1. ラビリンス/魔王の迷宮
《ネタバレ》 ゴブリンの王にさらわれた弟を救い出すため、異世界を旅する少女を描いた冒険ファンタジー。パペットや合成を駆使した特撮映像は今見てもそんなに違和感ないですが、やはり時代を感じさせますなぁ~。それでも小人たちの表情豊かな演技はワクワクさせられちゃいますね。まるで生きているみたいなリアルさで、CGがない時代にここまで造り込めたのは凄い。この独創的な世界観はけっこう好みでした。ゴブリン王を演じたデビッド・ボウイもやっぱカッコいい!!とはいえ、さすがに中身がなさ過ぎますかね、これ。始まり方もフワフワしてたし、中盤の展開もフワフワしてたし、終わり方も結局夢オチ?みたいでフワフワしてたし……。全体的にすっごいフワフワした映画でした。 [DVD(字幕)] 6点(2022-12-27 04:11:15) |
2. キング・オブ・コメディ(1982)
《ネタバレ》 マーティン・スコセッシ監督&ロバート・デ・ニーロ主演、この黄金コンビの映画ほぼ全て観てきたつもりだったけれど、その中でも意外に見落としていた本作を今更ながら今回鑑賞してみました。どうして今まで手を出していなかったかというと、このド直球なタイトルから、才能あふれるコメディアンの卵が努力と下積みの末にトップに成り上がるサクセス・ストーリーだと僕が勝手に思い込んでいたせいでいまいち興味を惹かれなかったから。でも、意外や意外、これって全然そんな話じゃなく、むしろ『タクシー・ドライバー』のブラック・コメディ版のようなかなりイタいおっさんの妄想炸裂映画じゃないですか!本作の魅力は、もうとにかくこのロバート・デ・ニーロ演じるルパート・パプキンの強烈な印象に尽きると思います。勝手に自分に才能があると思い込んで、夜な夜な自分がスターになる日々を妄想し、師事するコメディアンにストーカーまがいの付き纏いを続けた挙句、最後はあり得ないほど暴走しちゃうというとにかく全てがイタイ奴。いやー、でもなんか嫌いになれないんですよね、この人。きっと何処かでこのおっさんの気持ちに共感しちゃってる自分が居るからなんでしょうね。ここらへんはやはり名優ロバート・デ・ニーロの類稀なる演技力による部分が大きい。特に、勝手にスター・コメディアンの別荘に乗り込んじゃうシーンは、そのイタさ爆発という点で出色の出来でした。後半のキチ〇イ金持ち女との名コンビぶりなんてかなりキレッキレで、もう爆笑。スコセッシってコメディを撮る才能もあるんですね。そしてこの主人公、なんだかんだやらかした挙句に最後は好きな女にええかっこして本懐を遂げる……。スコセッシ、こういうモテない男の気持ちがよく分かってらっしゃる(笑)。うん、『タクシー・ドライバー』より断然こっちの方が面白かった!8点!! [DVD(字幕)] 8点(2020-04-14 22:01:06)(良:1票) |
3. ブルース・ブラザース
《ネタバレ》 刑務所から出所したばかりの元バンドマン兄弟、その名もブルース・ブラザーズ。子供のころに恩になった教会を救うため、再び音楽活動を始めた彼らの波乱万丈の活躍をコミカルかつダイナミックに綴ったミュージカル・エンターテイメント。何かと有名な本作を今さらながら鑑賞してみました。うーん、時代のせいなのか僕はそこまでのれなかったですね、これ。確かに面白い部分もいくつかあったのですが、全体的にはそこまでって感じでした。余談だけど、タモリ倶楽部の空耳アワーで何度も取り上げられた有名な曲は、リメイク版で使われてたみたいですね。原曲を普通に聴いてみたかったのに、ちょっと残念でした。まあ本当に余談ですけど(笑)。 [DVD(字幕)] 6点(2019-08-02 23:48:23) |
4. ロボコップ(1987)
《ネタバレ》 ポール・バーホーベンの映画って昔からけっこう好きで、その代表作はたいがい観てきたのだけど(特にスターシップ・トゥルーパーズは傑作!)、僕が個人的にロボットものがあんまり好きじゃなかったせいで、この彼のもっとも有名だろう今作だけはずっと未観賞のまま、いまに到ってました。しかし、最近ゲーリー・オールドマン主演でリメイクされたということもあり、今更ながらこの度鑑賞。うん、さすがバーホーベンのハリウッドデビュー作だけあって、後に開花する彼の才能の萌芽が見事に芽吹いておりました。さすがに特撮や画面の古臭さは仕方ないですけど、それを補って余りある、ドラマティックで深いストーリー展開、過剰なまでの暴力描写、シニカルで乾いた世界観、そして悪ふざけ一歩手前の絶妙なユーモア感覚…。覚醒したヒーローが巨悪へと立ち向かうという、言わずもがななスーパーヒーローものの古典的名作として、のちにCG全盛時代に突入し一大ブームを巻き起こすマーブルやDCコミックスの映画化作品の全てのルーツだと言っても過言ではないでしょうね、これ。特に、記憶を取り戻しつつあるロボコップが、かつて愛する家族と共に過ごした無人のマイホームへと訪れ、過去の幸せだった日々を徐々に甦らせてゆくという切ないシーンは出色の名シーンでした。一転して犯人たちとの激しい銃撃戦シーンでは、要所要所でばっちりきまっちゃうロボコップのキメポーズがいちいち格好良いし(笑)。あと個人的に良かったのが、ときおり差し挟まれるフェイクCM。スターシップでも多用されていた、この遊び心爆発の馬鹿馬鹿しい演出が、僕的にはけっこうツボでした。いやー、今更ですけど、やっぱり面白かったっす!ロボットだからって食わず嫌いは、やっぱ駄目だね! [DVD(字幕)] 8点(2014-04-02 19:05:47)(良:2票) |
5. ヘル・レイザー
《ネタバレ》 とにかく有名な映画は何でも観てやろうと捕虫網で色んな虫を捕まえるかのごとく色んなジャンルの映画をひたすら観まくっていた10代のころ、そんな僕の感性という網にぎりぎり引っ掛からず、ずっと未見のままだった今作。何気なくビデオ屋さんで旧作コーナーを眺めていたら、ふと目に付いて「そう言えば、これってけっこう有名でこの表紙に描かれた虫ピン親父も色んなトコで目にしたなぁ。よし、今更だけどいっちょ観てやるか!」とこの度鑑賞してみました。うーん、経年による画面のチープ感や特撮の古臭さは仕方ないにしても、確かにB級カルトホラーとして唯一無二の世界を構築しているのは分かるのだけど、ちょっと僕の感性とは合わないかなー。「死霊のはらわた」や「ザ・フライ」みたいな、徹底的に馬鹿かそれか優れた人間ドラマを内包したような作品のほが好みっす。でも、愛する男と再びHしたいがために見ず知らずの男を生贄として殺しまくる欲求不満の不倫ババアは、確かにインパクト大(正直、虫ピン親父より、ある意味こっちの方が怖いし笑)。まだ女性に多大な幻想を抱いていた、清らかな童貞だった10代のころに観なくてほんと良かったー。「もしまかり間違ってこの肉食ババアに僕の童貞が奪われでもしたら、一生立ち直れないだろーな…。は、ははは…」と確実にトラウマになっただろうし。20年ぶりに、当時の僕の感性という名の捕虫網はやっぱり間違っていなかったと再認識(笑)。 [DVD(字幕)] 6点(2013-11-11 18:43:31)(笑:1票) |
6. マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ
《ネタバレ》 やるせない悲しい現実の世界に生きる無垢な少年イングマル。結核を患うお母さんのために、彼は大好きな犬とも別れ、田舎の親戚の家にしばらく引き取られることに。美しい自然の世界で、自由奔放に生きる個性的な人々に出会い、イングマルは少しずつ大人になってゆく。常に屋根の修理をしている人、下着カタログを読んでもらうことで心の平穏を得る老人、ちょっとエッチなお姉さん、そしていつも男の格好をしている美少女・サガ。そんな何処かおかしなところがあるのだけど、とても魅力的な登場人物たちとの交流を通して、思春期入りたての子供たちの一瞬のきらめきを見事に捉えた本当に美しい映画でした。特に、心優しい人々ばかりの瑞々しい田舎の風景と対照的に、都会の大人たちがみんな冷酷なところが印象的。若き日のラッセ・ハルストレムの、その類稀なる才能の萌芽を充分堪能させてもらいました。 いつも男の子みたいに振舞っていたサガの切ない恋心が、めちゃくちゃ可愛かったー。 [DVD(字幕)] 8点(2013-09-27 10:20:45) |
7. バンデットQ
《ネタバレ》 何気なく立ち寄ったツタヤの、良品発掘というコーナーでふと手に取ってみたら、なんとテリー・ギリアム監督の初期の作品だと知って思わずレンタルして鑑賞。うん、さすがに画質とか特撮とかは時代を感じさせるものの、主人公の少年の部屋に現れた髭もじゃの小人たちとの時空と凡人の発想を遥かに超えた奇想天外な物語に、やっぱりこの頃からギリアムって天才だったんだとあらためて再確認だわ、これ。沈没したタイタニックから逃げ出したら、人喰い鬼の乗る船に引き上げられ、なんとか鬼に食べられそうになる危機を脱したと思ったら、今度は巨大な海の巨人の頭の上に乗っかっていた……。そんな、一歩間違えたら単なる悪ふざけになりかねない、ブラックユーモアと奇想とファンタジーとが絶妙に入り混じったイマジネーションの奔流に最後まで圧倒されっぱなしだったし。埋もれていた良品との奇跡の邂逅に、主人公の少年のように今夜は良い夢見れそうです。 [DVD(字幕)] 8点(2013-08-31 02:32:12) |
8. シド・アンド・ナンシー
《ネタバレ》 今では伝説と化した、パンクロッカーの一組の恋人たちの、その自堕落で破滅的な姿を描いた作品。だが、事実を基にしているとはいえ、あまりにも展開がたるすぎる。それに、ここまで破滅的なカップルを描いているというのに、まったく画面から悲愴感が伝わってこないというのも珍しい。若かりし日のゲイリー・オールドマンの、その狂気の片鱗を覗かせるようなリアルな演技だけは良かった。 [DVD(字幕)] 4点(2013-05-21 10:55:42) |
9. スタンド・バイ・ミー
《ネタバレ》 初めてこの映画を観たのは、中学生になってしばらく経ったころ。なので、この主人公たちの年代と思いっ切りかぶってしまい、思わず感情移入して泣いてしまったのを覚えている。少年たちが思春期に入って大人への階段の一歩目を踏み出すときに、誰もが感じるあの普遍的な切なさが胸に染みる。世界が自分が思っていたより圧倒的に広く、そして自分ではどうしようも出来ない理不尽な現実があることを身を持って知ってしまったあと、今まで何も悩むことなく皆で楽しく遊んでいられた昨日の世界にはもう帰ることが出来ないんだ。僕たちは、これから嫌でも大人になっていくしかないんだ。タイトルにもなっている楽曲がそんなテーマととてもよくマッチしていて、その郷愁感がとっても切なくて、大人になった今でも、好きです、この作品。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-13 19:30:00) |
10. 天空の城ラピュタ
《ネタバレ》 これはやっぱりアニメとして描かれた冒険活劇映画としては世界最高峰クラスでしょう。天空から落ちてきた謎めいた少女シータを救ったことから、主人公の少年パズーが巻き込まれる、まさに誰もが胸躍らせる波乱に満ちた冒険物語。大空を縦横無尽に駆け巡る個性豊かな海賊たちと、謎の組織に奪われたシータを取り戻すために村を飛び出すパズー、そして次第に明らかになる天空の城ラピュタの伝説……。もう、これ以上ないくらいに思春期男子の心を高ぶらせてくれます(もちろん、それ以外の人たちも、ですが)。あまりにも優等生過ぎて、逆に物足りないところも無きにしも非ずかもですが、でもここまでオーソドックスな作りに徹した宮崎駿の手腕はやっぱり素晴らしいです。中1のころに観て、次の日、空を見上げながら「あの白い雲の向こうにおれも飛んでいけたらなぁ」と切なくなってしまったことを、今でも憶えています。 [DVD(字幕)] 9点(2013-05-02 21:17:17) |
11. となりのトトロ
《ネタバレ》 徹底的に子供の視点で描かれた、田舎の自然の美しさと恐ろしさを想像力豊かに描いたメルヘンファンタジー。やっぱり宮崎駿って世界に比肩できる天才だと改めて思う。だって、この作品に登場するトトロや猫バスなんて世界広しと言えども宮崎駿以外に絶対に誰にも考えられないだろうもの。ユーモラスで優しくて頼もしくて、そしてどこかに不気味さも感じさせる数々のもののけ(?)たちはいつ見ても心穏やかにさせてくれる。個人的には、まっくろ黒すけが一番好きかなぁー。 [DVD(字幕)] 7点(2013-05-02 21:05:30) |
12. 魔女の宅急便(1989)
《ネタバレ》 思春期になれば誰もが通る、あの今までの世界が実は自分が思っているよりもっと限りなく広いことを知ったときの清々しさや、大人になることのドアをほんの少し覗いて思わずたじろいでしまう焦燥感、そして否応なく訪れる身体の変化からくる孤独感。そんな今にして思えば甘酸っぱい世界を、魔女というメタファーを通して描かれたファンタジー。もう主人公のキキの切実さがひしひしと伝わってきて、何度観ても切ない気持ちになってしまいます。いつの間にか、喋ることが出来なくなってしまう黒猫のジジ。つい昨日まで居られた本当の競争や嫉妬や憎悪もない子供の世界から、キキは少しずつ大人の世界に足を踏み入れていく。瑞々しい青春ファンタジー映画の傑作だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2013-05-02 20:48:56) |
13. レイジング・ブル
《ネタバレ》 私生活は徹底的に破綻しているけれど、それでもリングのなかでは輝いていたボクサーの栄光と破滅を描いたボクシング映画の古典。嫉妬と酒に狂ってDVを繰り返す主人公のボクサーの姿は善くもも悪くも強烈!スコセッシとデ・ニーロのまさに黄金時代。白黒映像で描き出される、どこか乾いた狂気の世界はそれでも生きていく男の生々しいエネルギーに満ち溢れている。それに、今では既に伝説と化しているデ・ニーロのあの体重差はやっぱり見事!そこまでするかってくらいの役者魂が、主人公の狂気に見事に憑依している。 [DVD(字幕)] 7点(2013-04-30 16:09:29) |
14. ラストエンペラー
《ネタバレ》 まさに栄華衰勢――。清朝最後の皇帝として生まれ、何不自由ない優雅な生活を送りながらも、辛亥革命により宮廷を追われ、その後アジア侵略を目論む日本軍に満州帝国の傀儡皇帝に祭り上げられたものの、終戦後は中国共産党の収容所に送り込まれ、最期は平凡な庭師として死んだ男・愛新覚羅溥儀。濁流のように押し寄せてくる歴史の荒波に、その運命を翻弄され続けた彼の波乱万丈の人生を、恐らく映画監督としては間違いなく絶頂期を迎えていただろうベルトルッチ監督が絵画のように美しい映像と気品に満ちた音楽の数々で描き出した伝記映画の傑作。もう何も言うことはありません。巨大な歴史のうねりの中でただ必死に自分の命を燃やした溥儀の哀切な人生は、善悪を超越してただただ胸に迫ります。 そんな作品世界に見事にマッチした、坂本龍一の壮大さと繊細さを併せ持つ音楽も素晴らしい。いったい彼の人生とはなんであったのか?観終わるころには、この現代という時代も様々な運命を生きた多種多様な人々の人生の積み重ねであり、そしてたった今この瞬間にも僕たちだってその歴史のただ中に居るということをあらためて思い起こさせてくれる、ベルトルッチ監督の最高傑作だと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2013-04-27 17:25:43) |
15. アンタッチャブル
《ネタバレ》 もう、デ・パルマ監督の才が迸っている全盛期の代表作。全体を覆うモダンな雰囲気がとても秀逸で、それに主演する豪華な俳優陣が華を添えている(ちょっとショーン・コネリーが浮いていなくもないけれど)。デ・ニーロのアル・カポネ役はもうはまり役ですね。そして監督お得意の長廻し&スローモーションをふんだんに駆使した、あの有名な階段をかけおちるベビーカーのシーンはやっぱり何度観てもゾクゾクする。 [DVD(字幕)] 7点(2013-04-26 13:24:19) |
16. スカーフェイス
《ネタバレ》 もうアル・パチーノの魅力全開の正統派マフィア映画。そう言うと、どうしてもあの超名作『ゴット・ファーザー』がどうしても思い浮かぶけど、これは全くの別物。良い意味で下世話で猥雑などうしようもないギャングがどんどん這い上がり、そして案の定、破滅していくまでをスタイリッシュな映像で描ききった良品。観終わったときの爽快感は格別です。『ゴット・ファーザー』とはまた違ったアル・パチーノの魅力が味わえます。 [DVD(字幕)] 7点(2013-04-26 13:16:34) |
17. 未来世紀ブラジル
《ネタバレ》 悪夢のような未来社会の描写、意味不明な登場人物、徹底的に救いようのないオチ。もうテリー・ギリアムの魅力全開です。まるでサルバドール・ダリの絵画のなかに迷い込んだかのような強烈な超現実世界。そこでは意味なんか無意味です。二時間強の映画が終わるころには、目くるめく悪夢にうなされたような心地良い疲労感を味わえます。まぁ、「そんな体験味わいたくないわ!」っていう人には理解不能だろうけど(笑)。 [DVD(字幕)] 9点(2013-04-21 19:36:09) |
18. ザ・フライ
《ネタバレ》 悶絶気色悪映画の古典的名作。もう自分がじわじわと少しずつ蝿になっていく恐怖といったら考えるだに恐ろしい。そんなおぞましい世界を当時のSFX技術の粋を極めて創りあげた、徹底的にグロテスクで気持ち悪い映像はCG全盛のいま見てもなんら見劣りしないから凄い。逆に、こちらのほうが生々しくて迫力があるくらい。あと、主人公を演じたジェフ・ゴールドブラムの顔が濃すぎて人間の段階ですでにちょっと怖いんですけど(笑)。でも、やっぱりこの映画の最大の見所は、最後、もうどうしようもなくなってしまった主人公が恋人に死を願うシーンの哀れさだろう。こんなグロい映画なのに最後はちょっぴり切ないなんて……。人間ドラマとしても胸に残る名作です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-21 17:28:52)(良:2票) |
19. バタリアン
《ネタバレ》 軽ーいノリのゾンビ・コメディ映画。初めて観たのは確か小学生の頃だったかな~、この作品に横溢する適度なグロとエロに当時の僕はハートを鷲掴みにされました。工場に勤める頭がパーな二人の男がある〝毒ガス〟を些細なことで噴出させてしまったことで、墓場の死体がゾンビとなって甦り、街がどんどんとパニックに。その過程がなかなかしっかりしているし、個々のエピソードも凄く面白い(特に、ゾンビにならないために自ら火葬場へと入っちゃうあの超かわいそうなお爺ちゃん!)。そして、墓場で唐突に始まるビッチな不良ねーちゃんのエロいストリップシーンには大きな衝撃を受けました。「大人には、こんな凄い世界があるのか…。僕も早く大人になりたーい!!」と小学生だった僕は、股間をもぞもぞさせながら本気でそう思ったし(笑)。なのに最後は無情にもミサイルでドカーン!もう衝撃的なくらい面白くてビデオに撮って何度も何度も観返したなー。大人になって改めて観てみると、「あのころは純粋だったよな~」と、なんだかえもいわれぬ懐かしさが込み上げてきて、思わずホロリ。画面では、ゾンビが脳味噌喰ってるんですけどね(笑)。 [DVD(字幕)] 8点(2013-04-21 16:46:02)(良:2票) |
20. 火垂るの墓(1988)
《ネタバレ》 毎年、夏になると全国の小中学生を恐怖のどん底に叩きつける反戦洗脳映画。と、世間では思われている作品だけど、僕はちょっと違う気がします。この作品は単純な反戦映画ではなく、戦争が本当に壊してしまうものを冷徹に見つめた作品だと思います。戦争が本当に壊してしまうもの、それは人間の社会性です。この主人公の少年は、今でいう不良少年なのです。盗んだバイクで走り出す現代の若者となんら変わりない。そんな少年でも、社会性がしっかりしていれば、相応の大人たち(例えば教師や警察や少年院)がちゃんと矯正させて、少なくとも餓死させるということなど絶対にさせない。この世界から戦争がなくなることなど絶対にあり得ないなら、せめてそれが壊してしまうものから目を逸らさず、多くの人たちから残酷で悪趣味だと非難されようとも徹底的に冷徹に描こうというこの監督(および原作者)の勇気には敬服せざるを得ません。そして、今でもアメリカはイラクやアフガンで社会性を壊し続けている。この映画が偽善にまみれた単なる反戦映画と一線を画した普遍性を持っているのは、ますます混迷する現代に通じるテーマを持った作品だからだと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2013-04-20 19:16:45)(良:4票) |