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目隠シストさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2260
性別 男性
ホームページ https://twitter.com/BM5HL61cMElwKbP
年齢 52歳
自己紹介 お世話になっております。
只今『真・女神転生VV』攻略中のため新規投稿お休みしております。

2024.6.28


※映画とは関係ない個人メモ
2024年12月31日までにBMI22を目指すぞ!!

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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  エル・マリアッチ
脚本だけなら特筆するような作品ではありませんが、ロケーションとキャスティングの素晴らしさが本作を特別な映画に仕上げています。得も言われぬ良い匂い、画面の端々から色気を感じます。本来はハンデとなる低予算もプラスに作用している気がします。刺さる人には堪らないでしょう。出来の良し悪しでは測れない味のある映画。こんなの大好きなんです。
[インターネット(字幕)] 8点(2023-07-22 19:12:05)
2.  ヒルコ 妖怪ハンター 《ネタバレ》 
「何が起きているか」「何故そうなったのか」「どうしたらよいのか」「そもそもヒルコって何?」正直あまり分かりません。『古事記』に由来するそうですが、イザナギ、イザナミ、アマテラス、スサノオあたりのメジャーどころならまだしも、ヒルコと言われても学の無い私のような者にはちんぷんかんぷん。もう少し噛み砕いた説明が欲しいと感じます。ただし「丁寧なら良し」でもないのが映画の面白いところ。テンポが悪くなったり、くどかったりすると逆効果だったりします。本作の魅力は「妙な勢い」と「ハイテンション」であるのは間違いなく、荒削りな脚本とマッチしており、これはこれで正解例のひとつという気がします。ずっとギャーギャー喚いているだけとも言えますが、凄まじい熱量だけは伝わってきましたから。アナログな特撮にはCGでは出せない味わいあり。ジュリーや工藤夕貴弟さんの好演もあり、不思議と満足感のある作品でした。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2022-07-21 22:57:37)
3.  地獄の警備員 《ネタバレ》 
いわゆる『不条理ホラー』。とはいえ、殺人鬼の思考など普通は理解できなくて当たり前。そういう意味では不条理である事が道理であるとも言えます。富士丸の狂気は不条理そのものでしたが、彼の最期は道理に適っており、不条理行動に一貫性がありません。逆に言えばそれがむしろ不条理とも言えなくもなく。何を言っているか分かりますか?自分でも何が何だか分からなくなりました。そう、この難解ぶりこそ、まさに黒澤清映画の証。ただし、私が愛する黒澤ホラーの奥行は本作からは感じ取れず、凡作との評価になります。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-12-20 23:10:51)
4.  友子の場合 《ネタバレ》 
本作がコメディ?とんでもない!大オカルトですよ!超ホラーですよ!軽妙なBGMと効果音、コメディ然とした演技に騙されてはいけません。よくよく観れば、本作は身の毛もよだつ恐怖譚である事が判ります。それでは確認してみましょう。まずはプロローグ。ひょんなことから、主人公はこっくりさんに参加します。そこで示された「呪い」のメッセージ。そう、全ての惨劇はこっくりさんの呪いによって引き起こされたのです。主人公の荷物にも、この事が示唆されていました。父のおつまみ「ちーちーかまかま」は、「血~血~鎌、鎌」と聞こえるし、マンガ本『タッチ』は主要人物が死ぬ縁起の悪い話。リリアンは絞首刑の縄の暗示でしょうか。だって長さが45(死後)メートルですもの。ちなみに主人公のお泊り道具一式をアナグラムしたところ、実に奇怪な文章が浮かび上がったのです!“ウ・ラ・ミ・ハ・ラ・サ・デ~”(長いので省略しますが、大変危険ですので検証はしないように。)バッグは血を連想させる朱色。おびただしい量の荷物は、彼女が背負ったカルマの重さでしょうか。3時間に1本のローカル線で迂闊に下車し、乗り遅れるアクシデントも常識では考えられません。げに恐ろしきは、高校生の分際で芸者をあげてのドンチャン騒ぎ。おまけに美人女将から「松葉崩し」のレクチャーを受けるなんて、うらやまし過ぎる!てか、ふざけるなッ!!青少年にあるまじき行為です。末恐ろしいったら、ありゃしない。これがホラーでなくて何でしょう。極めつけは漁船を使った拉致及び人身売買!恐怖のせいか、友子の顔面が歪んで見えます。まさに悪夢。イッツ、バッドドリーム。この純然たるホラーをコメディに偽装した監督の手腕を、自分は高く評価したいのだ!
[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-10-05 21:26:45)
5.  ラブ&ポップ 《ネタバレ》 
パネルクイズなら、映画ジャンル10点クラスのイージー問題。本編映像のうち、どこでもいいので10秒も流せば、すぐに庵野秀明監督とわかる特徴のある画で溢れています。であるがゆえに、私は開始5分で挫折仕掛けました。少々煩わしい。そういう意味では、劇場作品としては成立しても、家庭視聴には向いていないかもしれません。 時代は1990年代後半。主人公は女子高生。当時の世相や風俗を記録した資料的な価値もあり、公開から20年以上たった今、当時を懐かしむというより新鮮な心持で鑑賞する事ができました。この先、10年20年後とさらに価値を増すのでは。 特筆すべきはエンディングです。生き急ぐ女子高生の、愚かさと切なさ、そして力強さが集約された見事なエンドロールでした。カラオケ歌唱も素晴らしい。ずっと見ていられます。これは『私の優しくない先輩』と双璧を為す邦画史に名を残す名シーンと考えます。 それにしても仲間由紀恵が美しいこと。まさにブレイク前夜の原石のようです。
[インターネット(吹替)] 8点(2021-08-19 07:56:04)
6.  ディープ・インパクト(1998) 《ネタバレ》 
『アルマゲドン』と同年制作。20世紀末に量産された人類滅亡系ディザスター映画の代表格です。とっくに観た気になっていましたが、実は未鑑賞だった事が判明したため、この度のお籠り期間を機に初鑑賞しました。正直いいますと『アルマゲドン』と大差無い気がしますが、本作の方がちょっとだけリアリティ路線のような気がします。最後まで諦めなかった人たちが助かる展開はOK。でも諦めて穏やかな最期を迎えようという姿勢も理解できます。公開当時だったら、また違った感想だったと思いますが。大津波シーンの迫力は、今観ても震えます。こんな映画を観ると、ちょっと本気でシェルターが欲しくなります。
[インターネット(字幕)] 7点(2021-02-20 21:56:59)
7.  クロノス(1992) 《ネタバレ》 
ゴシックホラーの風合ですが舞台は現代。『吸血鬼もの』にも関わらず、コウモリに変化もしなければ、人を襲ったりもしません。お約束の美女を吸血するシーンすらなし。私たちが思い描く『吸血鬼もの』とは一線を画していました。一般的なホラーというジャンルにも当てはまらない気がします。それでいて紛うことなく『吸血鬼もの』の趣。それは吸血鬼映画特有の美しさ(芸術性)が、ギレルモ・デル・トロ監督によって見事に担保されていたからだと思います。さて本作では、錬金術で生み出された『クロノス』という昆虫型機械がドラキュラ伯爵の代わりを務めました。機械内部にはグロテスクな生物の姿。コイツがクロノスのカラクリを使って人を吸血し快楽でその者を支配すると共に、人を不死の生物に変化させる仕組みです。魅入られた美女がドラキュラ伯爵に身を捧げるのとシステム的には大差ありません。効能、常習性、それに伴う代償。機械針で吸血という手法も含め、ドラッグに溺れる中毒患者を彷彿とさせます。一度そう認識してしまうと、もう『麻薬中毒者の末路』を比喩した映画としか見えなくなります。果たして主人公に与えられた選択肢とは、モンスターとして生きるか、人として死ぬかの二択。結末に救いを感じるのは、私たちが人間だからに他なりません。 素晴らしきはギレルモ・デル・トロ監督の映像作家としての実力です。聞けば本作が長編デビュー作との事ですが、どの画の端々にも監督のサインがみて取れるよう。並の監督でないのは一目瞭然でした。物語の骨子は『ドラキュラ』ですが、主人公の姿は『フランケンシュタイン』を模していました。本作のテーマ『人が人たる条件とは何か』を語る上で、人造人間もまた欠かせぬモチーフだったのでしょう。愛する人がいるからこそ、人は人でいられる。それはすなわち、人は一人では生きられないというメッセージと考えます。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-10-20 15:28:59)
8.  黒猫・白猫 《ネタバレ》 
『黒猫・白猫』とは、『失敗と成功』『不運と幸運』『死と生』等に同じ。禍福は糾える縄の如し。だから2匹の猫はいつも一緒。選り好みなんて出来ないし、そもそも雁字搦めだし。それでも全部ひっくるめて『人生を楽しもうじゃないか!』それが本作のメッセージです。情報過多で、のべつ幕無し冗談だらけ。ややもするとごちゃごちゃした印象を受ける物語ですが、張り巡らされた伏線の多さや、(悪ふざけが過ぎるものの)含蓄ある表現に溢れており、反芻すればするほど、その完成度の高さに唸らされます。散々無茶苦茶やっておきながら『ハッピーエンド』の一言で片づけてしまう力業にも痺れました。ケツで釘を抜く歌手の美声と恍惚の表情もたまりませんが、やっぱり一番好きなシーンは『クソまみれの体をガチョウで拭く』ところ。じゃあ、冒頭からずーっと走り回っていた大群はトイレットペーパーだったのかと。動物愛護団体から猛抗議されそうな不謹慎ぶりや出鱈目さが、本作の真骨頂であります。正直言いますと、初回鑑賞時は終始呆気に取られてしまったのですが、2回目の鑑賞はニヤニヤが止まらない始末。中毒性がヤバいです。単純に『コメディ』では片づけられない奥深い映画と考えますが、もっともらしく分析するのも違う気がします。『よく分からんけどスゲー楽しかった』が個人的に一番しっくりくる感想。文章力、語彙力が無くてホント申し訳ないですが、これは『傑作』で間違いありません。死にかけ(失礼)爺さん2人が途方もなく魅力的。どんな人生を歩んだら、あんな『素敵な顔』になれるのだろう。
[DVD(字幕)] 9点(2020-06-25 21:52:57)(良:1票)
9.  CAT’S EYE/キャッツ・アイ(1997) 《ネタバレ》 
『シベリア超特急』鑑賞から早10年。『シベ超』以降、俺は“素敵なダメ映画=0点映画”に出会えていない。いや『出会える』という受け身な姿勢が問題なのだ。『0点映画はやって来ない。こちらから出迎えるのだ』それが真理という気がする。レンタルDVD屋の「ホラー」「アダルト」コーナーを2時間ウロウロしたって、要注意顧客リストには載っても、0点映画が見つかるワケじゃない。まずは『0点映画に見合う自分になること』。一念発起した俺は走り込みを始めることにした。しかしそんな矢先の『ステイ・ホーム』。神様はイケずだ。ももクロちゃんのライブにも、レンタルDVD屋にも、スポーツジムにも行けない、新しい日常が始まった。いや、スポーツジムはそもそも行ってなかった。そんな俺に金髪マッチョは囁きかけた『みんな始めているよ』と。楽天派だった俺は、ついに禁断の果実『AP』に手をだした。送料無料。お急ぎ便無料。こんな法外な誘惑に勝てる者などいるはずもない。地元商店を裏切った俺は、『地域経済崩壊幇助』という画数の多い十字架を背負うことになった。一度暗黒面に堕ちた人間は脆い。返礼品目当てで名も知らぬ自治体にふるさと納税し、牛肉を貰った。御馳走に喜ぶ家族を後目に、俺はひっそり尿酸値を上げた。 『AP』で俺の映画ライフは激変した。1月わずか500円。サブスクの魔の手が俺に襲いかかる。貪るようにB級以下のダメ映画やヨガビデオを見まくる日々。日本語が怪しい『あらすじ』や『お姉さまインストラクターのサムネイル』に惹かれるのは、映画ファンの悲しい性だろう。そんな中、出会ったのが本作『キャッツ・アイ(実写版)』だった。屈指のダメ映画輩出率を誇る漫画アニメの実写化とはいえ、ファンでもなければ杏里でもない俺には、本来観る理由などない。紀香が水素水をサービスしてくれたとしても、だ。にも拘わらず鑑賞を決めたのは、ダウンロードデータが奇跡の1MBだったからに他ならない。素敵なダメ映画は匂いで分る。ポンコツなキャッツモービル、コナン君インスパイアのスケボー追跡、ハットリ君チックなトンデモ忍術の香ばしさは、本作が一流のダメ映画であることを告げていた。苦節10年。やっと新たな0点映画に出会えた。いや出迎えたのだ。暗黒面に堕ちる悲劇と引き換えに、俺は素敵なダメ映画に相応しい自分になれたのだ、と思った。ところが、である。微笑ましいダメ映画の様相は終盤一変する。物語の基本設定に大胆にメスを入れる大改変。例えるなら簡易な二重の手術で目玉をくりぬく大惨事を目の当たりにして、俺の心は千々に乱れた。「See you again」のキャッツカード(という名の大きめのギターピック)が突き刺さるエンディング。嘘だ。嘘っぱちだ。帰ってくる気などさらさら無いのに。これは、、、0点映画じゃない!素敵なダメ映画の鑑賞後に必ず感じていた『爽快感』は皆無だった。代わりに、ルビーの指輪の不機嫌そうな顔が俺の脳裏にこびり付いた。 俺は驕っていたのだと思う。『AP』の便利さ、万能ぶりを、自分の手柄と勘違いしたのだ。イチから修行のやり直しだ。手洗い、うがい、人との距離は2m空ける。マスク着用も忘れずに。夏場は熱中症にも気をつけて。0点映画を出迎えるために。素敵なダメ映画に見合う自分になるために。俺の果てない修行の日々はこれからも続く。ヨガ、始めてみるか。
[インターネット(邦画)] 1点(2020-05-30 05:54:42)(笑:3票)
10.  アドレナリンドライブ 《ネタバレ》 
“大金を奪って逃げる”という犯罪行為の後ろめたさを打ち消す仕掛けは抜かりなく、主役から脇役までキャスティングも含めてキャラクター造形はお見事です。特にジョビジョバの起用が功を奏しており、シリアスに寄り過ぎることを防ぎコメディのスタンスを堅持しています。その結果、スリリングであっても不快な気持ちになる心配を払拭しました。娯楽作品としてなかなかの完成度です。安心して感情移入して問題ありません。あえて注文をつけるなら、本題(逃避行)に入るまでが長かったり、逃げ切ったあと油断して下手を打ったりと、サスペンスに必要な緊迫感やリズム感に欠けること(これは最近の展開が早いドラマに慣れてしまっているせいもあるかも)。タイトルに違わず、もう少し疾走感を感じられれば文句無しでした。ところで運命の2人は幸せになれたのでしょうか。浮かれっぷりを見る限り、典型的な破滅型に見えますけれども。購入してきた車が、国産車だっただけマシということにしておきましょう。
[インターネット(邦画)] 7点(2019-11-20 22:23:31)
11.  耳をすませば(1995)
もし人物の設定が小学生だったら、違和感は無かったでしょう。あるいはどこぞの外国、ファンタジー世界の住人だったら素直に楽しめたと思う。でも「日本の中学生」という設定にされると、正直困ってしまう。自分の経験と照らし合わせてしまうから。自分の知る中学3年生は、あんなじゃないから。かといってリアルな設定を望んでいる訳ではありません。考えることの8割がエロ妄想の捻くれた子供の日常なんか観たくない(コレ自分のことですね苦笑)。ただ、サジ加減というものはある。本作の登場人物たちは、あまりに清くて正しすぎて、胡散臭いと思ってしまうのです。自分がまだ大人になりきれていない証拠でしょう。30も半ばなのに恥ずかしい限りでございます。もっと大らかな気持ちで素直になれたら、本作を好きになれる気がします。主人公の葛藤や選択には、感じ入るものがありました。自分には眩しすぎる映画でした。 (2019年1月12日追記)11年ぶりに地上波で再鑑賞。印象は初回投稿時とさほど変わりませんが、時代も変われば私の立場も変わるワケで。同じ年頃の娘を持つ身としては、処女作を書き上げて泣き崩れる雫の成長ぶりに、グッときてしまいました。自身を高めるキッカケとなる恋はいいものですね。そういう意味で聖司君には感謝したいところ。ただし、ラストのプロポーズはいただけません。お試し修行が終わったばかりのタイミング。本気で修行に打ち込む決意がゆえのこと?あるいは一種の現実逃避?いずれにしても10年早いわ。一人前になってからもう一度出直して来いと、私が雫の父なら言いたいところ。ずっと先を進んでいたイケメン彼氏も、年相応の幼さ(未熟さ)が残っていたとも言えますが。少年老いやすく学成りがたし。頑張れ若人よ。最後に一つ訂正を。初回投稿の「8割」は「9割」の間違いでございます。格好つけてました。すみません。
[地上波(邦画)] 6点(2019-01-12 01:35:05)(良:1票)
12.  大誘拐 RAINBOW KIDS 《ネタバレ》 
まず脚本が素晴らしいです。“絶対悪”の誘拐事件をこんなにも清々しく調理し、エンターテイメントに仕上げるとは驚きです。事件に振り回された警察関係者や心労をかけた家族はお気の毒ですが、基本的に誰も傷ついてもいないのが楽しめる所以でしょう。当たり前の事ですが、意外とこのへんの処理が適当なコメディが多いもの。素晴らしいです。欲を言えばラスト。刀自と緒方拳が事件を語る場面では、最後までシラを切り通して欲しかったと思います。それが対戦した相手に対する礼儀かと。なお当然ながら、北林谷栄の貫禄の演技無くして本作は成立しませんでした。あの器の大きさ。童子が全てを委ねてしまうのも納得でした。そしてなんとチャーミングなことでしょう。希木麒麟の存在感も見逃せません。2大女優に感服いたしました。風間トオルのうそ臭い関西弁は本来マイナスポイントですが、刀自の魅力を際立たせる効果を上げているのでまあいいのかなあ。
[DVD(邦画)] 8点(2018-09-13 20:09:57)
13.  遊びの時間は終らない 《ネタバレ》 
地震や火事を想定した予行演習。小中学生の頃はよくありました。先生は必ず言います。「真剣にやれ!」と。でも子供たちの耳には届きません。だって先生たちから真剣さが伝わってこないから。申し訳程度のスモーク。都合のいい時間帯、場所からの出火。どこにリアリティがあるのでしょう。「お約束」という大きな看板がどーんと掲げられています。小学の高学年くらいになれば、それくらい分かります。だから白けてしまうのです。最初はそういう大人世界の矛盾を、子供心に“変だな”と思ったもの。でも次第に慣れてくるのです。イチイチ突っかかるのが面倒になってきます。いつの間にか、物分かりのいい大人が出来上がっているという仕組み。本作の主人公は、そんな大人にならなかった男。真っ直ぐで、正直で、正義感が強い。彼はひたすらリアルに銀行強盗を演じました。当然いろいろな不都合が出てくるのが道理。困るのは大人たち。これがシニカルな笑いに繋がりました。子供心に抱いたモヤモヤがスッキリする不思議。だから、大人社会に疑問を感じている人ほど観ていて爽快なのだと思います。主人公に共感できるか、はたまた眉をひそめてしまうか。観客の“大人度”が量れそうです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2018-05-17 00:59:44)(良:3票)
14.  激流(1994) 《ネタバレ》 
“逃走中の強盗に脅されながら、大自然の中を川下り”という、トリッキーな設定を有するサスペンスは、恐怖度1コワの甘口仕様で家族揃って楽しめる娯楽作品でした。ハイライトは、ガントレットと呼ばれる激流をゴムボートで乗り越えるシーンで、普通にアクティビティを楽しむ感覚。ノーCGの迫力ある画が楽しめますが、クライムサスペンスのハラハラドキドキとはまた別の種類のもで、ネイチャーアドベンチャー要素の比率の方が遥かに高いと考えます。それにしても、途中から別行動となったお父さんの動きが謎過ぎました。家族救出を試みるなら、(絶対に越えられないと散々アナウンスしていた)ガントレットの前じゃなきゃ駄目なんじゃないでしょうか。まあ、そのあたりも“お約束”と捉えて、ゆるく楽しむのが正しい観方なのでしょう。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2018-02-25 23:02:57)
15.  もののけ姫
監督初期の代表作『風の谷のナウシカ』同様、氏のライフワーク”自然と人間との共生”をテーマとした作品ですが(フォーマットまでほぼ一緒)、切り飛ぶ腕や首といったハードな描写や、ほのぼの要素を一切排除した骨太な演出技法を鑑みるに、完全に大人をメインターゲットとした作品と言えそうです(正確には子供無視)。個人的には『カリオストロの城』のような全方向型エンターテイメント作品こそ宮崎監督の魅力が最大限発揮されるジャンルと考えますが、作家である以上作品を通じて自身の主義主張を表現するのは真っ当な行為と言えるでしょう。あまりに理想主義が過ぎるため、私個人の信条とは相いれない部分もありますが、自然賛歌であり人間賛歌として高い完成度を誇るため、監督の説教も抵抗感なく聞き入れることができます。最後に気になった点をひとつ。「おわり」で締めくくるのですが、この言葉はそぐわないと感じます。監督お得意の「おしまい」よりはマシですが、子供を置きざりにしたつくりなら最後はやはり「完」でしょう。細かい指摘ですいません。
[DVD(邦画)] 8点(2016-08-06 08:16:06)
16.  ホーム・アローン 《ネタバレ》 
ファミリー向けハートウォーミングコメディ…なのでしょうが、私は正直乗れませんでした。理由は2つ。一つ目は、マコーレ君の泥棒撃退法がやり過ぎであること。特に火炎噴射。あれはシャレになっていません。もちろん、爆発炎上で頭チリチリでも許されるのがコメディの流儀。でも本作は、そこまでギャグ処理が徹底されていません。普通に事故案件に思えてしまいます。おそらく“人の財産に手を出そうとする輩は、撃ち殺されても文句は言えない”という米国スタンダードが根底に在るのでしょう。その証拠に、マコーレ君はきちんとおもちゃで銃撃しています。本来なら撃ち殺されるところを火傷で済んだのですから、御の字ということ。まあ、正論です。でも屈託なく笑えないです。二つ目は、マコーレ母の家族愛アピール。公衆電話を奪い取り、金にモノを言わせて航空券をゲット。それもこれも、愛する息子を思うが故のこと。母の愛、ここに在り。ここでも、かの国の個人至上主義の価値観が観てとれます。これも正論と言えば正論でしょう。でも迷惑な話です。隣のおじいさんがワダカマリを捨て家族と打ち解けるサイドストーリーの方が、よほどホロリとさせられます。
[地上波(吹替)] 5点(2016-01-10 18:56:15)(良:1票)
17.  12モンキーズ 《ネタバレ》 
ギリアム作品の魅力は、「独特のアナログ感覚溢れるダークな世界観」にあると考えます。未来や空想世界を描く作品で、その本領を発揮します。服装や小物といったアイテム、アクの強いキャラクター、影のあるストーリー。何処をとっても「ギリアム」印。本作は、『未来世紀ブラジル』と並ぶ監督の代表作の一本だと思います。プロットはタイムスリップものの王道。しかし肝心のタイムスリップの方法やルールは完全無視。観客に説明しようという意識が微塵もありません。でもこれが素晴らしいのです。タイムスリップの説明は、観客を納得させるために必要なもの。無くても観客が納得するならそれでいいのです。その割り切りと自信はお見事です。本作で貫かれている前提は、“過去は変えられない”ということ。倫理的に“変えてはいけない”ではなく、当然の如く“変えられるはずがない”という立ち位置です。これが大好きです。一見後ろ向きに見えます。でも本当は真逆です。過去は変えられないけど、未来なら変えられる。やり直しが効かないからこそ、今を大切にしようということだから。最後の刹那まで、必死に運命に抗い続ける主人公。もちろん結末は変わりません。でも無駄とは思いません。主人公にとっての“今”は、まさにこの時、この時代。仮に結末が分かっていても、諦められるはずがありません。それは、死という結末が必ず待っている生き物全てに共通する事だと思うのです。足掻くこと自体に意味があります。表面的にはバッドエンド。後味は悪いです。でも人生とはそんなもの。それでいいんです。
[DVD(字幕)] 8点(2014-09-05 19:59:15)
18.  シベリア超特急
名作『死霊の盆踊り』を観終えた俺は抜け殻だった。積年の夢を叶えた達成感が俺を無力にした。燃え尽き症候群というやつか。朝眠くて仕方がない。仕事に行きたくない。頭痛、胸焼け、激しい尿意。確かに連日飲み会だったが、それとこれとは別だろう。心の隙を埋めるために馬鹿もやった。行きずりの女と寝たし、ヤクにも手を出した。すまん。前半はウソだ。後半は某乳酸菌飲料のことだ。おかげでお腹の調子は良くなった。とにかく、俺には新たな目標が必要だったのだ。ニュードリーム。それは愛すべきクソ映画を見つけること。そんなある日、とある店先でとあるお菓子を見つけた。とある厚切りのカステラに、とある羊羹が挟んである。商品名は「シベリア」、とある。シベリア…シベリア…シベリアンハスキー…シベリア文太…シベ~リア~ン(チロ~リア~ン風に)…シベリア、、、超特急!!なんてこった。俺はあの『シベ超』をまだ観ていなかったのだ。なんたるエアロスミス。いやケアレスミス。自分のウッカリを嘆きつつ、歓喜のあまり小躍りした。もちろんシベリアだけにコザックダンスでだ。こうして俺の『シベ超』鑑賞までの長い道程は、太腿の激痛と共に幕を開けた。艱難辛苦、疾風怒濤、高脂血症な『シベ超』DVDゲットまでの冒険譚は、ここでは割愛させていただきたい。申し訳ないが、もう打てる文字数が少ないんだ。自業自得だが許してくれ。以下感想。全編に渡り感じられたのが、“やりたい放題感”。それはもう凄まじかった。特に噂のどんでん返し。銀座のショウウインドウで、ふるぽんM字開脚をしているような高揚を覚えた。ある意味、男の生き様を観た気がする。あの結末を恥ずかし気も無く用意する決断力!判断力!心意気!ぶっちゃけ、尊敬はしない。でも、映画批評という戦場の最前線に素っ裸で躍り出た監督の男気だけは買いたいと思う。この文章には嘘と悪ふざけしか存在しないが、この気持ちだけは本物だ。俺を信じて欲しい(ジャック・バウアーの口調で)。点数は0点。本音をいうと2点くらいだが、本作にはワーストランキング1位を目指してもらいたい。多くの人にこの映画のことを知ってもらいたいんだ。水野監督に出来て、俺達に出来ない事なんてない!そうだろう?勇気と希望を、この映画を観た人には掴み取って欲しい。今、俺は水野監督に敬意を表し、アメリカンポリスの格好でこの感想を書いています。
[DVD(邦画)] 0点(2014-08-20 20:08:39)(笑:7票) (良:2票)
19.  フラットライナーズ(1990) 《ネタバレ》 
好奇心旺盛な研修医による臨死体験実験。前代未聞の実験で彼らが得たのは“過去からの復讐”でした。今まで封印してきたであろう罪や後悔の記憶を呼び起される体験者たち。それも、幻覚が見えるほど鮮明に、過去の過ちを自覚させられます。所謂、負の走馬灯。この現象を彼らは“神の領域”なる言葉で説明しましたが、死後生前の所業について裁かれるという思想は、キリスト教に限らず宗教業界の大本流。それに神様を持ち出さなくとも“良心の呵責”で容易に説明できると考えます。つまりリアル過ぎる幻覚を除けば、実験結果は極めて予想通りのものでした。臨死体験はあくまで入口。本題は、彼らがこの不思議体験を経て、過去の自分とどう向き合うかにありました。ところがどうでしょう。レイチェルは事件の真相と向き合いトラウマを克服したようですが、男3人の方はいけません。全員一応罰は受けたものの、それで贖罪が済んだと思うのならオメデタイ。デヴィッドは相手が大人の対応をしてくれただけですし、ネルソンが得た赦しは彼の願望が見せた幻。覆水が盆に返らぬように、彼らの犯した罪(特にネルソンの大罪)は簡単に贖えるものではありません。その事実を認識せずして真の贖罪など叶うはずもなく、本作の結末は随分と加害者に都合の良い安易な決着に思えました。個人的には、実は実験失敗で主人公は死んでいたなんて結末の方がスッキリしたと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2014-08-18 20:25:27)(良:1票)
20.  天才マックスの世界 《ネタバレ》 
『ライフ・アクアティック』を鑑賞し、ウェス・アンダーソン監督と手が合うことは分かっていたのですが、本作の出来は想像以上でした。これはもう傑作認定で問題ないかと。正直、私の貧困な文章力で魅力を伝えるのは無駄な足掻きだと理解しています。兎に角観て、感じていただく他ない、不思議な味わいです。それでも強いて喩えてみるなら、淡々とした語り口調が『心電図』を連想させました。一定のリズムを刻む物語に突如訪れる不整脈の波。それも結構なビッグウェーブ。マックスVSハーマンの親友対決では、単なる嫌がらせから刑事事件・家庭崩壊まで一気に修羅場の階段を駆け上がります。このスペクタクル!しかし直様、元のリズムに落ち着くのです。まるで何事もなかったかのよう。彼らは決して激情を見せないばかりか、人間関係も瓦解しないのです。何コレ?こんなのアリ?狸か狐に化かされているかのような感覚が堪りません。『ライフ~』にも共通しますが、土台にあるのは、大いなる“人間賛歌”。登場人物が皆愛おしいです。全員を抱きしめたくなる。いや本音をいうと、抱きしめて、ビンタして、また抱きしめたい。ときに滑稽で、ときに醜悪で、そして美しいのが人間です。彼らを観ていると、ダメな自分も許してもらえるような気がするのです。音楽は間違いなく一級品。音楽が素敵な映画に悪い映画はありません。というワケで満点を回避する理由が見当たらないです。困ったことに。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2014-06-15 18:29:08)(良:2票)
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