曜日」の旋律の如く美しく悲しく、そしてエロティックでサスペンスフルで、何と上品な映画か。 3人の男のうち2人は戦争中に命を落とす。しかし、イロナには新しい命が宿っている。 ラストで作品は冒頭に続く現代に戻る。60年の時を経ての3人目の死。あの店で、あの曲が流れている中で・・・。 店の奥で息子が母の誕生日を祝っている。洪水の後も、彼女は洪水を忘れることなく力強く生き抜いたのであろう。 とても静かですが、重みを感じさせるラスト。そして常に死を感じさせる作品でありながら、 鑑賞後の後味は上質のワインでも味わった後のような余韻が残ります。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-11-20 16:36:38)
11.  シザーハンズ 《ネタバレ》 
ティム・バートンのダークファンタジーの傑作。 周りの様子を伺うように目をキョロキョロさせる。Jデップはコミカルな演技の中にに孤独感のようなものを見事に両立させて見せる。 ダイアン・ウィーストも素晴らしい。彼女ならではの微笑をたたえた独特の演技、魅力を存分に見ることが出来ます。 作品の舞台となる町の家の外観に、朝いっせいに出勤するクルマの色に室内装飾に女性達の衣装。 淡いパステルカラーでまとめられ、エドワード作の奇抜な植木が家々の庭先を飾っている街並。 夜の暗闇の中、エドワードが降らせる雪の中をウィノナが舞うシーンも美しく印象的。 ファンタジーならではの架空の世界を思わせる町。しかしそんな町にいるエドワードはやはり徹底的に異質な存在。 まるでゴシックホラーの雰囲気を漂わす町外れの古城の雰囲気もやはり異質。 中盤まではハサミを活かした特技を発揮し町の人々との交流にも温かみを感じさせながらも、 噂話好きな町の住民達にウィノナ演じる娘のカレの存在には思いっきり現実感が漂う。 架空と現実のバランスもいいのですが、これらは確実に悲しい結末を予感させるものでもあります。 エドワードとキム、2人の純愛ラブストーリーでもあるのですが、”goodbye”そしてキスの後、"I Love You” 短い単語に込められた2人の思いが確実に伝わってくる悲しきラブストーリーの結末でした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2016-07-18 22:39:44)
12.  おつむて・ん・て・ん・クリニック 《ネタバレ》 
コメディ職人フランク・オズの傑作コメディです!精神科医リチャード・ドレイファス。その患者ビル・マーレイ。2人の100分間コントのような映画です。  患者が主治医に診てもらいたくて付きまとう。全く悪気は無いのだけど、休暇中の別荘にまでやって来る。付きまとわれ、せっかくの休暇が台無しになり、主治医はイライラ、カリカリ。一方の患者は実に楽しそう。主治医は自分の家族と、付きまとう患者を引き離そうと必死だけど、患者は家族のハートをがっちり掴んでしまいます。家族の使い方も絶妙です。  患者ビル・マーレイは空気の読めない天然キャラで、いつも通りの持ち味炸裂で笑わせてくれるのは当然として、本作の場合、主治医ドレイファスが本当に可笑しいのですよ。終始イライラ、カリカリしているのですが、それを実に面白可笑しく演じています。  最後は何だか立場が入れ替わっちゃいましたけど、一応はハッピーエンド?だからこれでいいのかな?やっぱりフランク・オズのコメディは面白い!
[DVD(字幕)] 9点(2013-11-06 21:47:24)
13.  ターミネーター2 《ネタバレ》 
初見は公開時劇場で鑑賞。以降何度か見ていますが、何度見ても楽しめる映画です。第1作の成功によりシリーズ化された映画はいくらでもありますが、成功をおさめた第1作を遙かに凌駕する、これほどの続編はそうそう出現しないでしょう。そんなに前のことのような気がしないんですが、もう20年以上も前になるんですね。  1から格段にスケールアップし、映像技術の進化に当時は驚きましたが、それだけにとどまらず本作はストーリーも非常に良く出来ています。前作では最強の恐怖の敵だったシュワちゃんをまず最初に登場させ、そしてもう1体のT-1000が登場する序盤は、予備知識無く1→2と初めて見る全ての人を惑わすでしょう。そんな序盤からラストまで途切れることがほとんど無い緊張感の中に描かれる、いかにして近未来の人類のリーダーとなっていくのかというジョン・コナーのストーリーもいい。  T-1000との戦いが終わったあとのT-800とジョンの会話、そしてラストのT-800からジョンへの激励のメッセージの「グー」が泣ける。映画の世界にとどまらず、僕たちが生きる現代社会は物凄いスピードで様々な技術が日々進歩していく。それでも昔から今も変わらないのは、最後はT-800にも伝わった、人間が持つ感情や真心。そんなドラマとしても素晴らしい作品です。
[映画館(字幕)] 9点(2013-06-08 15:23:39)(良:1票)
14.  ノッティングヒルの恋人
小さな本屋を営むごく普通の男とハリウッドスターの恋。おとぎ話のようでもありますが、その中にあるリアルさや笑いとのブレンド具合が素晴らしい作品です。テーマ曲“She”も見事なまでに本作の世界を歌っています。  ヒュー・グラントのいい味が出まくりです。今回は小さな本屋を営むありふれた男を演じていますが、元々が2枚目俳優であり、ありふれた男の空気を出しながらもハリウッドスターと恋に落ちていく空気も実に自然。  彼の周りにいる善良で愛すべき人々の存在も効いています。お笑い担当のスパイクには良く笑わせてもらったし、(特にパンツ一丁で殺到するマスコミの前でポーズをとるシーンなんて最高ですよ!)ヒューと彼との掛け合いも楽しかった。誰もが憧れる富と名声を得たスクリーンに映るハリウッドスター。その一方で登場する、苦労も抱えていますが支え合って生きている友人夫婦の存在も幸せというものを感じさせてくれるいい存在でした。  映画ファンにとっては思わずニッコリさせられるような映画小ネタも作品の邪魔をせず楽しませてくれます。例えば本屋の店員の男が、「ゴースト」が良かったと言い、ジュリア(本作ではアナ・スコットという女優ですが)とデミ・ムーアを間違えてパトリック・スウェイジの事を聞くくだりとか可笑しかったですね。  アン王女の「ローマの休日」をハリウッドスター、アナの「ロンドンの休日」にしたような、映画史に残る不朽の名作へのオマージュ。
[DVD(字幕)] 9点(2013-02-16 17:45:15)
15.  フル・モンティ
愛すべきトホホな野郎どもの奮闘モノ。僕の大好きなジャンルです。 鉄鋼が人々の生活を支えていた街。不況のあおりで工場が閉鎖してみんな失業してしまって・・・。同じイギリス映画「ブラス!」を思い出すイギリス映画らしい設定。どちらも素晴らしい映画ですが僕は本作の方が好きなんです。  登場する男たちの、男として、夫として、父としてのプライドと、どうしようもない現状。現実の厳しさと漂う哀愁と可笑しさのバランスもとてもいい。彼らのやろうとしていることをどうして馬鹿にすることができようか。不況の真っ只中。また新しい1年が始まる。今年最初に見たこの映画に元気をもらった気がしています。 
[CS・衛星(字幕)] 9点(2012-01-04 20:57:18)
16.  シラノ・ド・ベルジュラック(1990) 《ネタバレ》 
剣の達人にして詩人。まさに文武両道の誇り高き男シラノ。冒頭の決闘の中で装飾品も身に付けない田舎者と馬鹿にされたシラノの「私の飾りは心の中にある。私は心の手入れを怠らないのさ」という台詞がシラノをよく表しています。  そんな男にも容姿というコンプレックスがあり、愛する女への思いの丈を詩にしてもそれを告白する事ができない。もう一人容姿端麗な男クリスチャン。そんな男にも無学というコンプレックスがあり、愛する女に告白する事ができない。同じ女を愛した2人の男の心の機微を見事に描いた人間ドラマです。  クリスチャンの外見を借り、思いの丈を綴り続けるシラノのこの女への純情を演じるドパルデューが極上の素晴らしい演技をみせる。思いの丈を言葉にする滑らかなフランス語の響きが実に美しい。字幕でどれ程本作の台詞の美しさが理解できているのかという疑問も残りますが、本作の日本語字幕もまた素晴らしいと思いました。多様な表現方法を持つ日本語の美しさも再認識。  最後に手紙の主の正体を悟る女。以降ラストまでのドパルデューの演技は圧巻。なかなか味わえない哀しき余韻が残るシラノの人生のハッピーエンドでした。
[ビデオ(字幕)] 9点(2011-08-06 22:06:50)(良:2票)
17.  トト・ザ・ヒーロー 《ネタバレ》 
冒頭のトマ老人の「私の人生は何も無かった」という語り。そう思い込んで生きてきた男の生涯の重苦しい回想でありながらもユーモアのある語り口、陽気な人生讃歌”ブン”の使い方も素晴らしい。  終盤まで自分の人生は何も無かったと思い込んでいたトマ老人がトラックをヒッチハイクする。ドライバーが口笛を吹いていた曲は”ブン”。一台のトラックが追い越していく。そこに大好きだった父と姉がピアノとトランペットで”ブン”を演奏する様子が鮮やかに蘇る。その時のトマ老人の表情と「ずっと君の事が羨ましかった」という思いもよらない告白のシーンが印象に残る。また、青年時代に出会ったある女性との再会を用意したあたりに本作の優しさが感じられます。  不幸な思い込みに心を支配されて生きてきた彼が人生の最終盤でようやく己の人生と正対した。ラストで彼は憧れていたシボレーに乗り飛行機で空を飛ぶ。ずっと彼の笑い声が聞こえている。その姿は見えないけれど、彼の笑顔が目に浮かんでくるようでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2011-05-10 19:07:08)
18.  シティ・スリッカーズ
40歳前後。仕事にも人生にもちょっと疲れがたまってきた冴えないシティ・スリッカー(都会のヘナチョコ)のオッサン3人組が人生リセットの牛追い体験ツアーの旅に出て、バカやったりしながらも元気を取り戻していくというとても単純なお話。  3人組と共にツアーに参加する顔ぶれもいいし、彼らがバカをやる度に大いに笑った。こういう映画は出てくる連中がみんないい奴らで話が単純なほどいいんじゃないかなと思います。  年はとったけど馬にまたがるカウボーイのジャック・パランスがカッコいいんですよ。彼らに多くの影響を与えていく台詞の一つ一つもとても良かったです。それだけに、いなくなるタイミングがちょっと早すぎたのが残念。  今、本作のシティスリッカー3人組と同世代になって見直したら、彼らの弾ける様な笑顔にも辛い思いをぶつける姿にもしんみりと人生を語り合う姿にも、全てに思いっきり感情移入してしまいました。音楽も素晴らしく、途中で挿入される歌の歌詞もとても良かったです。「どんな夢でも叶えられるよ。心さえ若ければ。さあ、105歳まで生きのびて、この世に生きる喜びを知ろう!」とこんな感じだったかな。出来る事なら今、彼らと一緒にこの牛追いツアーに参加したい!と感じながら見ていた僕もちょっと疲れがたまっているのかな・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2011-02-04 23:29:57)
19.  ザ・ペーパー
登場人物も、そのそれぞれのエピソードもこれだけの内容を詰め込みながらも登場人物にも、エピソードにも展開にもムダが無い見事な映画です。  三流新聞社のジャーナリスト、その家族、関係者の人間ドラマを熱く描いた群像劇ですが、話の伏線の張り方やテンポの良さが素晴らしく、熱いだけじゃなくウィットに富んだ台詞の数々も楽しかったです。  仕事へのプライドも家族を思う気持ちも、最後にはそれぞれのドラマが上手くまとまって鑑賞後の気分も爽快な作品です。流石、ロン・ハワード監督の映画ですね。親が子を思う思いにあふれたロバート・デュバルのあのシーンを最後に持ってくるあたりには余裕すら感じられました。非常に中身の濃い110分でした。 
[DVD(字幕)] 9点(2010-10-31 23:05:25)(良:1票)
20.  運動靴と赤い金魚 《ネタバレ》 
確かに主人公一家の暮らしは貧しく描かれる内容は切ない。何度も映し出されるかわいい飾りのついたきれいな靴を履いた同級生の足元を見つめる妹の視線や高級住宅街の街並みを見つめる兄の視線からは貧富の差が確かに感じられます。  しかしその貧しさを強調するよりは路地を力強く駆け抜ける兄妹の姿、高級住宅街の庭師の仕事で収入を得た後、もっと働いて冷蔵庫を買って、お前たちの靴も買って、大きな家に引っ越そうと夢を語り合う自転車に二人乗りする父と息子の姿などを通して貧しくも力強く生きる家族を描く視線には素朴な優しさが感じられます。  その後仕事が順調なことを感じさせる買い物をするラストのお父さんの姿に嬉しくなる。なぜならその自転車の荷台には綺麗な赤と白の2足の靴が・・・!そしてマラソン大会で頑張りすぎてしまった兄が靴を脱ぎ脚を水に浸す。その足元に集まってくる金魚。とても優しく素敵なラストシーンでした。  欲を言えばお父さんが買ってきた靴を見た兄妹の喜ぶ笑顔と喜ぶ子供の姿に満足そうなお父さんの表情も少し離れた所からそっと見せてほしかったなあ・・・。
[DVD(字幕)] 9点(2010-09-11 12:12:58)
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