1. 俺たちに明日はない
《ネタバレ》 映画史的な観点からはアメリカン・ニューシネマの最重要作であるが、現在のレベルで観てしまうと色々と稚拙な印象は拭えない。とは言え、当時としては考えられないほど過激な暴力描写とセックスの隠喩に満ちており、カウンターカルチャー真っ只中の60年代の若者たちから熱狂的に支持されたというのも頷ける。特にラストの「死のバレエ」の衝撃は今観ても色褪せることなく、その着弾効果の凄まじさは、後の『ゴッドファーザー』や『タクシードライバー』にも多大な影響を与えている。実際のボニーとクライドはとんでもない殺人狂で、警官と見るや容赦なく撃ち殺し、クライドはゲイ、ボニーは色情狂だったと言われる。映画化に際し、その辺りは相当美化されて描かれており(クライドは性的不能者で、殺される直前にボニーとはじめて結ばれる)、観客が彼らに感情移入できるよう配慮されている。配役としてはジーン・ハックマンやジーン・ワイルダー(映画初出演)が脇を固めており、C.W.モス役のマイケル・J・ポラードはマイケル・J・フォックスの芸名の「元」になったことでも有名。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2010-09-06 06:59:59)(良:2票) |
2. 明日に向って撃て!
《ネタバレ》 「次はオーストラリアだ」なんて言って、前向きに死んでいくブッチとサンダンス。セピア色に変わるあのラストが全て。ポール・ニューマンは本当に端整で格好良い。彼がはじめての「殺人」を犯した時の苦渋の表情がまた良い。憎めない悪党の憎めない映画。 [DVD(字幕)] 8点(2008-10-25 23:36:28) |
3. 暴力脱獄
《ネタバレ》 この邦題で敬遠していたが、今回ポール・ニューマンの追悼の意を込めて鑑賞しました。この手の映画としては、やはり『ショーシャンクの空に』とか『カッコーの巣の上で』の方が好きだな…。そもそもなぜルークがパーキングメーターを壊したのかさっぱり分からないし(しかもそんな罪で2年も実刑を受けるのもすごい)、その後の行動も、反権力とか自由への渇望とかいうよりも、ただの無謀な博打行為に見えてしまう。ニューマンも若くてハンサムで格好良いが、個人的には80年代以降の渋みを増してからが好み。とは言え、硬派な漢の映画として観て損はなし。 [DVD(字幕)] 7点(2008-10-25 23:20:48) |
4. 赤ひげ
前半は不幸な人の身の上話を延々と聞かされてちょっと辟易したものだが、後半、おとよのエピソードからは泣かされっぱなし。終わってみれば、いい映画を観たな~、としみじみ思った。尺はちょっと長いがそれに見合う作品だ。 [DVD(邦画)] 8点(2007-12-23 11:50:57) |
5. 椿三十郎(1962)
現代の役者さんで『椿三十郎』をやろうとすると、織田裕二になってしまうわけだが、「世界のミフネ」の前では到底太刀打ちできない。織田クンではとても「抜き身の刀」にも「桁外れな人物」にも見えないわけで。しかしリメイク版も面白かった(そもそも脚本が面白いから)。ラストの決闘はやはりオリジナルの圧勝。「お見事!」 [DVD(邦画)] 9点(2007-12-13 10:09:49) |
6. 用心棒
三船敏郎かっこいい~!『椿三十郎』よりもハードボイルドしていて好き。 [DVD(邦画)] 9点(2007-12-13 10:01:44) |
7. 007/ゴールドフィンガー
《ネタバレ》 シリーズのエッセンスが凝縮された、コネリー・ボンドの最高傑作。コネリーは常に余裕綽々に危機を潜り抜けるが、今回はすべての行動が裏目に出て、自ら窮地に陥ってしまう。前半、ゴールドフィンガーに楯突いた姉妹をみすみす死なせてしまい、捕われの身となったボンドはレーザービームで拷問され、みっともない嘘八百を並べて助かろうとする。全然いいところがない。それなのに最後は、レズビアンの女性パイロットを寝返らせ、ゴールドフィンガーの野望(実に下らない)を阻止し大団円。なんじゃこりゃ?ほとんどコメディのようだが、鑑賞後は実に清々しい気分になった。ああ、これが007なんだ…と。インパクトのある主題歌、オッドジョブなる奇怪な敵役、ゴールドフィンガーの馬鹿馬鹿しくも壮大な悪事、そして、金粉まみれの美女の死体。この時代にしか作れなかったであろう、まさにシリーズ黄金期の作品。 [DVD(字幕)] 8点(2007-10-30 17:47:34) |
8. 007/ロシアより愛をこめて
往年の007ファンからは最も評価の高い本作。アクションとストーリーのトータル・バランスに優れ、まさに古き良き時代のアクション映画の名作。大人の余裕とスパイの非情さを併せ持ったコネリーのボンド像も良い。危機また危機の連続で、陸・海・空を舞台にしたアクションのつるべ打ち。ボンドの命を狙って次から次へと襲い来るスペクターの刺客たち。当時の観客は度肝を抜かれたことだろう。現代のアクション映画に慣れていると、随分とのんびりとした展開に見えるが、時代を考えれば仕方ない。ややエロに走りすぎた感があるのが玉に瑕か。 [DVD(字幕)] 7点(2007-10-30 17:38:42) |
9. 007は二度死ぬ
これってやっぱりコメディとして観るべきですよね?笑わせてもらいました。丹波さんってこんなにハンサムだったんだ。 [DVD(字幕)] 5点(2007-10-30 17:33:02) |
10. 女王陛下の007
《ネタバレ》 ジョージ・レーゼンビーは、コネリーのようなムンムンした男の色気がなく、後のムーアやダルトン、ブロスナンらと比べても華がない。しかし、荒唐無稽な作風へと変わり始めていたシリーズの舵取りを修正し、リアリティ重視にした結果、本作はシリーズ中、最も異色で心に残る作品となった。全体的にアクションが抑えられているが、クライマックス、ブロフェルドの砦をヘリで急襲するシーンの格好良さは文句のつけようがない。悲劇的なラストは、制作年代を考えると、アメリカン・ニューシネマの影響を窺われるが、まんまと泣かされてしまった。レーゼンビーは本作限りの出演。 [DVD(字幕)] 8点(2007-10-23 21:52:09)(良:1票) |
11. ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生
《ネタバレ》 ジョージ・A・ロメロが創造した「リビング・デッド=ゾンビ」が初めてスクリーンに登場した記念碑的作品。モノクロ映像が何ともいえないリアル感を出し、まるで当時のドキュメンタリーを観ているかのよう。一軒家に立て籠もり、襲い来るゾンビの群れと終わりのない攻防を繰り広げる。これが全てのゾンビ映画のスタンダードとなった。当時の世相を反映したといわれるロメロの語り口は、この現実世界が既に地獄であることを如実に示している。 [DVD(字幕)] 9点(2007-09-11 22:53:52) |
12. 2000人の狂人
《ネタバレ》 どこからどう見てもチープでいかがわしいだけのこの映画が大好きだ。大岩転がしの岩は発砲スチロールを茶色く塗っただけだし、斧でぶった斬られた女性の腕は明らかにただのマネキンだし、エキストラはみんな素人丸出し。しかし、この朴訥とした雰囲気が逆に妙な怖さを醸し出しており(脳天気なバンジョーの響きも最高!)、ただのC級映画では終わらせない何かがある。被害者よりも加害者の数が圧倒的に多いという不条理。老いも若きも嬉々として殺人に参加する異常さが実によく出ていてる(2000人って言ってるけど、実際には40~50人くらいしか画面に映っていない)。ハーシェル・ゴードン・ルイスの作品は『血の祝祭日』と『血の魔術師』も観たが、本作が最高傑作だろう。 [DVD(字幕)] 9点(2007-07-26 19:57:07) |