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高橋幸二さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 25
性別 男性
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1.  イングリッシュ・ペイシェント 《ネタバレ》 
ハナとカラバッジョの二人がカナダ人という設定は、イギリスの分国であるからなのはもちろんだが、カナダの持つ国際貢献のイメージをハナに重ねたものと思われる。主要な登場人物である二人が、フランス語を母語とするケベック人であることがさりげなく示され、国家の枠組みにとらわれないコスモポリタンとして登場していることは、元カナダ在住の小生には興味深い。■恋人キャサリンの命が危機に晒されているのに、彼がイギリス国籍でなく姓がドイツ風だという理由で必要な援助を受けられず、それどころか捕らえられ連行までされれば、裏切りたくもなるだろう。ところがキャサリンが死んだことで、裏切りは意味を失くす。自分も死のうと決意するが、飛行機が墜落したあとも死に切れず、記憶をなくした彼は皮肉にも「イギリス人の患者」と呼ばれる。■本作は「不倫を美化しているから受け容れられない」という意見が多いが、主人公らの恋を不倫に設定したのはわざとだろう。なぜなら、不倫は二人にとって夫と友人を裏切る行為であり、それが国を裏切る行為と対比されているからだ。■戦争は国家のために命を捧げる行為だが、アルマシーは不倫相手の命を救うために国家機密を売り、その結果多くの市民と軍人を戦禍に巻き込み、友人と不倫相手の夫を自殺に追い込み、その部下もスパイ容疑で拷問されるという惨事を招く。だがそれほどの犠牲を払ったにもかかわらず、キャサリンは息絶えてしまう。それが、作者が背徳者の二人に与えた報いである。■キャサリンは遺書に「いとしい人、あなたを待っている。外に出れば日差しが強すぎる」と綴った。背徳者の二人には、日の当たる世界に出るのは厳しすぎ、日陰に隠れる生活が相応だと暗示している。だがアルマシーを許したカラバッジョと、誰にでも無償の愛を注いだハナは、最後にアルマシーが見ることのなかったまぶしいばかりの朝を見た。恋人との仲を修復したカラバッジョと、その車に乗り込むハナが、全身に日の光をいっぱいに浴びる映像が大変美しく、彼らに輝かしい未来があることを強く予感させる。それから車は画面の右へ、そして飛行機は画面の左へと消えてゆく。ハナとカラバッジョには現実世界での幸福が、そして背徳者の二人には「地図のない世界」での自由が示される。対称的な両者の人生は、偶然にただ一度交差し、そして反対方向へと向かったのだ。
[地上波(字幕)] 6点(2014-07-06 10:20:30)(良:4票)
2.  サイダーハウス・ルール 《ネタバレ》 
ホーマーは、育ての親ラーチの言いつけで堕胎の手伝いをすることに疑問を抱く。医師の免許もない彼は「ぼくは医者じゃない」と言う。「自分を必要としている人がどこかにいるはずだ」と考えていた彼は、孤児院を出てリンゴ農場で働くことにした。■寄宿舎には「サイダーハウス・ルール」が貼られていたが、労務者たちは文字が読めなかった。字の読めるホーマーが声に出して読むと、そこには「酒に酔って機械を操作するな」「屋根の上で寝るな」などと書かれていた。あまりの馬鹿馬鹿しさに、Mr.ローズが言う。「これを書いたのはここに住んだことのない奴だ。俺たちのルールは俺たちで決める」。■そのMr.ローズは、娘ローズを溺愛するあまり、性的関係を持ち妊娠させていた。救いの手を差し伸べようとするホーマーに、Mr.ローズは「お前には関係ない」と言う。だがホーマーは、ローズに言う。「ぼくは医者だ」。医師の免許を持っていないことをあれほど気に病んでいた彼が、自ら医者だと名乗り出たのだ。ラーチの言いつけでではなく、彼は自分の意思で堕胎手術を決意する。■ローズもまた、父親の言いなりではなく、自分の人生を求めた。彼女は父親をナイフで刺し、家出する。そして最愛の娘を失ったMr.ローズは、そのナイフで自死を選ぶ。労務者たちはMr.ローズの遺体が搬出されるのを、屋根の上から見守る。■「ルールは当事者が決めるべきだ」という本作の強いメッセージが、「産むかどうかは女が決めることで、法律や宗教が決めることではない」というテーマを暗示しているのは明らかだ。だが本作は、堕胎問題のみならず、「自分のルールは自分で決めろ、たとえ社会のルールと合致しなくても」という普遍的な問題にまで昇華している。ラーチは、苦しむ女性のため違法な堕胎を行うだけでなく、ホーマーの経歴を偽造し、ホーマーが徴兵されないようレントゲン写真のすり替えまで行った。ルールを破ったラーチもまた、親としての愛情ゆえだったのだ。■ラーチの死によって、ホーマーは自分が必要とされている場所がどこなのかを気づかされる。彼は汽車に乗り、孤児院に帰る。汽車のシーンが何度か登場するのは、「敷かれたレールの上を行くだけの人生」を象徴しているのだろう。ホーマーはそれを拒否して巣立って行ったが、今度は自分の意志で帰って来た。孤児の彼にとって、本当はここが帰るべき家だったのだ。
[地上波(吹替)] 7点(2013-05-06 16:06:25)
3.  アイズ ワイド シャット 《ネタバレ》 
 裸の男女が見境いなく乱交するというシチュエーションに萌えるのは、社会的地位のない人かもしれない。社会的地位のある人は、誰とでもというわけにはいかないだろうし、自分を飾っている衣服(社会的地位の象徴)を全てはぎ取られることに耐えられないだろう。ビルは現に「服を脱げ」と言われたとき、従わなかった。   衣服などしょせん虚飾であり、地位も虚飾だが、たいがいの人はそれなしには耐えられないだろう。だからこそ娘に売春させながら「警察呼ぶぞ」などと芝居する親がいたり、父親の死に居合わせたビルに欲情し求愛しておきながら、婚約者が来ると何事もなかったかのように振舞ったりする。  ビルは2日間でいろいろなものを見たが、何一つとしてその本質を見ることはなかった。婚約していながら求愛する女、客引きをする娼婦、ニックの放浪生活、貸衣装屋の親父と娘、謎の仮面パーティ、そしてミスコン元女王の死。彼女たちは、それまでも確実に街に実在していてはいたが、ビルが決して見ることも存在を知ることもない、見下していた連中だった。だが実は、仮面を被った世界こそがありのままの情欲をさらけ出した世界であり、仮面のない世界こそ仮面で真実を隠した世界だったのだ。我々の見る現実などというものは、欲望や妄想に服を着せたりしたものでしかない。  水面上では別世界でも、水面下では実は患者や同級生を通じてつながっている世界である。表向きは別世界の人を装っても、服を脱ぎ捨て、欲望と妄想を露わにすれば、人は誰しも同じ世界の住人かもしれない。水面上の世界では、医師として義理で救命しアドバイスしただけなのに、水面下の世界では心から感謝されて、逆にアドバイスされ、命まで助けられる。このような奇妙な世界もまた、我々が住む街のもう一つの現実であろう。   人は何でも経験できるわけでもなければ、どこででも生きられるわけでもない。危険を避けるためには、目を大きく見開いて現実を見る必要があるが、見ても理解せず、見ても見ぬふりをすることもまた、虚飾に満ちた世界には必要なことなのかもしれない。    「あなたがたは確かに聞きはするが、決して悟らない。  確かに見てはいるが、決してわからない。  この民の心は鈍くなり、その耳は遠く、目はつぶっているからである。」  (マタイ福音書13章)
[地上波(字幕)] 7点(2012-01-04 18:05:18)
4.  恋はデジャ・ブ 《ネタバレ》 
過去を知ることは、未来を知ることである。  未来を知る者は、運命を支配できる。  未来を知れば、人は神にも悪魔にもなれる。   高慢な主人公フィルは、永遠に繰り返す同じ日を過ごすことによって、退屈な田舎町のあらゆる情報を知り、初めは暴飲暴食、交通違反、窃盗、個人情報を調べてナンパと、ありとあらゆる悪事を行うが、同僚のリタに軽蔑されてしまい、自殺を試みるが、何度やっても同じ日の朝に戻ってしまう。ホームレスの老人を助けるが、何度やっても2月2日に死なれる運命だけは変えられない。   人はある意味、同じ日常を生きている。季節は巡り、また冬が来て、2月2日が来る。同じ町で、同じ仕事を繰り返す。やがてフィルは、退屈な田舎町の日常に、人々のささやかな幸福があることを知る。冬の寒空の下に、人の心の温かさを知る。  何が起こるか事前に知り得る己の特殊な能力を用いて人々を助け、人々に感謝される道を選んだとき、彼はまさに神となった。人を愛し慈しむ心を知ったとき、フィルはついにリタの愛を得たのである。   彼が心から愛せる人を抱いて眠りについたとき、運命はついに時の歯車を進めた。彼が目覚めたとき、運命は愛する人を消し去らず、彼の腕の中に残していてくれたのである。  不思議な永劫回帰現象は、フィルが本当の愛を知るために神さまが与えてくれた、聖燭節の奇跡だったのだろう。
[地上波(吹替)] 9点(2008-08-04 06:35:17)(良:1票)
5.  この森で、天使はバスを降りた 《ネタバレ》 
 本作のテーマは「癒しと再生」である。森の中でジョーは「ムダな木だ」と言うが、パーシーは「こんなに美しいものはない」と言う。ところがそのムダな木が、実は金になることが後に判明する。木の皮に重要な薬理成分が含まれており、皮を剥いで再生を促せば良質の成分を得られるのである。ジョーは「これで町を再生できる」「ぼくたちにとってもいいニュースだ」と語り、パーシーに求婚する。しかしパーシーは「私はもう、子供をもつことはできないの」と告白する。  木の皮を剥ぐと、それは木にとっては傷であり、皮が再生される。ジョーはそこに町の再生を夢見て、パーシーとの新しい生活を夢見る。だがパーシーは流産のダメージにより、子を産む(命の再生)ことはできないのである。   パーシーが丘の上で歌っていたのは「ギレアデの乳香」という黒人霊歌である。  There is a balm in Gilead ギレアデに乳香あり To make the wounded whole; 傷ついた人を癒してくれる There is a balm in Gilead ギレアデに乳香あり To heal the worried soul. 悩める心を癒してくれる  If you can’t preach like Peter, たとえペテロのように語れなくても If you can’t pray like Paul, たとえパウロのように祈れなくても Just tell the love of Jesus, ただ主の愛を語り継ごう And say He died for all. 主は皆のために死んでくれたと   ギレアデとはイスラエルの乳香の産地であり、乳香とは樹皮から採れる止血材である。  パーシーの葬式のシーンで流れるオルガン曲が「ギレアデの乳香」であることは、歌詞がないだけに気づきにくい。物語の舞台にギリアドの町を選んだ理由は、乳香による傷の癒し、一命を投げ出しての贖い、魂の再生を歌ったこの黒人霊歌を強く意識したものだろう。パーシーの死と無実を知った村人たちは、オルガンを聴いていたたまれない気持ちになったはずだ。  二度と子を産むことはできないパーシーだったが、一身を以って贖うことで村人たちの心を再生させることができた。村人たちも心を入れ替え、新しい来訪者を温かく迎える。それは子連れのシングルマザー、クレアだった。パーシーがバスを降りた日は寒い雪の夜だったが、クレアがバスを降りた日は暖かい昼下がりだった。人々は子を背負った彼女の姿に、自分たちがついに見ることのなかったパーシーの幸福を見出し、心癒されるのである。
[DVD(字幕)] 8点(2008-07-30 07:03:53)
6.  CUBE 《ネタバレ》 
 キューブの中の人たちは、セルの数字が素数なら安全だということに気付くが、後である種の素数は危険だという別の法則があることが判明する。これは例えば、勉強していい大学・いい会社に入ればいい人生が約束されると、人から教えられた道を一心不乱に進んで行っても、実は世の中は学歴だけではなく、人柄、家柄、容姿、財力などもあり、世の中は決して絶対唯一の法則に従っているわけではないということを表している。   キューブの中に一人、キューブの建築に関わった者がいた。しかし彼が関わったのはほんの一部分だけで、全体の大きさ、セルの総数、キューブの中の人口などは一切知らなかった。これは、我々は確かに社会を構成する一員で、社会を動かしているが、我々が構成しまた動かしているのは社会のほんの一部であって、社会全体を動かすことはできないし、誰が動かしているのかもわからないということだ。我々は政治家に支配されているように思えるが、政治家はマスコミを恐れ、マスコミはスポンサーに媚び、財界は消費者に気兼ねする。人は皆、自分以外の何かにつき動かされているようだ。登場人物たちは、誰が何の目的でいくつのキューブを動かしているのか、その全体像を知ることは決してない。    物語は最後に、一人の男だけが脱出する。外の世界はとてもまぶしく、20m先も見えないほどだ。平凡な人生なんてつまらない、サラリーマンなんてつまらない、俺は脱サラするぞと、人は自由な世界に憧れるが、決まった時間に出勤して一日デスクに座っていればお金が振り込まれる世界と違い、自由な世界は「こうすればうまくいく」という保障は何もない世界であって、先の見えない、前例のない未知の世界で、そんな世界が単純作業の繰り返しの世界より本当にいい世界なのかどうかは誰にもわからない。結局キューブ自体が移動しているので、危険を冒して出口を探さなくても、動かずじっとしていればそのうちキューブが勝手に出口につながるのだった。何も考えず言われた通りにするのがいちばん楽なのだ。   登場人物たちは初め、「出口はどこにあるのか」「自分はなぜここにいるのか」を問い、ゴールを目指してさまよった。しかし誰が何の目的でキューブを作り、彼らがなぜこの中にいるのか、その理由は最後まで明かされることはなかった。人は今日も「人生の目的は何か」と問い続けるだろう。答えなど決してあるはずもないのに。
[地上波(吹替)] 9点(2008-07-29 06:41:17)(良:3票)
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