1. ニュー・シネマ・パラダイス
《ネタバレ》 ◆映画好きの主人公トトと映写技師のアルフレードとの一生涯の関係を描いたヒューマンドラマです。◆映画しか娯楽のないところでは、映画館は、人々が泣いたり笑ったり怒ったりしながら時間を共有する場だったのですね。そして、その中で映写技師は人々の感情を動かすことができる、映画という力を持った重大な存在だったのです。映画館に入れないお客さんのために、民家の壁に映画を映すシーン(大好きなシーン)は、当時の映写技師の技術がいかにお客さんを感動させることに必要だったのかわかります。◆アルフレードが文句をいいながらも映写技師を続けていたのは自分が映画を上映することによって、人々が喜んでくれることが嬉しかったのでしょう。ただし、人々を喜ばせるのは映画自体であって、映写ではありません。本当に人々を喜ばせたいのなら、映画を作るしかないのです。アルフレードは映写ではなく、映画を作りたかったのではないでしょうか。自分の映写で喜んでくれる人たちを見て、これが自分の映画だったらと悩んだのだと思います。◆だからこそ、アルフレードはトトに夢を託した。映写によって人々を喜ばす、という非現実から目覚めて欲しかったのだと思います。◆映画監督になったトトは、現実の世界から、非現実の世界へと戻ってきます。思い出を残しながらも原型を留めていないものたちがトトを迎え入れます。そこでトトは現実の世界に自分を押し出してくれたアルフレードの優しさに気がつくのです。そして、最後のシーン。トトはアルフレードが、映写技師の持てる技術を駆使して作った、稚拙ながらも作者の思いがふんだんに詰まった作品を見て涙を流すのです。 ◆9点を献上させていただきたい。 [DVD(字幕)] 9点(2007-11-10 11:09:42) |
2. 家族ゲーム
◆この映画全てにわたって、快と不快が両立して撮られている様な印象をうけました。◆おいしそうな料理と食べるときの汚い音、夕暮れの色と煙を出す工場、家族の食卓とうるさいテレビの音・・・とにかく全てのシーンに渡って快と不快が両立されている。だから、見ていて何か気持ち悪い。◆ただ、これが15歳、すなわち中坊の時期なのだなと思います。受験に恋愛にライバルに・・・自分にとって不快なものと心地よいものをいっぺんに背負っている時期。そんな彼らの複雑な心境をうまく映し出しているなという印象を受けました。最近僕は、マナーをわきまえずに友達と好き勝手やっている中坊を見ると嫌悪感を覚えているのですが、この作品を見て、彼らも彼らで大変なんだなと思いました。◆まあ、その考えに行き着くまでに、既に僕は映画を見ているあいだ中、口が開きっぱなしでしたので、これはかなり凄い映画なのだと思います。◆終始僕の口を開かせたこの作品でしたが、全体的に何をテーマにしているのか曖昧ですし、ブラックユーモアという印象をあまり受けなかったことから-2点で、8点を献上させていただきたい。 [DVD(字幕)] 8点(2006-11-04 13:44:40)(良:2票) |
3. お葬式
《ネタバレ》 ◆菅井きんの最後の挨拶と火葬場の人の意見が良かったです。◆菅井きんはこれまで必死に感情を抑えていたが、最後の挨拶でこれからの生活について語るとき、悲しさや絶望があふれ出てきたのでしょう、表情は、みるからにくもっていき、声はかすれんばかりになってしまう。言葉と心情の乖離がひしひしと伝わってきたシーンでした。◆火葬場の人の話は貴重でした。火葬場で死体を焼く人って、原発で働く人や、屠場で働く人と同じくらいに社会から存在を抹殺されている職業だなと思いますし、そこに目をつけた伊丹監督は凄い。ルポライターの目を持っているとおもう。◆お葬式の過程を忠実に再現した分、山場などが作りにくく、全体的に平坦になってしまった気はしますが、それは自分が葬式についてよく知らないからで、きっと自分も喪主になって葬式についていろいろと経験していたのであれば、とても面白かったのではないかと思います。そういうわけで、自分の無知を悔やみながらも、また、無知で良かったという思いを含ませつつ、7点を献上させていただきたい。 [DVD(字幕)] 7点(2006-02-13 11:19:48) |
4. マルサの女
《ネタバレ》 ◆今思い返してもふきだしてしまうのが、鍵を隠してすっぽんぽんになった女の人のシーン。あれは素晴らしい。下ネタのレベルが高すぎる。あんなに下品なのに面白いシーンが撮れる伊丹さんは凄いと思います。8てんを献上させていただきたい。 [DVD(字幕)] 8点(2006-02-09 23:33:57) |
5. タンポポ
《ネタバレ》 ◆冒頭のラーメンの先生から、伊丹さんの食に対する姿勢がわかります。いまでこそ、飽食の時代でみなさんおいしいものを求めていますが、それと比べても知識としてはまったく劣らないあたりが凄い。◆配役もぴったりで、それぞれの演技力が素晴らしい。ワインのことについて語るホームレスや、役所広司が死ぬシーン、中でも特に大滝秀治のあの演技はすごい(笑)。◆あとエッチなシーンもいいですね、下手なAVよりどきどきします。伊丹さんは、エロスのつぼをおさえてますね、高尚なエロスといったかんじです。◆ただ、ちょっと過剰な演出が目に付きました。特に、スパゲッティのシーン。ちょっとあれは露骨過ぎます。◆血のついた牡蠣と山芋の腸詰はあまり食べる気になりませんが、食を中心にこれだけの映画を作れる伊丹監督の巧さに8点を献上させていただきたい。 [DVD(字幕)] 8点(2006-02-03 22:02:25) |
6. マッドマックス2
僕の髪を切ってもらっている美容師さんが、「今でも見返すぐらいに好きな作品だ。」といっていたのでみました。うーん、みんなあっさり死にすぎ?犬を殺す必要ある?愛車に爆弾?みたいなかんじです。でも無駄に銃を乱射したり、ハイテクカーで敵を瞬殺したりと、いささか戦闘が激しくなりすぎた昨今の映画に比べればリアルでよかったと思います。スタントマンの行く末を心配してしまうような激しいシーンもあったりして、スカッとしたいときにはいいんでしょうね。たぶん、ストーリーを真剣に追ってしまった僕が悪いのであって、作品自体はいい仕上がりになってるのだと思います。でもやっぱりストーリー重視の僕は5点のボタンを押します。美容師さんごめんなさい m(__)m [DVD(字幕)] 5点(2005-11-11 21:58:23)(笑:1票) |