1. チート
早川雪洲はこのパラマウント作品により、ハリウッドのトップスターになった。日本人は同族の欧米での活躍に冷淡(野茂以降は少しマシになった)だが、1910年代の雪洲は、チャップリン、フェアバンクスと並ぶトップスターであったたことを忘れてはならない。ヒシュル鳥居という冷酷な日本人は、観客の度肝を抜き、当時としては破竹の全米興収300万㌦を挙げた。今でいえば5000万ドル級の大ヒットであり、劇場数の差を考えれば、みんな映画館へ行った、くらいの勢いだったのだろう。反日的だとして日本では公開できず、日英同盟を考慮してイギリスでも上映しなかったこの傑作は、しかし今日「永久に保存すべき映画」に指定され、デミルの初期傑作と認められている。映画好きならば絶対に見るべき作品。雪洲は「戦場にかける橋」の演技が最高なのではありません。80年前のこの作品がベストアクトです。 10点(2003-06-22 20:37:36) |
2. サンセット大通り
メルローズ通り沿いにあるパラマウントピクチャーズの小さい方の入口を「スワンソン・ゲート」といいますが、これは映画中のノーマ・デズモンドがデミルに会いにくぐった門なのですね。いま出てくる大きな門は、旧RKOスタジオ側になるため、この門がオリジナルといえます。シュトロハイムとスワンソン、デミルにキートンとすごい顔ぶれで、ワイルダーもかなり気を使ったのではないでしょうか。ホールデンなぞまだお子ちゃま扱いです。エリッヒ・フォン・シュトロハイムの凄さ、これこそこの映画の醍醐味でしょう。それにしてもよくこんな作品が撮れたもんですね。ハリウッドはこの作品を境に、顔ぶれも「戦後」になっていきました。文句なしの大傑作です。 10点(2003-06-22 20:10:01) |
3. 情婦
ビリー・ワイルダーらしい大傑作。階段の昇降機を注射器持って下りてくる看護婦さんと、チャールズ・ロートンのスラップスティックな面白さも最高です。ラストそのものは「シックス・センス」のような「なるほどね」というオチではなく、「何じゃ、そりゃ」的な凄さですが、ぜひ一度ご覧あれ。この邦題なんとかしてほしい。 10点(2003-03-02 22:55:53) |
4. トータル・リコール(1990)
ヴァーホーヴェンとシュワの快作。J・ゴールドスミスの音楽も最高だし、ディストピア感も充分。「ブレラン」「ブラジル」と並んで好きなSF作品です。 10点(2003-02-09 22:54:15) |
5. ライムライト
チャールズ・チャップリンとバスター・キートンが同じ作品に出ているだけで10点。作品うんぬんではなくてね。 10点(2003-02-09 22:42:16) |
6. チャップリンの独裁者
20世紀全映画のマスターピース。「市民ケーン」や「陸軍」と共に、権力に命を賭けて映画作りをした点で、もう最上級でしょう。最後の演説シーンは、本当に震えがきます。ムッソリーニも出てくるし、ユダヤ迫害も描かれているし、チャップリンらしい追っかけの劇笑場面も盛りだくさんだし、まさに傑作、傑作、大傑作です。 10点(2003-02-02 23:59:31) |
7. ブレードランナー
「2つで充分ですよ」のうどん屋のおやじ、強力わかもとの強烈な広告、ヴァンゲリスの別世界的音楽、ショーン・ヤングの本当にレプリカントっぽい演技、降り続く雨、ルトガー・ハウアーのカッコよさ、もうどれをとっても文句のないSF映画の金字塔でしょう。きっとこの作品は100年後もカルトで残っています。傑作です。 10点(2003-01-04 23:58:57) |
8. 東京物語
東山千栄子、笠智衆の静かな演技力。子供たちから疎まれて熱海の海岸で二人揃ってたたずむ姿は、もうそれだけで涙です。原節子みたいな嫁もめったにいないでしょうが、小津映画らしい優しさに満ちた傑作です。 10点(2003-01-04 14:12:11) |
9. バック・トゥ・ザ・フューチャー
私の人生のなかでのNo.1作品。初めて出合ったときの感動は二度と忘れない。このさきどんな傑作が作られても、良くて2番です。 10点(2003-01-04 00:01:17) |
10. ローマの休日
オードリー・ヘップバーン唯一の乱闘シーンがある映画。ギターかなんかで頭殴っちゃうオードリーがとてもかわいい。女王様というのがしっくりきてしまうのもまさに「これぞ映画」という世界に我々を引き込んでくれるから。名作です。 10点(2003-01-03 20:53:49) |
11. 素晴らしき哉、人生!(1946)
☆さんのいう通り「BTTF2」のネタモトはこの映画でしょうね。まさに映画、これこそ映画、というべき名作です。ドナ・リードがキレイ。 10点(2003-01-03 20:32:48) |
12. あなただけ今晩は
小粋。お洒落。おフランスが舞台というのも作用しているのでしょう。セットは異なれど、最後にJ・レモンがセーヌ川から上がってくる場所って、「街の灯」と同じとこですね。というか、ワイルダーが真似たのかもしれません。パリ行ったことないんで、想像ですけど。シャーリー・マクレーンは本当にかわいい。 9点(2003-03-02 23:02:41) |
13. 街の灯(1931)
あのお金持ちの役者は、当初違う男優が演じており、ほとんど撮り終わってから自殺の入水シーンを躊躇したため、クビにした、とのこと。BTTFのE・ストルツみたいですね。個人的には映画110年のマスターピースは「独裁者」ですが、この作品も永遠に残る名作だと思います。 9点(2003-02-09 10:15:30) |
14. 赤ちゃん教育
キャサリン・ヘプバーンのハジケっぷりが見事。スピルバーグはこの映画でJPの展示館シーンを作り上げたんだろうなあと思います。恐竜の骨格が崩れ落ちてハッピーエンド、というのもお気に入り。振り回されるケーリー・グラントもおかしいし、ハワード・ホークスは絶対にこういうコメディのほうが向いていると思います。 9点(2003-02-02 10:47:01) |
15. 用心棒
ジョン・フォードとジョン・ウェイン=黒澤と三船。そんな関係が見て取れる大傑作でしょう。あの暴力俳優、マーロン・ブランドがこの当時に三船と同じ飛行機になり、直立不動で挨拶をしにいったという。こんな監督もこんな俳優ももう出ないでしょうねー。 9点(2003-01-04 00:16:57) |
16. スピード(1994)
映画ファンじゃない人に「何かない?」って聞かれて、最初に推す映画。「これ見てないと人生で少し損してるよ」って。LA縦断大チェイスの面白さと良く出来た脚本。LA行って最初の立てこもりのビルからパーシングスクェアのゴミ箱まで確認してきましたもん。盛り上がりたいときの必須の一作。 9点(2003-01-04 00:07:44) |
17. 第三の男
アメリカ映画史上のベスト1は「市民ケーン」、日本映画史上のベスト1は「七人の侍」。でもってイギリス映画史上のベスト1は文句なくこれで決まりでしょう。思いっきり臭そうな下水道チェイスに軽やかなアントン・カラスのメロディ、オーソン・ウェルズの存在感、ヴァリの強そうな女性観、怪しげな風船おじさんまで、見どころいっぱいの超一級作品です。 9点(2003-01-03 23:56:58) |
18. モダン・タイムス
機械文明への皮肉は、70年後の現代でも充分に説得力がある。この作品から「独裁者」「殺人狂時代」までの3本こそが、チャップリンを永遠の存在にしています。 8点(2003-07-13 00:31:56) |
19. スタア誕生(1937)
この作品は何度も作られているが、オリジナルの本作がベスト。阪妻がモノクロで走り回っている時代にアメリカ映画はカラーですから。戦争しても適わないわけだ。ハリウッドの30年代も良く分かるし、オスカーの再現も興味深い。業界暴露作品はこれと「サンセット大通り」「イブの総て」の3本で決まりでしょう。 8点(2003-07-13 00:25:09) |
20. 大いなる幻影(1937)
ジャン・ギャバン版「大脱走」。でもこちらの方がはるかに先なんですよね。シュトロハイム演じるドイツ将校が見事。この風格が映画全体を引き締めています。 8点(2003-07-13 00:18:39) |