1. 13時間 ベンガジの秘密の兵士
消費増税法案が参議院で可決成立し、与党民主党と総理大臣の野田佳彦はヘトヘトになっていた。同じ日、韓国の李明博が日本の竹島に侵入した。野田は特段の反応を示さないまま日程通りに夏休み入りした。その間に韓国は日本への侮辱をエスカレートさせた。夏休みを終えた野田は韓国に親書を送ろうとするが、韓国は宅急便で突き返した。野田はチャイナにも親書を送ることにした。バカのひとつ覚えというやつだ。すでにチャイナの都市部で反日デモが続発していた。北京では大使の丹羽宇一郎が乗る車両に何者かがとり付き、日本国旗を引き抜いて立ち去るという異常事態が起きていた。親書を持たされ北京入りした民主党の外務副大臣山口壯(現在自民党)は、チャイナ外交で次席相当の戴秉国の前に突き出された。日本は他国に不平等外交の無礼をはたらいたことになった。野田はウラジオストクAPECで胡錦濤に握手を求めた。胡錦濤の鬼の形相を見ても、野田は「話はついてる。すべては、危険な東京都知事を尖閣から引きはがすためだ」と信じて疑わなかった。そして野田はそのまま漫然と尖閣国有化を決行し、これが合図となってチャイナの全土で勃発した未曾有の反日暴動にすっかり縮み上がり、「冷静でいたい」と泳いだ目でマスコミに願望を発していた。 丹羽の後任大使が都内の路上で突然倒れてそのまま死亡するということまで、あのときは発生していた。リビア・ベンガジ領事館の襲撃はその表側で起きたことだ。野田が尖閣国有化を閣議決定したのが9月10日で、国有化を完了したのは翌9月11日の日中。カーター政権以来の現職アメリカ大使の殺害死、それも9月11日という日を狙ったテロに世界が言葉を失うその反対側で、「日本にメンツを潰されたから暴れるアルただし国内で!」という民族的奇行を21世紀の極東に再来させた日本の稚拙な政治状況は各国の政界知識層の不興を買い、メディアはまったく報道しなかった。ウクライナと違って、日本は世界のどこからも見向きもされずにチャイナが好きなように蹂躙する、そんな国になっていた。 その危機は安倍総理によって覆され、忠臣の命を奪われたノーベル賞大統領バラクオバマは総理に議会演説を頼み込むことになる。この映画は日本のこの歴史を知る入り口になる。何を特段知らなくとも、貧しく言葉の通じない住民がじつはテロリストの指図通りに流れを決めて動いているというシーンに感じるものがあるはずだ。「わからないと殺される」これは断じて体験してはいけないことであり、人を何が正しいのかわからない精神状態に追い詰めて殺すというやり口は、この現代世界に厳然として存在している。私は彼らにも理解できるようなロジックに自分が誘導され、一度も後戻りできずに殺されるのは絶対にいやだ。 [地上波(吹替)] 7点(2023-10-23 23:25:42) |