1. 鬼畜
《ネタバレ》 なんとも点のつけにくい作品。子供の喋り方が嫌だとか、後半岩下志麻が出てこない所とかが嫌だ、とか色々気になるところはあるんですが、すごい映画です。 物凄く綺麗で紅い夕日と向かい合って、子供を海に落とす親。私はあのシーンがとても心に残っている。恐らく子供が産めない岩下志麻にとって子供は眼を逸らしたい存在である。ましてや手中にあると思っていた旦那が囲っていた女の子供。憎くて憎くて堪らないはず。しかし緒方拳は岩下志麻と違い、彼は彼なりに子を愛し、子も彼の事が好きだ。なぜ彼は殺さなければならなかったのか。 彼は自分で行動する事が出来ない。それは彼の出生に深く関わっていると思われる。生まれた時既に父親がおらず、長男と同じ歳の6歳の時に母親も消える。その後は親族の家を転々とし、どこでも厄介者扱いされ、飢えながら、1人ぼっちで生きてきた。それを大人になった今でも涙が溢れる程傷を負っている。きっと幼い頃の彼は、なるべく目立たないように、できるだけ小さくなって生きてきたんだと思う。印刷屋で働きだしたのも居候していたおじに奉公に出されたから、お給料は全ておじの借金に何年もとられる。自己の個性を出すスキなんてないし、自発性は更に消える。きっとそんな人生だったから岩下志麻の言われるままに子供を殺す。緒方拳はあの男の子と自分を重ね合わせていたと思う。更に彼は、子供があんな思いをするくらいなら今死んだ方が・・と思ったか(極めて自分勝手だが)、自分が向かい合いたくない過去を子供に見たからか、いづれかでも殺さなければと思った。しかし、何度も殺すチャンスがあったのに、彼は殺せなかった。あの怖いくらいの夕焼けに助けられないと殺せなかったのだ。それがとても悲しくて恐ろしかった。 あの子供が「おとうちゃんじゃないやい、よその人だい!」っていったのには胸が熱くなりました。はたして言葉通りの意味か、かばったのか‥。もしかしたら自分が捨てられたと思いたくなかったのかもしれません。なんにせよ悲しすぎます。 彼が子供が生きてて心底救われた事に、私自身も救われた。 あの生き残った男の子が、彼と同じような人生を歩まない事を祈るばかり。 [DVD(邦画)] 7点(2009-01-12 20:17:45) |
2. サスペリア(1977)
《ネタバレ》 恐怖ではなく不愉快・不気味という方が強いです。蛆虫大量発生はキモかった。この映画は始終不気味なBGMが流れているのですが、死んだ友達が出てくるシーンではその瞬間バタン!というドアの開く音だけになったので、不覚にも驚いてしまいました。 全体的にホラー的な怖さはそんなにないので、怖いもの見たさで鑑賞してしまった私は肩透かしでした。あの不気味な音楽が流れるので「くるか?くるか?!」って期待していると、何にもなかったり。でだしの壮絶な死に様は徹底していて恐ろしいですが、やっぱり古い映画なのでリアリティは無く怖くないです。 この映画は、怖がりたい人が見るのは間違いで、作品として見たい人が見るべき映画なのかなぁと思います。 音楽とインテリアや照明の色味が素敵です。 [DVD(字幕)] 5点(2009-01-11 15:33:16) |
3. ハウス/HOUSE(1977)
《ネタバレ》 なんだこれ!すげー!真剣ふざけてる!!笑 これが30年以上前の映画??信じられません。古いのか新しいのか不明な作品だ‥。漫画の中から出てきたとしか思えない不自然なノリの女子たち、必要ない所でもすっごい綺麗な絵画が背景、完全にキモイ小林亜星‥。シュールだ。メインの動きの後ろでチョコチョコ小ネタいれすぎ。笑 おばあさんが冷蔵庫にしゅるりと入った時、口の中でぎょろっと動く目、ちょっと怖かったです。 でも明らかに爆笑なシーンが多いです。小林亜星がダバダバしながら「あんたスイカ好きかぁぁぁ~!」「スイカ嫌いぃぃ~(?)」のシーン、カンフーの形に抜ける壁、「ハッ‥」「唇‥」「大きすぎる‥」の流れ、雰囲気とテンポが秀逸過ぎて爆笑!面白い!カンフーいいなぁ。先生は何で大量のバナナになったのか?? 最後PVの如く池上きみこが切なげな顔で髪を振り乱す映像(スロー)とともに、「愛する人はいつまでも心の中に生きている云々~…」とかいって綺麗にまとめようとしている。完全にふざけてます。これ作る時楽しかっただろうな~! [DVD(邦画)] 7点(2009-01-11 01:52:43)(良:1票) |
4. コーマ
第一印象ではそこ迄怖くないと思ったのですが、あの異様な雰囲気を醸し出す研究所が夢に出てきました。超怖かったです。楽しめる映画だと思いますが、あの謎の研究所以外はそこまで印象には残らなかったです。 [DVD(字幕)] 6点(2009-01-08 19:24:42) |
5. 時計じかけのオレンジ
ダメでした・・。タイトルは秀逸ですよね。インテリア・色味・状況の見せ方なんかはもうほんとずば抜けてると圧巻でした。でも、内容・展開の悪趣味さが逆説的に前衛的なセンスなのだろうけど、センスがないのか私はそのままただ悪趣味と思ってしまいました。残念です。 [DVD(字幕)] 4点(2008-12-13 21:55:44) |