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プロフィール
コメント数 2476
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  オッペンハイマー 《ネタバレ》 
凝った映像設計で知られるクリストファー・ノーランにしては、オッペンハイマー=キリアン・マーフィを軸にしたまるで対話劇の様な作劇だったのは意外でした。ほんとに、この映画はすべてのカットにキリアン・マーフィが映っていたんじゃないかと思うぐらいです。原爆開発の理論や技術的な面はほとんどスルーしていたような印象もあり、ひたすら政治劇を見せられていた感があります。ノーランお得意の時系列をシャッフルするストーリーテリングも、本作ではいたずらに物語を判りにくしてしまったんじゃないかな。単純に言っちゃうと、この映画はオッペンハイマーに対するルイス・ストローズ=ロバート・ダウニー・Jrの確執と陰謀に収斂されるストーリーだったかとも思いました。実は自分はキリアン・マーフィの爬虫類顔が前から苦手だったのですが、今回は自分たちが成し遂げたことの罪深さに慄くようになってゆく何を考えているのか判りにくいキャラの人物を演じるには最適の面構えだったのかもしれません。対するロバート・ダウニー・Jrは、ちょっと見には彼とは気づかない完璧な老けメイク、彼の持ち味である演技力を存分に見せつけた好演です。 この作品が「原爆の被害がまったく描かれていない」という抗議が日本であったことは耳に新しいところです。でも実際に鑑賞してみると、ノーランはあえてそれを見せない作劇をチョイスしたんじゃないかと私には思えて、これはこれで正解なんだと思いました。疑問に思ったのはその抗議を叫んだ団体などは、作品自体を日本で観られない時期に声を上げていたふだん映画には縁が無さそうな面々で、観てない映画を批判するのはNGなんじゃないですかね。歴史的な出来事には色々な視点があることは許容されなければならないし、それを認めないとなれば単なる言論弾圧になりますよ。実際に自分が不快極まりなかったのは原爆投下を喜ぶロスアラモス研究所の科学者たちの姿で、オッペンハイマー自身も「私たちは原爆開発を研究しただけで、どう使うのかは政治の話だ」とその時点では言っています。でもそうなると、この科学者たちはナチの命ずるままに職務に励んだ絶滅収容所の所長や看守となんら変わりがないんじゃないかと思えてしまうんですけど…
[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-01-13 22:44:03)
2.  TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 《ネタバレ》 
いまや全世界を席巻しているSNS文化と若者たちを支配している自己承認欲求が、プロットに巧みに織り込まれたストーリーだと思います。この若い連中がのめりこむ90秒憑依遊びはいわばコックリさんみたいな感じだけど、90秒を超過すると霊に乗り移られてしまうというところがキモなんですね。この映画の上手いところは、ヒロインであるミアに非常に不安定な言動を取らせることによってすんなりと彼女に感情移入し難くしているところでしょう。あと頑なまでにミアの体験の状況説明をオミットしているところで、それによって母親の死の真相や霊となって現れる母親が邪悪な存在に見えるところなんかです。父親が母親の遺書めいた手紙を読み聞かせた後の展開も不可解で、ミアを襲う父親と部屋に入ろうとしてドアをたたき続ける父親は同一人物なのだろうか?私は実は母親の死は自殺に見せかけた父親の故殺だったという凡庸な展開を予想していましたので、しょうじきその後の展開は訳が判らん状態でした。エグい描写はほぼ弟君ライリーに集中していましたが、これはかなりのレベルでしたね。ラストのオチは救いようがないと言っても良いと思いますが、宗教色を下手に出さなかったところには好感がもてました。 『ヘレディタリー 継承』を上げるまでもなく、近年世界でもっとも勢いがあるのがオージー・ホラーで間違いないでしょう。オージー・ホラーはせいぜい中規模程度のバジェットが限界なのだがそれぞれの作品にはハリウッド・ホラーにはない視点やアイデアで撮られた作品が多く、『リング』を始めとするいわゆるJホラーの影響が強い感があります。本作はかなり好評だったらしく続編製作が決定しているそうですが、まさかミアが実は生きていたなんてことにはならないでしょうね?あの手首のトルソが持ち主が代わって転々としてゆく、というのが妥当なプロットなのかな。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2024-12-13 22:06:16)
3.  トップガン マーヴェリック 《ネタバレ》 
オープニングは今やテスト・パイロットになっているマーヴェリック=トム・クルーズが試作機を飛ばして速度記録(なんとマッハ10!それにしても大風呂敷広げたもんだ)に挑戦するというシークエンスで、これはまるで『ライトスタッフ』の再現ではないか!トム・クルーズは現代のチャック・イェ―ガーだったというわけです。まあこれは製作陣の一種の遊び心だと好意的に解釈しておきましょう。あの『トップガン』の続編というにはあまりに年数が空いているのでリ・ユニオン的なストーリーになるだろうなとは予想していましたが、マーヴェリックがトップガンに教官として戻ってくるなど自分が予想した通りの展開でした。リ・ユニオンらしくライバルだったアイスマン=ヴァル・キルマーは海軍大将の艦隊司令官に昇りつめているけど、マーヴェリックは大佐どまり、まあこれは現役パイロットでいたいので昇進拒否しているので仕方がないか。前作で死なせてしまった相棒グースの息子がマーヴェリックの教え子となるのですが、グースの妻だったメグ・ライアンはすでに死去しているという設定で、これはルックス劣化が著しいライアンを出演させない意図があったのかも。それを言ったらシャーロット・“チャーリー”・ブラックウッド=ケリー・マクギリスに至っては出演どころか言及すらされない存在です。リ・ユニオンなのに実は彼女には出演オファーすらなかったそうで、どうもデブっちゃったので敬遠されたみたいです。 本作は前作と違って某国の原子力施設を空爆する作戦のために精鋭たちはトップガンに集められており、そこら辺はかなり好戦的です。この某国は北朝鮮なのかイランかはたまたロシアなのかは、さすがに敢えてぼかした撮り方ですが、ラストにかけてその国がF-14トムキャットを運用しているのでこれはイランで確定ですね。まあイランも北部山岳地帯に行けば雪も降りそうですからね。このミッションは懐かしの『633爆撃隊』のモスキート機による重水工場爆撃と地形からしてそっくり、製作陣は古の航空機映画をいろいろと研究したみたいですね。イランが第五世代戦闘機を配備しているというのはちょっとしたおふざけですが、その機影はCG作成ながらもロシアの第五代戦闘機と言われるSuー57とそっくりさんでした。F/A-18ホーネットの飛行シーンはさすがに迫力は満点で、大スクリーンで観たら飛行機酔いするんじゃないかと思うほど。どうやって撮ったか、多分CG使用なんだろうけどホーネットが高性能機でしかできない荒業“プガチョフのコブラ”機動をするシーンにはびっくり、F/A-18の実機でこれが可能なのかは疑問ですけどね。 あんだけ地対空ミサイルを撃ちまくられたのに二機撃墜こそされたが戦死0というのはちょっとご都合主義が過ぎるけど、やっぱマーヴェリックのカッコよさに見入ってしまうとそんなことどうでも良くなっちゃいますね。こういう単純明快さこそがハリウッド・エンターテインメントの強味なんでしょう。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-11-26 23:36:31)(良:1票)
4.  バビロン(2022) 《ネタバレ》 
超下品な『ムーランルージュ』みたいな狂いまくったパーティが延々と三十分も続いたあとでやっと出てくるメインタイトル、あわや成人指定になりそうだったのを修正してもこれですから、ここでこの映画を観るのを止めちゃった人も多々いるんだろうな。ハリウッド草創期をモチーフににした映画は何本かあるけど、これほど“光と闇”のうち“闇”をクローズアップした作品はなかったんじゃないかな。荒野の真っ只中で後にメジャースタジオに成長するキノスコープ社は映画製作に励むが、人間扱いされていない俳優やスタッフはまだましな方で、大規模な合戦シーン撮影では死人やけが人が何人も出る始末、まさに“地獄のハリウッド”状態です。ブラピはサイレント期のスターだったジョン・ギルバート、マーゴット・ロビーはあのクララ・ボウをモデルとしているらしいが、その他にもサイレント期に起こった有名な事件をいくつか小ネタとして散りばめてます。この二人とプロデューサーに成りあがるメキシコ人青年(このキャラは完全に創作みたい)を軸にした群像劇みたいな構成なのだけど、イマイチ焦点が絞り切れないストーリーになってしまったのは残念。あとルイ・アームストロングを模した黒人ジャズ・プレイヤーも絡んでいるけど、このキャラがストーリーに必要だったのかは疑問、まあデイミアン・チャゼルのジャズ愛は伝わりますけどね。ブラピが演じるジャック・コンラッドはトーキーになってその声で俳優生命を失うことになるけど、「ブラピの声は悪声の部類だよな」と前々から気になっていたので自分にはなんかセルフパロディの感がありました。ラストの映画館のシーンはあの『ニュー・シネマ・パラダイス』のラストを再現するつもりだったかもしれないが、ちょっとアートに走り過ぎた感があって感動を呼ぶにはほど遠かったな。 順調にキャリアを積んで『ラ・ラ・ランド』ではオスカーもゲットしたデイミアン・チャゼルだけど本作は結果として興行的には惨敗、やっちまいましたな…
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-11-08 21:27:52)
5.  唄う六人の女 《ネタバレ》 
伝説のカルト映画『狂わせたいの』や未だに熱狂的なファンがいるバラエティー番組『オーマイキー』などで知られる石橋義正の、なんと13年ぶりの監督作品です。自分はその13年前の『ミロクローゼ』しか観ていないのですが、これもかなりのオフビートで度肝を抜かれました。その後はなんの活動も耳にせず「どうしちゃったんだろう?」と訝っていたらまさかの13年ぶりの映画製作、ただただ驚きましたよ。しかも『ミロクローゼ』で一人何役も怪演した山田孝之が出演、この人はアイドル好きだったりするしユニークなことに対する審美眼の様なものを持っていて信頼できる俳優です。 とんでもない山奥で謎の六人の美女たちに囚われてなぜか森から脱出できない二人の男、私はこの不条理劇の様な前半パートが好みです。なかなかの美形を揃えたこの六人、うめき声の様なものは発するけど全編で無言・セリフなしというシュールさもいいですねえ。彼女らには一応はキャラ分けはされているけど、ずっとリクライニングチェアに横たわってただ足を上げたり下げたりするだけの女は際立ってわけが判らん存在でした。冒頭からしてやたら昆虫や蛇が出てくるので耐性がない人にはきついかもしれないが、思うに彼女たちは森に生きる昆虫や両生類などの化身というか精霊みたいな存在と解釈できるでしょう。伏線回収を図ってゆく後半部は、核廃棄物処理施設なんかが出てきて理屈っぽくなったのは自分としてはちょっと残念な感じ、もっと不条理性をつき通して欲しかったな。でも山田孝之や竹野内豊の最期にはリアルとファンタジーの境目が意識され、良い幕の閉め方だったかと思います。 この映画は石橋義正の三本しかない劇場映画の中では尺は最長だし、これでもその中でもっとも一般受けしそうな作品かと思います。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-10-25 21:55:53)
6.  スイング・ステート 《ネタバレ》 
“スイング・ステート”とは、米国の大統領選挙において共和党と民主党の支持勢力が拮抗していて、選挙の度に勝利する政党が変動する州のことだそうです。報道機関によって定義の差異はあるけど、アリゾナ州やフロリダ州など12から15州がスイング・ステートだと認識されていて、本作の舞台となる中西部ウィスコンシン州は代表的なスイング・ステートだとされているみたいです。 2016年の大統領選挙後から話は始まり、予想外の敗北だった民主党ヒラリー・クリントン陣営の選挙参謀だったスティーヴ・カレルは大ダメージを喰らう。ディアラーケンというウィスコンシン州の片田舎で住民僅か5,000人の町で、住民の前で共和党的な政策に異議を唱える退役海兵隊員クリス・クーパーの動画が失意のどん底状態の彼の眼に止まる。この人物を民主党から選挙に立候補させて町長にすれば、スイング・ステートであるウィスコンシン州に次回の大統領選での民主党勝利のくさびを打ち込めるというアイデアを思いつく。クリス・クーパーを口説きに現地に赴くが、選挙戦の実務は部下に任せるつもりだったのに自身が選挙参謀になる羽目になってしまう。民主党の大物選挙参謀が片田舎の町長選を仕切るということがマスコミに取り上げられると、現職を助けるために共和党も大物選挙参謀を送り込んできた。 この女性選挙参謀がローズ・バーンなのですが、因縁の男女の選挙コンサルタントがかち合うというプロットは、17年製作のサンドラ・ブロック主演の『選挙の勝ち方教えます』と同じだけど主人公が男女入れ替わっていますね。スティーヴ・カレルのキャラは“(ワシントン)DC・ゲイリー”と町民からあだ名がつけられる様な、内心では田舎をバカにしている都会風を吹かす嫌な感じの男です。ローズ・バーンもあの手この手を繰り出して選挙戦は過熱してゆき、両党ともに巨額の資金を投入してゆきます。スティーヴ・カレル主演の割には意外とコメディ要素は少なめ、ちょっと退屈な映画だと思って観ていたら、ラストではまったく予想外のどんでん返しを喰らって「これはやられた!」と嬉しい反応をしてしまいました。ネタばれになるからこれ以上詳しくは言えませんが、ぜひとも観て確かめてください。とにかく米国選挙制度で動かされる巨額のカネと、民主・共和両党とマスコミのいい加減さというかアホさぶりを強烈に皮肉った結末になっています。この映画に出てくるセリフですが、まさに米国には“選挙経済”というものが存在するみたいです。あと「選挙は数字!」、これもなかなかの名セリフでした。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-10-10 22:09:21)
7.  首(2023) 《ネタバレ》 
北野武の“戦国版『アウトレイジ』”というか“戦国版『日本統一』”といった感じでしょうか。戦国武将たちの国盗り合戦をヤクザ組織の抗争を透写したようなストーリーテリングは、たしかに北野武にしか許されないプロットだったなと思います。『アウトレイジ』で山王会の若頭に出世したのに大友=たけしに復讐されて散った加瀬亮に織田信長を怪演させるので余計に『アウトレイジ』味が感じさせられるのですが、いっそのこと三浦友和・西田敏行・塩見三省あたりまでキャスティングしたらと思ったりしたけど、いくら何でもやり過ぎか(笑)。でも三浦友和は明智光秀には適役のような気がします。■“全員悪人”という『アウトレイジ』のキャッチコピーを引き継いだような武将たちのキャラ付けなんだけど、羽柴秀吉=たけしがここまで悪辣なキャラを演じたというのは北野映画で初めてなんじゃなかろうか。たけしって自作ではヤクザや刑事などのいかにもワルと世間ではイメージされるキャラを演じているけど、ワルなのにどこか人情味があったりお人好しな部分がどの役にもあるんだよな。北野武という人は突き詰めるとナルシストだと自分は分析していてそれがたけしが主演する北野映画には独特の臭みがあると感じるのですが、本作では徹底的にずる賢くて冷酷な秀吉となって今までのパターンからついに脱皮したと思います。だけど彼の年齢を考えるとちょっと遅きに失したの感もあります。でも秀長=大森南朋との掛け合いには往年のビートたけしらしさが見えて面白かったです。また大島渚の影響なのか武士=男色の世界が強調されてまるでBL映画的な様相を呈していますが、百姓出自で無類の女好きだった秀吉にはまったく理解の及ぶ世界ではないという対比は面白い観点だったと思います。■難を言えばやはり極端に走り過ぎた信長像となるでしょうね。終始尾張弁でがなり捲るサイコパスに過ぎないという感じで、いくら何でもあわや天下布武を成し遂げようとしていた傑物にはとうてい見えない。せめて本能寺ではカッコよく果てるのかと思いきや、これまた予想をはるかに超えた最期、これじゃ光秀がいくら血眼になっても信長の首が見つかるわけないですね(笑)。■けっきょく本能寺の変は秀吉が仕組んだというのが北野説となるわけですが、考えてみると『アウトレイジ』で山王会や花菱会の城壁を突き崩せなかった大友=たけしが、ついに雪辱を果たして天下を盗る物語だったとも解釈できるんじゃないでしょうか。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-09-09 22:03:01)
8.  プー あくまのくまさん
「くまのプーさん」と言うたらあの一党独裁国家の親玉のあだ名、あの国ではプーさんというワードや映像はネットでは検閲&即削除されるタブー中のタブー。こんな今や物騒なキャラを怪物ヴィランにするなんて英国にあの国から刺客が飛んでくるんじゃないかと心配するが、案の定香港・マカオでは上映禁止だったそうです。 そんな高尚な志を持ってこのキャラを選んだわけもなく(単に原作小説がパブリックドメインになったからだそうです)、単なるC級スプラッター・ホラーでしかない代物ですが、10万ドルの製作費で420万ドル稼いだんだからそりゃ笑いが止まらんでしょ。なんかこの製作陣は味を占めて、続編は造るし『ピーターパン』や『ピノキオ』が暴れるスプラッターまで企画しているらしい。おまけに今年のラジー賞で作品賞はじめ五部門も受賞する快挙まで、でもねこんな便所の落書きみたいなクソ映画を相手にしたら、さすがにラジー賞の権威(?)が落ちるってもんですよ。 プーもピグレットも単にアニマル・マスクを被っただけとしか見えないし、バカバカしいほど単純な脚本の上に画面が暗くてストレスが溜まるし、ほんと褒めるところがないですよ。まあ妙に理屈っぽくないところと類似パターンが思いつかない救いようのないラストがある意味斬新だったので、プラス一点献上いたします。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2024-08-24 23:13:46)
9.  TITANE/チタン 《ネタバレ》 
こういう観る者を平気で置いてけぼりにしてクリエイターだけで盛り上がる様な映画は、自分は大嫌いなんですよ。交通事故で頭部に損傷を負って側頭部にチタンのなんか判らん装置を埋め込まれた少女が、成長してタトゥーまみれのダンサーになっていて理不尽な殺人を繰り返すという前半は、まあ何となく判らんでもない展開だと思います。でも、その女が部下に自分を神と崇めるように強要する消防署長と出会ってからの後半は、もう何が何だかさっぱり判らん状態になってしまいます。何故か女が妊娠しているみたいでどんどん腹ボテになってくる、これは解説を読んでやっと理解しましたが車とSEXしたからなんで、私みたいにボンヤリ観る主義だと困ってしまいます。殺しの手口以上にエグいのは、この主人公の女が自分の体を痛めつけるところで、かなりのシーンでスッポンポンになりますが、若いのにこれほど汚い(失礼)ヌードは珍しいと言えるぐらい。こういうえげつない描写は監督が女性だからアートっぽく解釈してくれるアホがいるおかげで炎上せず、男性監督ならあの界隈の連中が目くじら立てて糾弾してくることは間違いないでしょう。こんな作品がカンヌ映画祭でパルムドールを受賞するなんて、やっぱカンヌの審査員はどうかしているとつくづく思いますよ、この年の審査委員長はスパイク・リーだったそうですがね。ほんとここ10年のカンヌ映画祭のパルムドール受賞作には、ろくな映画がない。
[CS・衛星(字幕)] 2点(2024-08-09 22:17:36)(良:1票)
10.  サンクスギビング 《ネタバレ》 
『グラインドハウス』のフェイク予告編の長編映画化の第二弾は、イーライ・ロスと来ましたか。あの予告編群の中ではイーライ・ロス編が個人的にはなんか不条理感がマックスだった感じがしてたんだけど、いざ映画化されると王道的なスラッシャー・ムービーになったんでちょっと肩透かしを喰らった気分です。出演者も予告編版ではティム・ロビンスなんかも出てたのに、有名どころではジーナ・ガーションぐらいになったのはやはり予算の関係かな。まず冒頭の感謝祭セールで起こる事件が、ほとんどシュールなコメディにしか見えないところがイーライ・ロスらしいところです。登場する高校生グループやその家族などの犠牲者たちが皆感情移入できなさそうな奴らでしたが、余りに無造作な犯人フラグを始めに様々な登場キャラに立てるけど、そのフラグが次々に倒れちゃうので犯人の正体はぼんやり観ていても目途が付きます。まあイーライ・ロスの魂胆はそんな謎解きじゃないので、気にもなりませんが。お得意のスプラッター描写は今回もフルスロットル状態ですけど、あの人体丸焼き感謝祭ディナーは『グリーン・インフェルノ』の再現というか、私には『コックと泥棒、その妻と愛人』を思い出させてくれました、もっともあんな耽美性は皆無ですけどね。 振り返ってみれば、ストーリーとしてはやり過ぎ感は薄目でスラッシャー・ムービーとしては可もなく不可もなくという感想ですかね。調子に乗って続編が製作されるそうですが、やめといた方が良いと思いますがね。こうなるとこのフェイク予告編シリーズ、次回作はロブ・ゾンビの『ナチ親衛隊の狼女』にしてほしい、ニコラス・ケイジやウド・キアーなどのオリジナル・キャストを変えずにね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-07-30 23:00:05)
11.  Smile スマイル(2022) 《ネタバレ》 
これは完全に『ファイナル・ディスティネーション』や『イット・フォローズ』と同系列のホラーですね。思えばこの系列の始祖とも言えるのが『リング』ですから、Jホラーがハリウッドに与えた影響の強さを再確認させられます。 ヒロインである精神科医のローラが怪異現象に悩まされるようになってからの言動、それを見たり彼女の話しを聞かされる人間にとっては、「この女は完全に狂った…」としか思えないのはほんと無理ないかなと思います。その言動で実姉・婚約者・セラピストとの人間関係を壊したり絶縁されたり、あんなことされたり言われたりしたら誰だった怒りますよね。ここまで魅力的じゃなく不快にさせてくれるヒロインも珍しいけど、演じているソシー・ベーコンはケヴィン・ベーコンとキーラ・セジウイックの娘なんですね。“娘は父親に似た顔になる”とは言いますが、たしかに彼女の顔立ちにはケヴィン・ベーコンのDNAが感じられます。観る者をこれだけ不快に出来るということは、彼女の演技力がやっぱ高いレベルにあるとも言えるでしょう、これもやはり父親譲りなのかな。 本作は典型的な出落ち映画と分類できる感じで、類似作品と違って派手なスプラッター描写もほとんどなく、低予算だったんだなと思います。監督はこれが初の長編映画で、自作の短編映画をブローアップさせた企画らしい。前半のシメントリーに拘った室内シーンや、所々で挿入される天地が逆転してる風景ショットなどにはセンスを感じます。『イット…』や『ファイナル…』シリーズと同じくいわゆる“悪霊の謎ルール”がネタなんだけど、それら元ネタ群と違ってそこまで妙な理屈をこね回すまで至っていないのは好感が持てました。ホラーとしての怖さはさほどではないけど、偽セラピストがヒロインの自宅に来るシークエンスにはゾワッとさせられました。 最近つくづく思うのは、ホラー映画で舞台となる住宅は、なんで間接照明しか着けず室内があんなに薄暗いのかね?まあ雰囲気づくりを重視しているのは判るけど、あれじゃあまりにも不自然だと思いますがね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-07-15 20:44:36)
12.  マッド・ハイジ 《ネタバレ》 
実は私は唯一食べれない食品というぐらいチーズが大嫌いなんです、だからピザなんて産まれてからこの方食べたことがありません、乳糖不耐症というわけではありませんけどね。だからこのおバカ映画を観て震え上がりました、スイスはなんて恐ろしい国なんだ!とね。 クラウドファンディングをしてこの映画を撮りました、って冒頭でアナウンスがあったけど、集めた資金は日本円にして三億円弱だったらしい。これが全製作費だったなら今のご時世では低予算と言わざるを得ないけど、プロデューサーがやはりクラウドファンディングで『アイアン・スカイ』を製作した人だから、二匹目のドジョウを狙ったみたいですね。スイス国内で撮られた初のエクスプロイテーション映画なんだそうだが、衣装デザイナーがスイス伝統衣装協会から追放されたり、アニメ『アルプスの少女ハイジ』の楽曲を使用することを拒否されたり、けっこうトラブルがあったみたいです。でも意外とこの映画には日本要素が紛れ込んでいて、ハイジの盟友クララを紹介するカットではテロップが日本語・カタカナで表示されたりエンディング曲にはヨコハマという歌詞が入っていたりします。撮り方自体は思ったより正統的というかまとも、カット割りや音楽からしてマカロニウエスタンを意識していることが伺えます。でも冒頭のパラマウントのロゴマークのパロディやらけっこう強烈なゴア描写(もっともボカシがきつくてインパクトは少ないけど)などからして、ロバート・ロドリゲスの『グラインド・ハウス』をパクったというかパロった感が強いですね。難点と言うと、やはりハイジやクララを演じる女優が魅力的じゃないことでしょうね、せめて脱ぎぐらい見せろよ。スイスの国民的文学をエログロ満載のダークファンタジーにしちゃったんだから、日本に置き換えると『源氏物語』を元ネタにしてAVを撮っちゃうような感じかもしれないけど、まあスイス人自身がやったことなのでいいのかな。 実にくだらない映画でしたが、思ったより堅実に展開していたストーリーもハイジが暴れ出してからは焼死したはずのおじいさんが唐突に再登場してきて、破綻というかハチャメチャにフルスロットルです。ラストの展開でこれまた続編を撮る気満々みたいなのが判りますが、果たして実現するでしょうかね。しかしながらスイスの国旗が使い方によってはナチのハーケンクロイツと見間違える様な感じになることは、サプライズでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-06-04 23:05:16)
13.  ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー 《ネタバレ》 
う~ん、前作は期待しないで観たら良作だったが、本作は逆にちょっと期待を外す自分には微妙な感じの出来だったかな。思うに前作ではまるで『ジョン・ウィック』のような不思議な世界線を軽妙に描くこと自体に可笑しみがあったのに、とくに前半にベタなギャグを盛り込み過ぎて、その脚本に主演ふたりの女優の演技が着いていけていないというか滑り気味だった感がありました。この二人は肩の力が抜けたガールズトークが持ち味なのに、無理な演技を要求しちゃったみたいです。とは言え後半とくに伊澤彩織のアクションは一段と冴えがあり、やっぱこのシリーズは彼女のアクションがウリですよね。見た目としては普通っぽいほうの高石あかりの方が実はエキセントリックでギャンブル好きで、二作目にして二人のキャラ分けがよりはっきりしてきた感がありました。なんか激闘の末に両者痛み分けという爽やか噺で終わるかと思いきやちゃんと始末をつけるラストは、やっぱこう来なくっちゃと溜飲が下がりました。清掃班には女性スタッフも加わってきて、製作が決定しているような第三作にはやっぱ期待してしまう自分でした。
[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-05-30 22:52:40)
14.  マッシブ・タレント 《ネタバレ》 
最近のニコラス・ケイジの持ち芸である自虐ネタが炸裂しているしプロデューサーにも名を連ねているので、彼がまたヘンな思い付きで撮った映画なのかなと思いきや、外部から持ち込まれた企画だったらしい。一応は彼が演じているのはニック・ケイジというハリウッド俳優ということにはなっているが、これはニコジー本人がモチーフだというのは言うまでもないです。所々でニック・ケイジの別人格であるニッキーが登場してニック・ケイジと論争しますが、ニッキーの見た目やコスチュームが若き日に演じた『ワイルド・アット・ハート』のセイラーそっくりなのが面白い。特殊メイクやAIを駆使したんだろうと思うけど、すっかりふやけてしまった現在のニコジーから良くあそこまで再現できたなと感心します。彼の主演した過去のヒット作からの小ネタが満載なのはファンには嬉しいところですが、なんかこの脚本にはハッチャケ具合が足りないんだよな。基本的にはニック・ケイジがCIAエージェントに仕立てあげられる典型的な巻き込まれ型ストーリーなんだけど、後半になるほどコメディ要素が薄くなってストーリーももたついてきちゃうんですよ。そういう点では段々と正統的なアクション映画っぽくなっているとは思うんだけど、この映画をチョイスして観始めた人はそんなこと期待してないんじゃないかな。そういう点ではなんか中途半端感が拭えなかったというのが感想です。 デミ・ムーアも出演しているらしいけど、いったいどこにいたの?ラストの映画上映後のスタンディングオベーションの中にいたのかな?
[CS・衛星(字幕)] 5点(2024-05-24 23:03:51)(良:1票)
15.  MEG ザ・モンスターズ2 《ネタバレ》 
しょうじき前作はメガロドンとハゲ無双が出ていたなというぐらいしか今や記憶が残っていないが(そういやラストで胎児みたいなのがメガロドンの体内から飛び出していましたっけ)、この続編はのっけから一段とチャイナカラーが強くなってるなというのが第一印象。「モンスター映画の続編は群れで勝負」という鉄則に忠実にメガロドンだけでなくわけの判らんのがちゃんと増えています。何はともかく、この映画のとくに前半はそのムチャクチャな設定でもう開いた口がふさがらない状態。いくらアイアンマンみたいなスーツがあるからと言っても、深海の水圧をここまで無視できるとは大した度胸の脚本だ。そんな7,600メートルの深海で歩き回るというのもふざけているが、生身の人間がそんな深海で酸素マスクもつけずに海中に出るなんて、もう頭がクラクラするほどの衝撃でした。生身で宇宙空間に瞬間的に放り出されて生還するというSF映画を観たことがありますが、水圧のことを考えるとまだこっちの方にリアリティがあります。また前半ではメガロドンはほとんどストーリーに絡まず、ジェイソン・ステイサム主演の単なる深海海洋アクションに過ぎないんじゃないでしょうか。クライマックスでは何の説明もなくクラーケンみたいな巨大イカ(タコだったかな?)が現れるのも訳が判らん。画造りも過去のモンスター映画で使われたショットを、再現というかパクっているだけの箇所が目につきました。中でも鏡をガムで棒に張り付けて敵情を探るというカットがありましたが、これって『プライベート・ライアン』の上陸シークエンスでトム・ハンクスがやったことの丸パクりじゃないですか。こんな意味がなく顰蹙を買いそうな演出を平気でする監督のセンスの悪さが、もうバレバレです。ハゲ無双・ジェイソンはやはり元オリンピック飛び込み選手だけあって、泳がせたらやっぱこの人の右にでる者はいないって感じでしたね。でもサメと闘うのは、もういい加減にしといた方がいいと思います。
[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-05-21 22:53:49)
16.  決戦は日曜日 《ネタバレ》 
日本じゃ選挙戦そのものをテーマにした映画はほとんど見かけないけど、たいていは挑戦する側つまり野党候補の視点のストーリーしかなかった様な気がするが、与党のそれも普通であれば当選見込みが高い世襲候補が主人公というプロットは初めてなんじゃないかな。いかにもお嬢様育ちという雰囲気の宮沢りえのわがままし放題の候補者ぶりには始めはとてもじゃないけど感情移入出来ないけど、あの「各々」を「カクカク」と読んで恥じないところには笑ってしまいました。これは漢字の読みに弱い某総理経験者のパロディでした。本職の選挙アドバイザーが製作に参加していたそうなので、選挙戦の流れなんかは素人にも判りやすくて良かったです。でもホントに凄かったのは、脱力系と言うか曲者揃いの秘書軍団と後援会幹部および地方議員たちでしょうね。小市慢太郎が演じる筆頭秘書なんかは普段は物静かな能吏という感じだけど、裏ではいろいろと地元建設業者あたりを使って私腹を肥やしているし、地方議員たちにも一歩も引かずに張り合っている。終いにはキレて宮沢りえを怒鳴りつける始末で、やっぱ国会議員秘書ってけっこう強面なんですね。窪田正孝もそうだったけど、この秘書軍団のパワーワードは「いろいろありますが、これが最善の策なんです」、これでわがままお嬢さん候補を引っ張らないといけない、こりゃ大変です。それにしても、国会議員と地方議員や業者との関係をここまで赤裸々に見せてくれる映画は初めてなのかな。 面白いのは、二年前の映画なのに本年に政界で起こった出来事を予言している様な感じがあるところです。落選活動(?)を始めた宮沢りえが対立候補の街頭演説に割り込んで妨害活動するところなんか、まさについ最近に警察沙汰にまでなったあの騒動を彷彿させてくれます。けっきょく色々と愚行を繰り返してネットでは炎上できたのに低投票率で組織票が強い与党・宮沢りえ候補が当選、まさに現代日本の選挙制度の最大の問題点をしっかり浮き彫りにしてくれました。 ヘンにおちゃらけたり過度にオフビートすぎることもなく、諧謔とシリアスな主張が高いレベルでバランスがとれた良作でした。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2024-05-15 23:08:09)(良:2票)
17.  アルプススタンドのはしの方 《ネタバレ》 
甲子園出場の地方大会に義務的に動員された生徒たち、本気で熱くなっている応援席から離れたアルプス席に逃げ込んだJK二人と野球部を途中脱落した男子生徒の会話が面白い。野球のルールが全く判らない二人の会話に元野球部が突っ込みを入れるところが延々と続くが、これがグラウンドを全く見せないから試合の進行を観客に説明する仕組みにもなっている。私らの世代と違って最近の子供たちの野球離れが話題になったりしているので、野球に興味がなく基本的なことも知らないJKがいてもちっとも不思議じゃない世の中になってるんですねえ。 良くも悪くも高校演劇部には相応しいストーリーだったかなと思います。でも色んな意味でしらけた高校生活を送っていた四人が、高校野球の応援を通じていつの間にか熱くなってゆくところには、素直に共感できました。イマイチ感情移入できなかった自分ではありますが、青春映画としては良作だと思います。ただ「人生は送りバントだ」みたいな陳腐なことをドヤ顔で言うあの鬱陶しい教師の存在と、どう考えてもいらん付け足しだったと思うエピローグのせいで、マイナス一点!
[CS・衛星(邦画)] 6点(2024-04-21 23:00:59)
18.  ワイルド・リベンジ 《ネタバレ》 
私の中での映画を観る前のチェックポイントの一つに、製作者や製作総指揮にどういう名前が挙がっているか、そしてそれは何人ぐらいがリストされているかという事があります。大体にして、“船頭多くして船山に上る”じゃないけどこの人数が多ければ多いほど駄作率が高いという経験則があるんです。それがこの映画はIMDBで確認したらなんと42人!「むむ、これは…」と覚悟を決めて観始めました。 それが意外なことに、全然並みの映画以上の出来栄えで見事にジンクス破りをしてくれました。主演がジャック・ヒューストンで、自身も恋人もヤク中のブルーカラー男。婚約を機に二人してヤク絶ちをして人生やり直そうと苦労するけど、あと少しというところで恋人は売人に唆されて中毒死してしまいます。そして怒り狂った主人公は、若い頃はマスタングと呼ばれていた気性の荒さが復活して、お約束の復讐劇となり密売組織を潰しにかかります。典型的なインデペンデント映画ながらも、ヒューストン以外にもロバート・デ・ニーロとジョン・マルコヴィッチというビッグネームが出演しているんですよ。デ・ニーロは田舎町の老シェリフで、ファーストショットから登場して、いわばこの映画の狂言回しみたいな立ち位置だったと思います。でもさすがデ・ニーロ、こんなマイナーな映画でも彼が姿を見せるだけで引き締まった映画になるんですね。映像にも拘りが感じられて、やたら空撮(たぶんドローン撮影でしょう)が多用されていて、この映画の陰のモチーフが浸礼(パブテスマ)みたいだから、いわゆる神の視線を印象させる意図があるのかも。この映画の最大の弱点は、恋人が中毒死するまで二人がヤク絶ちに苦しんでいる描写があまりに長くて、これだけで尺の半分はあります。その後にヒューストンが復讐に駆け回るようになると俄然アクション映画要素が強まるだけに、決して不必要とは言わないが前半はちょっとテンポが悪すぎだったのかな。まあラストにかけては意外な展開とそれなりのカタルシスもあるので、そこは相殺されたかなと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-04-18 22:57:17)
19.  ジョン・ウィック:コンセクエンス 《ネタバレ》 
相変わらずぶっ飛んだ世界線の本シリーズもついに最終章(なのかな?)に突入です。冒頭で主席連合の上位に立つとされる首長がジョンにあっさりと射殺されてしまいますが、このジョンの行動にはちょっと説明がつかない感じがありました。代わって主席連合のトップに立つのがグラモン侯爵なる若造、彼が本作での最凶ラスボスという位置づけなのですが、貴族ぶった言動をするだけで最後まで銃を一発も撃つこともなくて悪役としては拍子抜けさせられます。そしてジョン・ウィックに絡む旧友二人がどちらもアジア人のドニー・イェンと我らが真田広之となります。盲目の暗殺者イェンの能力は超人と言うよりも超能力者というレベルですが、この人の動作やアクションには華というか男の色気の様なものすら感じさせられます。できればこのケインというキャラは真田に演じて欲しかった気もしますが、イェンの方がハリウッドではまだ格上ということなんでしょうね。まあ真田が演じたコウジというキャラも十分にカッコイイんですけど、彼に割り当てられるキャラはパターンが決まっているような気がするのは、自分だけでしょうか? 凱旋門のロータリーでの銃撃戦や200段の階段落ちなど、今作では体を張った見せ場が多かったかなと思います。キアヌ・リーヴスも、ローレンス・フィッシュバーンがプレゼントしてくれた完全にスーツスタイルの防弾着のおかげで、車にはねられても弾を喰らってもダメージが少ないという設定でしたが、いくら何でもこのスーツ無敵でしょ(笑)。キアヌは基本(?)に忠実で必ず相手の頭や顔に何度も弾をぶち込むのに、なんで敵の弾は頭部や顔面に当たらないのかな?すいません、野暮でした(笑)。 最近は『ミッション・インポッシブル』シリーズやジェイソン・ボーン作品群などシリーズになったアクションものが多いけど、その独特な世界線も含めてこの『ジョン・ウィック』シリーズが私には一番のツボでした。ジョン・ウィックよ安らかに眠れ!と哀悼の意を示すところですが、まさかの第五作目製作の噂が…それじゃあ『アウトレイジ』になっちゃうじゃん!
[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-04-03 22:52:45)
20.  M3GAN ミーガン 《ネタバレ》 
人形ってよく考えると怖いですよね、とくにそれがリアルな造形であればあるほどね。そういう人形/人型ロボットはホラーではけっこうこすられた題材ではあるが、その中でも本作は新境地を拓いたかもしれません。 おもちゃの人形ホラーと言えばもちろん『チャイルド・プレイ』が有名だけど、チャッキーはあくまでただの人形おもちゃでそこに悪霊が憑りつくというある意味正統的なストーリー。対するミーガンは自己学習するAIを組み込んだ最新型ロボットというところがミソです。失敗作続きでクビが目前になったおもちゃメーカーの技術者が突然の閃きからこんな凄いものを開発しちゃうと言うのはちょっとご都合主義が過ぎるけど、メーガンのシステム自体は現実のテクノロジーを盛り込んだ“なんかほんとに造れそう”感があるところが良いです。記憶部分がクラウドに蓄積されるなんて“なるほど”と感心しました、なんせこれなら本体にメモリーシステムを装備しなくて済みますからね。前半がタルいという意見も見受けられますが、私はメーガンがケイディとの交流から母子感情を学習してゆく過程を丁寧に描いているので良かったと思います。ケイディの叔母のジェマはほぼ育児放棄しているような感じですから、ケイディがまるでスマホ依存症みたいに“ミーガン依存症”になってゆくのは納得できますね。後半になるとその賢くなりすぎたミーガンが完全に怪物化する展開は、もうチャッキー人形とターミネーターのパクりみたいになるのはちょっとありきたりかなと感じます、まあみんなこの展開を待っていたんでしょうがね。そこでバズったのが例のミーガンのタコ踊りダンス、確かにこれはインパクト絶大で、もっとダンスして欲しかったな。ラストの展開はまあ読めたけど、ブルースの登場は予想外でした。中盤でミーガンのデータに不正アクセスしていた社員、あっさり殺されちゃったけどこの外部流出されたデータがきっと続編のネタになるんだろうな。 確かにミーガンはおもちゃと考えると凄い製品だけど、商品化したらどう見ても一万ドルは下らないだろうな、そんな高価なおもちゃ誰が買うんでしょうかね?やっぱチャイナマネーかな(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-01-25 22:49:56)
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