1. トイ・ストーリー3
《ネタバレ》 オープニングの寸劇で見せたブタのハムの目つき、ケンのキャラやラテンなバズに大笑いし、終盤の焼却炉のシーンで手をつなぎ合い互いの友情を確かめ合うシーンにはまんまと感動させられボロ泣きした。アニメ映画でこれほど涙が零れるとは本当に思ってなかった。 残念ながら1作目と2作目はビデオとテレビ放映での鑑賞だった。1作目が面白かったのは偶然で、2作目はどうせそれほど面白くはないだろうと油断していたら、2作目までもが完璧だったので、3作目は正装して映画館へ出かけた。 これだけの期待を持って臨んでいる大人をまたしても完璧に満足させてくれたこの映画の製作者たちを尊敬する。 1作目で脚本、2作目では脚本監修を(また両作品で声優も)したジョー・ランフト氏が交通事故で亡くなったというニュースを聞いた時はやや呆然としたが、残ったスタッフたちは完璧に3作目を作り切った。あさって(8/16)は彼の5回目の命日である。4作目以降もずっと見守っていて欲しい。 [映画館(吹替)] 9点(2010-08-14 20:35:41) |
2. キサラギ
《ネタバレ》 当レビューの評価が高かったので、かなり期待して観たが、最初からすんなり引き込んでくれて、どんどん楽しませてくれる非常に面白い期待通りの映画だった。低予算でも物語・脚本さえよければ面白い映画ができるという典型のような作品。「運命じゃない人」に近い出来栄え。 5人の登場人物の素性が明らかになっていくに連れて、どんどんストーリー展開の方向性が変わっていく面白さが心地よい。5人のうちの主役(?)である家元さんが一人自分だけ如月ミキとの関係性が薄いことに落胆していく部分で、そこからどのような大逆転のエピソードが出てくるのか大いに期待させられたが、その期待以上の展開・ストーリー作りのうまさに唸った。イラン映画「友だちのうちはどこ?」の最後に一輪の花が画面に出てきた時と似たような爽快感。 ただ、そこから最後までが少し間延びしたのと、ブ男すぎる安男さんのキャスティング、最後に如月ミキの顔のボカシが無くなり、自分の中のイメージを崩されたのが残念な点。あと、不可解なラストシーンは何?この後、皆さんのネタバレコメントなど読んでみることにします。 ともかく古沢良太氏の脚本に拍手! [地上波(邦画)] 8点(2008-09-20 14:12:03) |
3. ゴールデンスランバー(2009)
《ネタバレ》 原作は読まず、事前にストーリーに関する情報も一切入れずに観賞。 斉藤和義の唄う「ゴールデンスランバー」で始まり、息つく間もなく、主人公が理不尽にも首相暗殺犯に仕立て上げられる前半には「これは!」と思うほど引き込まれたが、連続通り魔キルオの登場から徐々にテンションダウン。 原作の小説ではどうかは判らないが、やはりキルオという登場人物が残念。(役者の演技は面白かったが・・・。)そのあたりから立て続けに、銃をぶっ放す刑事や整形云々のストーリー展開、謎の入院患者や花火師の理由不明快な協力態勢、中途半端なテレビ局の介入、映画中の当初のキャラクターから正反対の積極的行動に出る元恋人など、残念でやたらマンガ的な展開に至ってしまい、失速。 最後に映画のオープニング場面に戻り、中盤以降のマイナスを一気に挽回してくれるような、腑に落ちる場面で救ってくれるのかと期待したが、力及ばず。 でも竹内結子のかわいさと前半の面白さ、そしてエンディングの歌に敬意を表してこの点です。 [試写会(邦画)] 7点(2010-01-21 00:22:36)(良:1票) |
4. 風の歌が聴きたい
《ネタバレ》 立川志らく師匠の著書で賞賛されていたので早速鑑賞。爽やかな印象の残る好感が持てる映画だった。 障碍者の親となった昌宏(天宮良)の父(石橋蓮司)の「煙草を吸うなら(隠れずに)俺の前で吸え、・・・、言いたいことがあるなら俺に向かって言え」、「恥ずかしくても、言葉に出して言え。障碍を隠すな」と強く生きることを求める育て方と終盤、妊娠を知った奈美子(中江有里)が、生まれてくる子供も聴覚障碍をもって生まれてくるのではと悲観し、出産を躊躇するような場面で夫の昌宏が「(自分たちは)生まれてきて、聴覚障碍によって不幸だったことがあるか?なかっただろう?」と語るシーンが心に残る。 左時枝や奥村公延、松田洋治など久しぶりに見た脇役陣もよかった。 他の方が書かれているようには天宮良の中学生シーンに違和感は感じなかったが、同棲シーンからから結婚式のシーンに移行する時に脚本の流れの悪さを感じた。 [ビデオ(字幕)] 7点(2009-08-22 14:05:42) |
5. 息もできない
執拗すぎる暴力シーンに好感は持てないが、夜の漢江のシーンを撮りあげた、主演・監督であり、制作・脚本・編集まで行ったという1975年生まれの韓国の青年ヤン=イクチュンには大きな好感を持った。今度は暴力及び「シバラマ」抜きの作品を見てみたい。 [映画館(字幕)] 6点(2010-04-12 23:24:27) |
6. おとうと(2009)
親戚に一人はいる「困ったおじさん」の物語。しかし主人公はその姉であり姪で、彼女たちの立場から「おとうと」「おじさん」が描かれている。 笑福亭鶴瓶演じる哲郎は傍迷惑で異常な行為・行動(アウトプット)を繰り返すが、反面、人の心が読めないわけではなく、周囲の人たちが自分の行為についてどのように感じているか、どのような影響・迷惑を掛けているかの理解(インプット)は正常である。これは車寅次郎と同類。 姉とその亡夫(哲郎の義兄)はその哲郎の心情(インプットの正常さ)を深く理解しているため、困惑しながらも深い愛情をもって彼に接しており、姪も微かにそれを感じ取っていく。 ただ2時間で描いていくには少々各エピソードのパンチが弱く、到底名作の域には達せず残念。 個人的には加瀬亮演じる青年がもう少し光るストーリーに仕上げて欲しかった。 姉の薬店に舞い戻って来る場面はまさに寅さんのそれで、自分で「男はつらいよ」のパロディをする山田洋次がお茶目。 [試写会(邦画)] 6点(2010-01-25 20:50:12) |
7. 落語娘
《ネタバレ》 主人公(三々亭香須美)の師匠(三々亭平佐)が禁断のネタ「緋扇長屋」を高座にかけたいと思うまでの描写が薄いため、物語にうまく入り込めなかったのが残念。女性落語家の物語はNHKドラマの『ちりとてちん』の二番煎じのように感じたが、そもそも香須美が主人公然として描かれている場面が前半に少しあるだけで、どちらかというと師匠のエピソード部分の方が長く感じ、女性落語家の物語という感じがあまりしなかった。香須美が落語を口演する個所は予想外に良く、好感が持てた。 [映画館(邦画)] 5点(2009-01-04 19:27:04) |