1. 緋色の街/スカーレット・ストリート
もしかしたらフリッツ・ラング監督の最高傑作ではないでしょうか? 1945年という何とも言い難い年に、ハリウッドでは、こんな映画が作られていたんですね。 彼は客が満足するようなハッピーエンドより芸術性を貫いたことが十分伝わってきます。洒落たセリフ、小道具、シャレード、伏線、使われた音楽が見事と言っていい、「本当に面白い映画とはこれだ!」と言いたくなります。 心温まる映画かと思いきや、人間の汚い部分を見事に描いてあり、笑い、エロス、涙、恐怖、全てが含まれています。 私にとって永遠に残る逸品となりました。 ヒロインが画家を演じるシーンでは笑ってしまいました。だって、佐村河内氏と新垣さんと同じなんだもん! 当時のハリウッド特有のオールセットなのも見どころの一つです。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2014-04-17 15:50:55)(良:1票) |
2. 天井桟敷の人々
3時間以上にもかかわらず、とても楽しめました。バチストのパントマイムは今見ても、高度なテクニックではないかと思います。ラストが印象的でした。ヒロインのガランスにむけた、ナタリーの名台詞は感動的です。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2014-05-29 01:22:25) |
3. 第三の男
これこそ脚本の腕ありきといった映画。 CGやミーハーな役者でごまかそうとしない面白さが発見できる。 因みに、このDVDは現在、様々なメーカーから発売されているが、最悪なのは「アイ・ヴィー・シー」。値段が高い上に、冒頭で淀川長治がラストまで全て語っている。この解説は早送りしない限り、自動的に再生されてしまうので、鑑賞するときは要注意! お勧めのメーカーは、マックスターで、日本語吹き替えがついている。このメーカーの吹き替えは、素人が字幕を棒読みしているような代物ではなく、無名かもしれないが、ちゃんとした声優がこなしている(字幕とセリフは完全に違う)。 オークションで購入すればレンタルより安い。 この時代の白黒映画はリマスターしたところで、画質の違いに差はほとんどないので不安なしに鑑賞できる。 [DVD(吹替)] 9点(2008-12-22 01:05:07)(良:1票) |
4. にがい米
この映画、当時見ていた人の感想を聞いてみたいです。 おそらくストーリーなんて理解しようとした人はいなかったんじゃないでしょうか。 この映画の目玉は、当時18歳のシルヴァーナ・マンガーノの豊満な肉体美だと思います。 ブルーレイディスクのジャケットも、彼女のムチムチの太ももが全開。 私は内容も知らずに、ジャケ買いしてしまいました。(笑) 彼女の腰をクネクネさせたダンスも最高です。 腋毛もわざと見せているようです。 それだけの映画ですが、商品は購入価値、十分にあります。 物語は一応、重圧なものが感じられます。 [DVD(字幕)] 8点(2020-11-04 01:48:24) |
5. 飾窓の女
《ネタバレ》 フリッツラング監督の安心して観られる映画です。個人的には「緋色の街・スカーレット・ストリート」の方に軍配が上がります。ジワジワくるサスペンスですが、夢オチなのが残念なところです。それ以外は最高。 [DVD(字幕)] 8点(2014-08-21 03:27:01) |
6. 静かなる決闘
《ネタバレ》 三船敏郎さん演じる正義感燃える医師と千石規子さん演じる見習い看護師の5分近い長回しセリフのやりとりには圧巻でした。 梅毒って怖かったんですね。 感想が書きづらい映画ですが見ごたえ十分です。 西部劇みたいなタイトルで誤解されそうですね。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-01-06 02:54:58) |
7. 誰が為に鐘は鳴る
私は「ワールド・プレミア上映版」という2時間40分バージョンを観たのですが、いやいや、インディ・ジョーンズ顔負けって感じのゲイリー・クーパー、ヒロインのイングリット・バーグマン、最高でした。 1943年製作。当時の日本は戦争の最中だったことを考えると、よくもまあ、どっちが勝利するかも分からずに、ナチスドイツ、イタリアを敵に回した映画なんてつくったなぁと感心してしまいます。 セットでの撮影も多かったですが、戦車など本物の迫力は見ごたえがあります。 主人公二人のメロドラマが目立つと、よく言われていますが、この時代に遠まわしに残虐行為を表現するバーグマンのセリフはとても重々しく感じます。 原作のヘミングウェイが本作に酷評をしたそうですが、ハリウッド映画とはこれだ!という強いインパクトがあって、私的にはとても感動させられました。 [地上波(字幕)] 8点(2012-02-22 00:13:14) |
8. カサブランカ
《ネタバレ》 サスペンスとラブロマンスが絡み合って結論から言うと最高と言いたいのですが、どうも私には、モロッコ、カサブランカ、という地名に馴染むことができず、時代背景を描く前半15分が退屈でなりません。 リックとラズロ、二人を同時に愛しているイルザに、な~んか…ズル賢く感じてしまうのは私だけでしょうか? これが反対に、二人の女を同時に愛する男と設定を変えたら、女性はその男に共感できるのでしょうか? 製作中も、どちらの男がイルザとアメリカに行くか決まってなかったそうですが、一番美味しい役を演じたのは、やはりハンフリー・ボガードだと思います。 この時43歳のボガード……う~ん、私には60歳くらいにみえる。 [DVD(字幕)] 8点(2009-10-17 08:13:07) |
9. 女相続人
《ネタバレ》 知られざるクラシックムーヴィーの名作だと思います。 世間知らず、純粋無垢に育った娘キャサリン、その婚期を焦るキャサリンに無一文のハンサムボーイが求婚を迫る話です。 財産と愛、その区別がつかないキャサリンは途中騙されたことを知り、男の魂胆を知っていた父までも失い、人間として成長していく過程が微妙なタッチで描かれていくのです。 世間を知っていく女の変貌は本当に冷たさを感じて恐ろしい。 男性の皆さん、純粋に生きる女性を傷つけると罰が当たりますよ。 現代でも同じような恋愛模様が続いている以上、本作に普遍的なものを感じ取ることが出来ます。 人間の素直な感情がリアルに表現された映画です。超お勧め! [DVD(字幕)] 8点(2009-08-27 04:56:33)(良:1票) |
10. 我等の生涯の最良の年
《ネタバレ》 戦争終わって1年後に、こんな映画作っちゃうアメリカは凄いです。 見終わって本作についてウィキペディアなどで調べてしまいました。 出演者のクレジットの順番。 義手の人。 綺麗なブロンド美女の悪妻を演じた女優さん。 制作の経緯。 オスカーetc… 特に義手の役者さんは本作が終わった後も両手が義手のまま生活を続けなければならないんですよね。 手先が器用だけど、お尻とかどうやって拭くんだろうかと真剣に考えてしまいました。 今の日本には忘れられてしまっている本作ですが、終戦記念日に見る価値のある作品だと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-08-15 08:56:43) |
11. わが谷は緑なりき
ここまで人間を描ききった映画も珍しいです。 ヒュー少年がロディ・マクドウォールだというのは後になって知りました。 ビックリです。 少年が社会の綺麗な面、汚い面を見ることによって成長する過程は素晴らしいと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-05-15 13:45:07) |
12. 深夜の告白(1944)
戦時中に作られたとは考えられないレベルの出来。 いい意味です。 冒頭から、テープレコーダーに殺人を告白する主人公のシーンで始まります。 この頃、すでに「刑事コロンボ」の形が出来上がっていたという訳ですね。 多少シナリオに粗が目立ち、最初は退屈しましたが、物語が進んでいくにつれ、時間を忘れてしまいました。 主人公と人妻、その義娘、そしてその彼氏の関係が絡んでいく過程が見事だと思いました。 そういった点はムダがないですね。 機会があったら是非一度ご覧になっていただきたい作品です。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-02-21 21:33:13) |
13. 桃色(ピンク)の店
《ネタバレ》 本作のリメイクの企画を作ったのは、パソコン普及とピッタリあった時で、ある意味運命かもしれませんね。 ただ、パソコンだと、出会い系サイトという、少し後ろめたいイメージと違い、文通やアマチュア無線で友達を得た時代は純粋さがあったと思います。 観客は途中から待ち合わせを約束した文通相手が誰なのか分かった男性と同じ立場になり、最後の最後までわからない女性にもどかしさを感じたりもします。 ですが、時間も100分とコンパクトに収められ、台詞のやりとり、サブキャラも全て個性があって、A級のロマンティックストーリーであると断言できます。 「C」として挙げれば、この邦題タイトルからは観賞意欲が全く湧きません。 いっその事「ユー・ガッタ・メール(オリジナルバージョン)」にしちゃえば? [DVD(字幕)] 7点(2009-11-04 01:02:14) |
14. ギルダ
《ネタバレ》 説明が少ないので、イマイチ何に追い詰められているのかピンと来ないのですが、観る側に感情移入させる、男と女の会話のやりとりは絶品です。それに加えて、まるで裸で踊っているようなリタ・ヘイワーズのカメラアングルは、リアルタイムで観た人たちにとっては一生に残る衝撃が走ったのではないでしょうか? 「ショーシャンク」で扱われた効果もよく出てますしね。 字幕での鑑賞後に気がついたのですが、DVDには吹き替えが入っていて、比べると吹き替えの方が理解しやすいです。 後半、時間経過が作り手側の都合だけで進んでしまっているのが、つまらないと言われる原因だと思います。 でも一見の価値あり。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-19 01:32:30) |
15. 市民ケーン
鑑賞後の満足度は世代に反映されると思う。 現在、この手法を発展させて、様々なサスペンス映画が製作されているので、若い人ほど、さほど驚かないだろうが、年齢が高い人間ほど、その斬新さを感じ、記憶はいつまでも残ると思う。 因みに現在、様々なメーカーからDVDが発売されているが、個人的には吹き替えが収録されているマックスターをお勧めする。 吹き替えは、ただ字幕を棒読みしたものではなく、無名かもしれないが、ちゃんとした声優が字幕とは違う「日本語」を話してくれる。 字幕を追ってストーリーを追求するのとは解釈が違ってくるはずだ。 英語を理解できない日本人にとって、字幕とは記号でしかないのだ。だから私は吹き替えをお勧めする。 最悪なのは、淀川長治の解説を収録したアイ・ヴィー・シー。絶対にお勧めしない。あの爺さんは、ラストまで全て語ってしまっていて、早送りしない限り、冒頭から自動的に再生されてしまう。 オーソン・ウェルズだったら「第三の男」のほうが絶対お勧め!! [DVD(吹替)] 7点(2008-12-22 01:27:47) |
16. 扉の影の秘密
ヒロインのモノローグで進められる一人称の展開ですが、1947年というと戦争が終わって2年。何か製作者の意向に反して無理やり展開を変えさせられた感じがして、ラストがあっけないです。 結局誰が悪者だったのか、観終わって、もう一度考えなきゃいけない映画でした。 途中まではハラハラドキドキで面白かったんですけどね。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-04-17 07:35:26) |
17. 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)
《ネタバレ》 昔、ジャック・ニコルソン主演のリメイクを観て、とても面白かった記憶がありますが、本作は人間ドラマの心理状況が秒単位で変わっていくので、退屈される方は沢山いると思いますす。 冒頭で、調理中のフライパンの食べ物を掻い摘んでいたフーテンの主人公が、女に未練を求め、メソメソ泣き面を表していく展開は興ざめしてしまいました。全く感情移入できません。 女は「永遠の愛」を求めていたように話していたけど、結局は脂ぎった背中のデブ亭主と一生を共にするのが厭だっただけなんですね。 のんびりしたストーリーですが、細かい描写にしっかりと計算されていたものを感じることが出来て、それなりに観賞する価値はあります。 この作品の発展形が「夏の嵐」「イノセント」ではないかと思います。 [DVD(字幕)] 6点(2009-08-12 07:24:42) |
18. 疑惑の影(1943)
《ネタバレ》 コイツ犯人かな?どうかな?…と思わせるヒッチコックの典型的な作品。でも、殺した女のイニシャルが彫ってある指輪を姪にプレゼントする奴がどこにいる?!ってツッコミ入れてしまった。 姪に渡すまで本人は気づかなかったなんて絶対に不自然だと思う。 [DVD(字幕)] 6点(2009-07-24 19:29:10) |
19. 野良犬(1949)
当時としては斬新なアイデアだったかもしれないけど、今となっては、古臭いだけのような気がする。 ようするに、この後、いろいろな映画やドラマで参考にされたというんんでしょうね。 スピルバーグの「激突」でも同じようなシチュエーションが使われているのを知りました。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-01-07 22:19:40) |
20. 心の旅路
《ネタバレ》 まるでジェーン・オースティンの作品を見ているような気分でした。 鑑賞前にレビューの多くが「ご都合主義」「でもラストが感動」と書かれていたので、私はラストに期待したんです。 ですが、正直、このリアリティのない「ご都合主義」展開にどこまで許容範囲があるのか試されるようでしたね。 ラストで記憶が蘇ったリチャードが、マーガレットを「ポーラ」と呼ぶシーンはよかったと思います。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2021-02-04 23:14:33) |