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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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281.  ROCK YOU! ロック・ユー! 《ネタバレ》 
 馬上槍試合にて、敵を倒すと同時に槍が砕け散るシーンの迫力が凄い。  もう、それだけでも(観て良かったなぁ……)と思えたくらいでしたね。   平民の主人公が貴族達を次々に倒していくというストーリーも、非常に分かり易くて、好印象。  普通の歴史物なら首を傾げたくなるような「リアリティの無い場面」があっても、本作に関してはあんまり気にならないって点も、大きな長所だと思います。  なんせ冒頭にて「中世の人々が、二十世紀のバンドであるクィーンの曲を合唱している」という奇抜なシーンを挟んでいるくらいですからね。  それによって「時代考証云々と五月蠅く言うようなタイプの映画じゃないよ」という作り手側のメッセージが伝わって来た為、リラックスして楽しむ事が出来ました。   特訓シーンも全然辛そうじゃなくて、仲間達と一緒に遊んでいるようにしか見えないくらい、明るく楽しそうに描いているというのも、この映画らしい特色。  如何にも「高嶺の花」といった感じのヒロインに、とことん嫌味で憎まれ役なライバルが出てくる辺りも、単純明快な魅力がありましたね。  後者に関しては、主人公のウィリアムが金髪の美男子であるのに対し、ライバルとなるアダマーは黒髪の優男ってルックスな辺りが(日本の作品とは逆だなぁ……)と思えたりもして、興味深かったです。   父子の再会シーンも感動的に仕上がっているし「We Will Rock You」を聴いたら「We Are the Champions」も聴きたくなったなと思っていたら、最後にしっかり後者を流してくれる辺りも、嬉しい限り。  どちらの歌詞も映画の内容と合っていましたし、素晴らしい主題歌の存在が、映画の面白さを何倍にも高めてくれていた気がします。   で、難点としては……そんなエンディング曲の後に挟まれる「オナラの大きさを競う勝負」にドン引きしちゃったと、その事が挙げられそう。  いくらなんでも下品過ぎると思うし、折角クィーンの曲で感動していたのに水を差される形になっており、非常に残念でした。  主人公の仲間が口にする「私の小説に登場させ、最低のクズとして描写してやる」って脅し文句は格好悪いとか、愛を証明する為に試合に負けるよう要求するヒロインには魅力を感じなかったとか、他にも細かい不満点は色々あったんだけど、それら全てを忘れさせるだけの威力が、クィーンの曲にあった訳ですからね。  折角「エンディング曲による感動」で映画本編の不満点を忘れさせてくれたのに、その後また「オマケ映像」で感動を台無しにしちゃうという、二重の上書き感があって、凄く勿体無い。   ちなみに、地上波放送版では上述のオマケ部分がカットされている代わりに、クィーンの曲もフルでは流れないという仕様みたいで、本当に痛し痒しですね。  せめて、もっと無難な内容のオマケであったならば「好きな映画」と言えそうだっただけに、惜しくなる一品でした。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2018-08-17 03:41:34)(良:1票)
282.  プルーフ・オブ・ライフ 《ネタバレ》 
 誘拐を題材にした映画としては、かなり良く出来ていると思います。   ヒロインの旦那が拉致される場面は緊迫感があるし、人質が拘束されている粗末な小屋の描写なんかも良い。  最初の交渉人フェルナンデスが頼りない男であった分だけ、主人公のテリーが彼に代わって交渉する姿が、非常に頼もしく思えた辺りなんかも「上手いなぁ」と感心させられましたね。  終盤の武力突入による人質奪還シーンも迫力があり、そこは大いに満足です。   で、難点はというと……やっぱり「主人公とヒロインとが不倫する場面」って事になっちゃいますね、どうしても。  これに関しては、現実にラッセル・クロウとメグ・ライアンが不倫関係に陥ってしまったというスキャンダラスな側面もあり、映画の中だけの話として割り切って語るのは難しいのですが「映画単品で評価したとしても、この要素はいらない」という結論になる気がします。   そもそもヒロインの旦那が善人なので、不倫している二人に全く共感出来ないんですよね。  人質となり、過酷な状況の中でも、妻の写真を心の支えに生き延びようとする旦那の姿が描かれているのに、肝心の妻は他の男との許されぬロマンスを繰り広げているだなんて「ひでぇ話だ」と呆れちゃいます。  せめて関係を匂わせる程度で終わってくれたら良かったのに、ご丁寧にキスシーンまで挟んであるもんだから、決定的に幻滅。  試写会の段階ではキスどころか、もっとあからさまなベッドシーンまであったとの事ですが、それが本当なら「そりゃカットして正解だよ」という感想しか出て来ないです。   あるいは、命を懸けて人質を救出してみせた後「貸し借り無しだ」とヒロインに微笑んで見せるという「一度きりのキスの借りを返す為に、命を張った主人公」の恰好良さを描こうとしたのかも知れませんが、どうも受け入れ難いものがありましたね。  ラッセル・クロウも、メグ・ライアンも好きな俳優さんであるだけに、今作の二人が魅力的に思えなかった事が、非常に残念。    「父親に対し、敬語で話す息子」の存在が印象的で、最後は父子の和解で終わるのかなーって予想していたのに、それが外れちゃったのも寂しいですね。  ヒロインが流産していた過去が、単なるお涙頂戴のエピソードで終わっておらず、人質奪還の際の伏線になっている事には感心させられただけに、この「敬語で話す息子」の伏線も綺麗に回収して欲しかったなぁって、つい思っちゃいました。  酷な言い方をするなら「不倫するような男だから、息子も心を開かないんだよ」って事になっちゃいますし……やはり、どう考えても不倫の件は不要だったかと。   映画に道徳を求める方が変だし、どんなに不道徳でも面白ければそれで良いんですけど、本作みたいな描き方だと「主人公とヒロインが嫌な奴等に思えてくる」→「面白さが損なわれる」って形になっちゃう気がするんですよね。  傑作と呼べそうな部分も感じさせただけに、惜しい一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2018-07-24 19:48:01)
283.  SAFE/セイフ 《ネタバレ》 
 「パソコンは何を記憶させても探り出されてしまう」という台詞が印象的。  ハッキングやら何やらを警戒する余り「大切な情報は、記憶力の良い人間に憶えさせておくのが一番安心」という時代錯誤な結論に行き着くのが、実に皮肉が効いていましたね。   そんな「記憶力の良い人間」が幼い少女というのは非常に漫画的だけど、あんまり美少女過ぎない子役を起用しているのが、適度なリアリティを生み出していたと思います。  ちょっと目が細過ぎて、典型的な「欧米人から見たアジア人」ってルックスの子なんですけど、笑うと愛嬌があって可愛らしいし、映画を観終わる頃にはかなり好きになっていました。  こういったストーリーの映画である以上、子供の事を「守ってあげたくなるような存在」として描くのは大切だと思うし、それは成功していたんじゃないかと。   それと、本作は彼女の養父となるチャンを演じるレジー・リーも、凄く良い味を出していましたね。  悪人だし、ボスの命令には逆らえないんだけど、養女のメイの事は彼なりに大切に思っているというバランスが、実に魅力的。  彼がメイに対し「きっといい父親になってみせる」と語り掛け、笑ってみせる場面は、本作の白眉であったように思えます。  不器用ながらも愛情を示して、彼女の為に少しでも「良い人間」になろうとした事が伝わって来て、好きな場面です。   それだけに、その後すぐ彼が殺されてしまう展開になるのがもう、残念で仕方ないんですが……  やはり、この辺りは「一度でも娘を殺そうとした奴が、本当の父親になんかなれる訳が無い」って事なんでしょうか。  「怖いものから、目を背けたりするな」という彼の教えを、メイが守ってみせて「彼とメイが過ごした時間は、無駄じゃなかった」という落としどころになっただけでも、良しとすべきなのかも。   その一方で、ジェイソン・ステイサム演じるルークに関しては「タフガイ」「アウトロー」の王道を行く主人公となっており、安心して観賞する事が出来ましたね。  浮浪者として生活しなければいけない悲壮感、靴を譲った相手すらも「ルークと関わったから」という理由で悪人達に殺されてしまうという「誰とも親しくなれない」という孤独感が、ひしひし伝わって来て(やっぱりステイサムって良い役者さんだなぁ……)と、惚れ惚れさせられました。   ただ、そんなルークがメイを必死に守ろうとする動機が弱いようにも思えて、そこはもっと説得力が欲しかったですね。  自殺を止めるキッカケになってくれた恩返しというなら「たまたま目が合ったお蔭で、思い止まれた」という展開ではなく、もっと積極的にメイが彼の命を救ってみせた展開にしても良かったんじゃないでしょうか。  あるいは、冒頭にて殺されたのが「ルークの妻」ではなく娘だったという事にして、娘と同じ年頃の子だから助けずにはいられなかったとか、そんな形にしても良かった気がします。   一番悪どい存在に思えた中国マフィアのハンおじさんが、結局大したダメージを受けず「尻尾を巻いて中国に帰る」くらいで終わっちゃう事。  そして、黒幕のアレックス刑事とルークとの素手のタイマンが始まるかというところで、メイが銃でアレックスを撃ち、決着を付けちゃう事なんかも、欠点と言えそうですね。  そこは、もっとスッキリする形で〆て欲しかったです。   観賞前に期待していた「ジェイソン・ステイサムの骨太なアクション」は充分に堪能出来たし、ルークとメイが「父娘」ではない「友達」になるハッピーエンドは良かったしで、決して嫌いな映画じゃないんですけどね。  気になる点も多くて「そこそこ満足」くらいの感じで観終わってしまった……  そんな一品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2018-07-04 11:02:09)(良:1票)
284.  クリスティーン 《ネタバレ》 
 「意思を持った車と人間との交流を描いた映画」といえば、ハートウォーミングな内容が多いものですが、本作はホラー物。   しかも車が女性であるという点が、今観ても画期的ですね。  「冴えない駄目男だった主人公が、悪女と出会う事によって逞しく生まれ変わるも、結局は悲劇的な結末を迎えてしまう映画」として捉えても、充分に楽しめる内容になっています。   主演のキース・ゴードンも、これまた良い味を出しており、冒頭の「水溜りをパシャパシャ踏みつけながら母親から弁当を受け取る姿」だけでも(なんか……頼りない感じだなぁ)と思わせてくれるんだから凄い。  クリスティーンと出会った後の「カッコいい不良」的な風貌も見事に決まっており、周りから「アイツは変わっちまった」という扱いを受けてしまう事について、確かな説得力を生み出していたと思います。   ただ、そんな彼の存在感が、この映画の欠点にも繋がっていて……  観客としては、彼が演じるアーニーこそが主人公と信じて疑わなかったのに「主人公の親友で、良い奴」枠かと思われたデニスの方こそが真の主人公だったと明かされるという、ちょっと歪な構成になっているんですよね。  確かに画面に登場するのはデニスの方が先だし、ヒロインであるリーに最初にアプローチをかけたのもデニスなのは分かるんですが、やはり観客としては出番が多く、家族の描写なども多いアーニーの方に感情移入してしまいます。  だからアーニーの死後、デニス達とクリスティーンの戦いをクライマックスに持ってこられても、ちょっとノリ切れないし、最後も「アーニーを助けられなかった……」という彼らの後悔の念と共に終わる為、後味も悪い。  せめて、もっとデニスの比重を増やすなり何なりして「ダブル主人公制の映画である」と、序盤から感じさせて欲しかったところです。   その他、気になる点としては「メーターがカウントダウンのように下がっている描写の意味が分からなかった(クリスティーンの寿命を示してる?)」とか「冒頭では優しい母親にしか思えなかったのに、実は支配的な性格の母親で息子のアーニーは長年迷惑していたという展開になるのに違和感がある」とか、その辺りが挙げられるでしょうか。   とはいえ、長所も数多く備えている映画であり、視覚的、聴覚的な意味でも、様々な楽しさを与えてくれましたね。  車体の色が、さながら女性の口紅のようなクリスティーンの姿を見ているだけでも惚れ惚れさせられるし、BGMには(やっぱりカーペンターの音楽は良いなぁ……)と実感させられるしで、それだけでも満足度は高め。  親に買ってもらった車ではなく「自分でアルバイトして貯めた金で買った車」という設定なのも絶妙でしたね。  アーニーがクリスティーンに愛着やら独占欲やらを抱く気持ちも、良く分かるというものです。   建物に挟まれた、車の幅とピッタリサイズの道をクリスティーンに追い掛けられている場面なんかは「どうやっても逃げられない」感が伝わってきたし、炎を纏って追いかけてくるクリスティーンの姿なんかも、迫力があって好き。  単なる「悪女」「恐ろしい車」で片付けずに「ロックが好き」「人間の彼女にヤキモチを妬いてしまう」など、クリスティーンを(可愛いやつだな)と感じさせる部分がある事も、大いに評価したいです。   最後は、お約束の「まだ怪物は死んでいない」シーンで終わるんですが、そんな風にクリスティーンの魅力も描いているからこそ、完全なバッドエンドとは思えない形になっている訳ですからね。  彼女の視点で考えれば、愛するアーニーを奪われた復讐をまだ諦めていないという、歪んだ「希望」を感じさせる結末にもなっていると思います。   観賞後は「人でも車でも、やっぱり女ってのは怖いもんだなぁ……」なんて、笑って呟きたくなるような、面白い映画でした。
[地上波(吹替)] 6点(2018-05-02 07:17:31)(良:2票)
285.  ハービー/機械じかけのキューピッド 《ネタバレ》 
 これ、シリーズ物の中の一本だったんですね。   すると「ハービーは何故、意思を持って動く事が出来るのか」という謎に対する答え合わせが行われなかったのは、過去作にて既に描かれた後だったからなのかな?  まぁ、その辺りに関しては同じ「意思を持った車」を題材にした「クリスティーン」(1983年)でも明確な説明は為されていなかったし、自分としてはそれほど気にならなかったです。   作中でもドラマ「ナイトライダー」(1982年)をネタにしていたし、過去作品から色んな魅力を受け継いでいる一方で、本作もまた後続の作品に影響を与えているのが窺える辺りも、面白かったですね。  「チャーリーはスーパーカー」(2006年)という、本作に優るとも劣らぬ面白さの品がドイツで作られていますし、もっと部分的な話をすれば、主人公がハービーと出会う流れは「トランスフォーマー」(2007年)に影響を与えている可能性もありそう。  それだけの魅力を秘めた、中々影響力のある一品だったんじゃないかな、と思います。   とにかくハービーの動きやら表情やらが可愛くて、それを眺めているだけでも楽しいんですよね。  ジャスティン・ロング演じるケヴィンが、ヒロインの着替えを覗こうとするも、ハービーに邪魔されてしまう場面なんかは、特にお気に入り。  ドライブインシアターにて、ホラー映画を観て怖がる姿も、実にキュートでした。   ただ、肝心のレース物としては盛り上がりに欠けるように思え、そこは残念。  そもそも「序盤で一度勝っている相手に、もう一度勝つ」という形なので、カタルシスが得られにくいんですよね。  最後の「フェンスを走る」荒業に関しても、序盤のトンネルの場面にて微かに伏線があったので「それは反則だ」という気持ちが薄れる代わりに、意外性すらも無くなってしまった気がします。  カーアクションとしては、モンスタートラックからヒロインを間一髪で救ってみせる場面が一番面白かったし、本作のクライマックスはそこの「ハービーとヒロインが仲直りする場面」であって、レースで勝つのはあくまでもオマケに過ぎない……とも考えられますが、それならそれで、もっとハービーとヒロインの絆を濃密に描いて欲しかったところ。   黄色い彼女(?)と結ばれるハッピーエンドは心地良かったし、音楽のチョイスや使い方も好みであっただけに、レース部分に魅力を感じなかった事が、非常に残念ですね。  今でも充分「好きな映画」と言える品なのですが、そこをもうちょっと何とかしてもらえたら「好きな映画だし、傑作だ」と、胸を張って言えた気がします。
[DVD(吹替)] 6点(2018-04-25 05:37:03)
286.  アイス・クエイク<TVM> 《ネタバレ》 
 ポール・ジラー監督作の中では、本作が一番好きです。  脚本にツッコミどころが多いとか、低予算な作りなのを全く隠しきれていないとか、欠点と呼べそうな部分は色々あるけど、長所も同じくらい備わっていると思います。   主人公一家のキャラ造形も非常に自分好みであり、それだけでも大分ハードルが下がっちゃいましたね。  父親と母親は、演者さんのルックスも中身も典型的な「主人公」と「ヒロイン」って感じで、安心して観ていられたし、子供達二人も可愛らしい。  この子達が「まだ幼く、無邪気にパパに懐いている息子」と「思春期を迎え、少し反抗的なお年頃の娘」っていう王道な組み合わせの時点で、もう自分としては白旗を上げちゃうというか、全面的に主人公のパパさんに感情移入しちゃうんですよね。  飼い犬も含め、一家から死者が出る事無くハッピーエンドを迎える辺りも「そうこなくっちゃ!」という感じ。  クリスマス用のツリーという小道具を活用して「無事に助かった」という安堵感だけでなく「当初の目的であるツリーもゲット出来た」という達成感を与えて終わる辺りも、中々上手かったんじゃないかと。   ビジュアル的にも「超低温ガスが地割れから噴き出し、それを浴びた男が凍死してしまう」なんていうシュールな映像があったりして、忘れ難い味がありましたね。  こういったTVMならではの「潤沢な予算のある映画では拝めないような、独特の映像」が見つかるのは、立派な長所だと思います。   プラスティックの瓶に雪を詰めてから、それを懐に仕舞いこみ、体温で溶かして水を作る場面なんかも印象深い。  主人公は冷たいのを我慢して水を作り、それを子供達に飲ませる訳ですが、そんな「自己犠牲」を「子供達の為なら当然の行いだ」とばかりに、サラッと描いちゃうのが良いんですよね。  そんな優しいパパさんだからこそ、ハッピーエンドを迎えても嫌味じゃないし、むしろ祝福したくなる訳なのだから「主人公の優しさ、良い奴っぷり」を示す場面として、非常に価値があったと思います。   欠点も多い為、手放しで絶賛する事は出来ませんが……自分としては「好きな映画」と言える一本でした。
[DVD(吹替)] 6点(2018-04-18 02:34:24)(良:1票)
287.  キューティ・バニー 《ネタバレ》 
 「元々は地味なタイプの子だった」「児童養護施設の出身である」という主人公の過去が、物語の進行をスムーズにしている点が上手いですね。  それによって、華やかなグラビアモデルだった彼女が、地味な「ゼータ」の子達に肩入れするのも、介護の仕事をしているオリバーに惹かれていくのも、自然に感じられるという形。   主人公の影響を受け「ゼータ」の子達が美しく着飾ってみせた場面では(……いや、元の方が可愛いじゃん)とノリ切れずにいたのですが、それがキッチリ伏線になっていた辺りにも感心。  周りにチヤホヤされる事によって増長し、彼女達も「見た目で他人を判断するような、嫌な女」になってしまうという、非常に皮肉の効いた展開になっているんですよね。  そこから改心し「元のままの、ありのままの自分の方が良い」と気が付いていく流れはとても心地良くて、ここが本作の白眉であったように思えます。  着地の仕方に関しても「綺麗になる事なんて意味は無い」とまで極端な結論には至らず「着飾るのは、それなりで良い。自分を見失わないまま綺麗になるのが大事」という辺りに留めているのが、これまた絶妙なバランス。  「変わる前の自分」と「変わった後の自分」の、良いとこ取りをしちゃおうという感じで、彼女達が下した答えに、自然と賛同する事が出来ました。   とはいえ「招待状を盗まれた」という件に関しては(今からでも事情を説明して呼び込めば良いのに、何で悔しがって見てるだけなの?)とツッコんじゃうし、ゼータ存続を決定付ける「三十人目」の存在については、もっと伏線が欲しいと思っちゃうしで、脚本の粗も色々と見つかってしまうのは、非常に残念。  特に後者の「三十人目」については致命的で、映画のオチに相当する部分にしては、インパクトが弱かった気がしますね。  これなら、観客に先読みされるのを覚悟の上で彼女の出番を増やし「本当はゼータに入りたいのに、周りの目を気にしてミューに所属している」などの描写を挟んでおいた方が良かったんじゃないかと。   後は……マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」を上手に歌えず、皆に馬鹿にされる場面が中盤にある訳だから、エンディング曲も「ライク・ア・ヴァージン」にして、今度は上手に歌ってみせるという展開にしても良かったかも知れませんね。   全体的には好きな作風ですし、楽しめたのですが「ここ、もっとこうしても良いんじゃない?」と口を挟みたくなる部分が、一杯ある。  魅力的だけど隙も多い、もっともっと綺麗になる可能性を秘めた女の子のような、そんな映画でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2018-04-13 18:12:12)(良:2票)
288.  フレフレ少女 《ネタバレ》 
 文学少女が高校球児に恋をして、少しでも彼に近付く為に応援団に入る。  そんな導入部を経て、以降は「部活物」映画お約束の「挫折→修行→成功」の流れを辿ってくれるという、安心して楽しめる一品でしたね。   団長に任命されるまでの流れが強引だとか、ヒロインが恋した球児が転校までするのは不自然だとか、物語としての欠点と呼べそうな部分は沢山ある。  「GWに合宿やっただけで一人前の応援団になれる」「彼女達が応援したら、卓球部も柔道部も将棋部も、関東大会で優勝出来る」など、ツッコみを入れたくなる部分も沢山ある。  それでも、上述の通り王道の魅力をしっかりなぞる形になっているので、細部に粗があったとしても、全体としては綺麗に纏まっていたんじゃないかな、と思えました。   特に、序盤にて「即席応援団」のダメダメっぷりを見せ付けられた後、彼らが「立派な応援団」に成長した姿を見せてくれる展開とか(ベタだけど、やっぱり良いなぁ……)って、しみじみ感じちゃうんですよね。  ヒロインが一人前の「団長」になった事を「眼鏡を外す」という形で、視覚的に分かり易く表現している辺りも良い。  合宿にて、最初は練習がキツくて食事も喉を通らなかったのに、後半には皆して食欲に満ちていて、次々に皿を空にしちゃう演出なんかも、気持ち良いものがありました。   中でも一番好きなのが、夜明け前の海を、皆で座って眺める場面。  特に気の利いた台詞がある訳ではなく、本当に黙って海を見つめているだけなんだけど、何となく「青春」って感じがして、心に残るものがあるんですよね。  その直前にある「応援団を続ける意味」について皆が言い争う場面も、演技は稚拙かも知れないけど、熱意は確実に伝わってくる。  その不器用さ、未熟さが、泥臭い魅力を生み出しているように思えました。   「野球部は、応援団よりもっと厳しい練習をしている」という一言により、その野球部が快進撃を繰り広げる様を、素直に応援出来た事も大きかったですね。  この一言が有るか無しかによって、かなり印象が変わっていた気がします。  それだけに、最後の逆転サヨナラ3ランの場面は、もっと「野球物」としての魅力も感じられる演出に出来ないものかという不満もあるんですが……映画としては、その後の「応援団と野球部の和解」「エール交換」をクライマックスとした作りである為、仕方の無いところでしょうが。   肝心の応援シーンにて、ヒロインの声が思いっきり裏返っているのは「ちょっと無理し過ぎていて、痛々しい」と感じられたし、最後に学ランからセーラー服に戻って終わりというのも、拍子抜けな結末ではあります。  でも「軽い」「明るい」「爽やか」な青春映画としては、このくらいの、粗も見つかるくらいの出来栄えの方が、かえって愛嬌を感じられて、良いのかも知れませんね。   「良い」「悪い」ではなく「好き」か「嫌い」かで判断して、この映画は好きだと結論付けたくなるような……そんな好ましい映画でありました。
[DVD(邦画)] 6点(2018-03-21 03:40:35)(良:1票)
289.  ランダウン/ロッキング・ザ・アマゾン 《ネタバレ》 
 これは……ちょっと雑な作りの映画であるように思えます。   例えば主人公は「あえて銃を撃たないタフガイ」という設定であり、劇中でも「銃は持っていくな」という歌詞の曲が流れるくらいの徹底振りなんですが、そんな彼が「とうとう自らのルールを破って、銃を撃つシーン」のカタルシスが弱いんですよね。  そもそも「過去に悲劇的な事件があって銃を撃てなくなっていたが、友を助ける為にトラウマを克服して引き金をひいた」とか、そういう展開な訳でもなく「銃を使うと大変な事になるから」という、一種の「強過ぎる自分を縛る為の枷」みたいな認識で銃を撃たずにいただけであり、窮地に陥ったら「やっぱり銃を撃たないと無理そうだから撃つ事にする」と考え方を変えただけというんだから、観ていて拍子抜けです。  じゃあ、いざ銃を使ったら無敵の存在になるのかなと思っていたら、最初こそ恰好良く撃ちまくっていて良い感じだったのに、敵の中ボス格である鞭使い達が出てきたら、途端に苦戦して銃を奪われ、結局は肉弾戦になっちゃうという始末。  アクション自体は主演のザ・ロックの熱演もあってクオリティが高かっただけに、この辺りの脚本の雑さが、凄く気になっちゃいました。   ラストに関しても「コンラボスによる幻覚」のギャグで終わらせたかったんだろうけど(どうせトラビスを逃がすなら、わざわざ連れて帰らなきゃ良かったのに……)って思えちゃうしで、最後までスッキリしないんですよね。  多分「主人公は義理堅い男なので、一度請け負った仕事は果たす事にした」→「まさか息子のトラビスに害は加えまいと思っていたのだが、そうではないと気付いて逃がす事にした」って流れなんでしょうけど、それならもっとハッキリ「このままだとトラビスは殺されてしまう」くらいの危機感を抱かせる演出にして欲しかったところです。   そんな具合に不満点も多いんですが……どうにも嫌いになれない愛嬌も備わっているんですよね、この映画って。  ザ・ロックと、ショーン・ウィリアム・スコットが共演しているというだけでも、二人を好きな自分としては嬉しくなっちゃうし、ちゃんと彼らを魅力的に撮ろうという意気込みは伝わってくる。  冒頭で顔見せしたシュワルツェネッガーに、主人公から指輪を奪った同僚という強烈なインパクトを残す二人が、それっきり出番無しで終わったりもするんですが「とりあえずスターをカメオ出演させておいた」「良い味出してる小人の俳優がいたので、とりあえず出しておいた」という茶目っ気が感じられて、憎めなかったです。  「エルドラド」が「ヘルドラド」に書き換えられている看板や、敵のボスが「歯の妖精」について部下に説明する件なんかも印象深いですね。   願わくば、もうちょっと主役二人の掛け合いを魅力的に描いてくれていたら「嫌いじゃない映画」から「好きな映画」に変わっていた気がする……  そんな、勿体無い一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2018-02-21 07:51:00)
290.  いつも2人で 《ネタバレ》 
 時間軸をバラバラにした構成での恋愛物という、今観ても目新しさを感じさせる一品。  ・同じ旅先での「食事」や「海水浴」の風景でも、若い恋人時代と倦怠期の夫婦時代とでは、こんなに違っている。 ・かつて目撃した「二人でいるのに、ずっと押し黙っている夫婦」に、自分達がなってしまっている。   等々、この構成ならではの巧みな対比、スムーズな場面転換の手法には、本当に感心させられましたね。  これは公開当時には、今以上に斬新で、御洒落なセンス漂う映画だったんじゃないかな、と思えました。   それと同時に、先駆的な作品ゆえの「未成熟さ」「手本が乏しいゆえの手探りな感じ」も伝わってきてしまい、そこは残念。  現代の観点からすると、こういった構成であれば「幸せだった恋人時代」「不幸な倦怠期」は、もっと極端に対比させても良かったと思うんですよね。  本作は「この夫婦は、若い頃から何も変わっていない」という結論ありきな為か、全編に亘って「夫婦喧嘩」「皮肉屋な男と、それに気分を害す女」を観賞させられる形となっており、少々ゲンナリしてしまうんです。   一応、若い恋人時代の方が「あの頃は貧しい旅行でも幸せだった」「トラブルがあっても笑い飛ばす事が出来た」と感じさせるような作りになってはいるですが、それが徹底していない。  例えば、プロポーズすら喧嘩中の勢いに任せて行っている訳であり、それは如何にもこの夫婦らしいエピソードなんだけど「結局、若い頃から喧嘩してばっかりじゃん。そんなの見せられても楽しくない」という印象を強める結果にもなっています。  早回しのギャグ演出には(流石に古臭いなぁ)とテンションが下がったし、両者とも浮気しているのに、男側はサラッと流されて、女側だけやたらと非難がましく描かれているのも、実に居心地が悪い。  最後のオチが「若い頃と同じようにパスポートを無くしてしまった夫と、それを見付けてあげる妻」というのも、ちょっと弱いんじゃないかなと思えました。   そんな年代差を感じさせる諸々に対し、普遍的な魅力を感じさせるのは、作中の台詞の数々。  「女は夢が叶うと傲慢になる」という一言には、思わず頷きたくなるものがあったし「愛してる?」と問われ「拷問中の自白は無効」と答えるやり取りなんかも、ユーモアがあって良かったですね。   交通整理の機械(?)の真似をしてみせるヒロインも、とびきり愛らしくて素敵。  ここが一番「オードリー・ヘプバーン主演だからこその魅力」を味わえた場面だったかと。  ホテルのルームサービスは高値で手が出ないからと、果物や缶詰をこっそり買い込んで来て、部屋で食べるシーンなんかも好きですね。  この映画を知っている女性と出会い、恋に落ちる事があったなら、是非とも一緒に真似してみたくなる。  そんな名場面を備えた、良い恋愛映画だったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2018-02-14 12:27:51)(良:1票)
291.  噂のモーガン夫妻 《ネタバレ》 
 お気楽な夫婦再生のラブコメ映画だとばかり思っていたもので、序盤で人が殺される展開に吃驚。   とはいえ「殺人事件を目撃してしまう」「殺し屋に命を狙われる事になる」などの緊迫した要素が揃っているわりには、ゆる~い空気で話が進むんですよね。  主人公夫妻も、発砲されて逃げ惑う破目になった割には、全くもって危機感が無い。  この辺り、ちょっとチグハグというか(殺し屋に襲われる場面では、もうちょっとシリアスな空気にして、緩急を付けても良いんじゃない?)なんて思っちゃいましたね。  あるいは、徹底的にコメディ調にして「射撃や乗馬を習い、熊とも遭遇した経験ゆえに、主人公夫妻が逞しく成長して、殺し屋を返り討ちにしてみせる」って展開にしても良かったんじゃないでしょうか。  本作は、シリアスな魅力とコメディな魅力、どちらにも振り切れず、中途半端に終わってしまった気がします。    そんな具合に、話の本筋には不満もあるんですが「田舎に住む事になった夫婦が、絆を再生させていく物語」として考えれば、そちらの方は無難に纏まっており、良かったと思います。  当初は「田舎者」ならぬ「都会者」って感じで、静か過ぎるからサイレンが恋しいだの何だの言い出す主人公夫妻に、全く感情移入出来なかったんですが、徐々に二人を温かく見守るような気持ちになってくるんですよね。  仕事人間らしく、不動産業や弁護士としての腕を活かして、田舎の人々と仲良くなっていく流れも「そう来たか」という感じだし……  ビンゴで盛り上がったり、星空に見惚れたりする姿も「初々しい恋人時代の二人に戻れたんだ」って思えて、微笑ましい。   彼らを家に住まわせる事になる保安官夫妻も、良い味を出してましたね。  自分としては、気が付けばモーガン夫妻よりも、保安官夫妻の視点になって映画を楽しんでいたくらいです。  ずっと無口だった保安官が、黙って見ていられなくなり、重い口を開いてモーガン夫妻に助言するシーンは、本作の白眉かと。   「秘書役の二人が喧嘩しつつも結ばれる」というサイドストーリーも良かったですし、ナース兼ウェイトレス兼消防署員なケリーに、歌手を目指している少女のルーシーも、可愛かったですね。  そういった脇役陣が、しっかりと主人公夫妻を支えてたという印象です。   最終的には夫婦も和解して、妊娠もしたし、予定通り養子も迎えたという、実に欲張りなハッピーエンド。  赤子を抱いて笑う妻の姿に「素晴らしい眺めだ」と呟く夫と、冒頭に繋がる留守番電話のオチも、綺麗に決まっていたと思います。   正直、面白かったとは言い難いものがあるんですが……  ゆったりした気持ちに浸れるし、何時かまた観返したくなるような、不思議な魅力のある映画でした。
[DVD(吹替)] 6点(2018-02-06 21:25:13)(良:1票)
292.  みんな私に恋をする 《ネタバレ》 
 大好きな俳優のダックス・シェパードとジョン・ヘダーの共演作という事で、これはチェックしておかねばと手に取った一本。   いざ観賞してみると、二人以外にも見知った顔が色々と出演しており、嬉しかったですね。  好きな俳優さん達が、撃たれたり殺されたりする心配も無く、平和なラブコメ映画の中で楽しそうに笑っているのだから、それだけでも、ある程度は満足。  軽快な音楽に「画面の切り替え」によるギャグ演出なども上手く決まっており、誰が見ても最低限の満足度は得られるタイプの映画じゃないかな、と思いました。   魔法によってヒロインに恋する五人組の中で、ルックスでは一番見劣りする中年禿げ親父が、中身は意外と男前というギャップも面白い。  ジョン・ヘダー演じる奇人変人マジシャンも、間違いなく一番オイシイ役どころでしたね。  彼だけが唯一特定の相手が見つからなかった為(=禿げ親父はヒロインの上司と、モデルと画家はそれぞれ同性で結ばれる事が示唆されている)ちょっと可哀想だったけど、自分としては「ハートを投げたお嬢さん」辺りと、ちゃっかり後日談で結ばれているのを期待したいです。   小さな車で渋滞をすり抜けていくシーンも、小気味良い快感がありましたし、マジックでドアを開けてみせる件なんかは「嘘っ!?」と声が漏れちゃうくらいの意外性があって、かなり好き。  魔法が解けて、四人の男達がヒロインに別れを告げる際に、恨み言は口にせず「コインのお蔭で、恋が出来て良かった」と満足気な様子だったのも、凄く良かったです。  ヒロインのせいで色々迷惑を被った形な訳だから、ちょっと女性に都合が良過ぎると感じないでもないけれど、ここは「失恋した男の恰好良さ」みたいなのも感じられるし、良い落としどころだったんじゃないかと。  ラストに皆で集まり、楽しく踊ってハッピーエンドというのも、気持ち良い終わり方でしたね。   で、不満点としては……彼氏を運命の相手と感じたキッカケが「借金を調べる間もない」という台詞なのは、ちょっと浪漫に欠けるかな、という事。  それと、個性豊かな男性陣が、それぞれペアルックやら壁画やらでアピールする様が破天荒で面白かっただけに、本命の彼氏との恋が育まれていくパートは、真面目で地味で、観ていて面白くなかったとか、その辺りが挙げられるでしょうか。  結果的に、映画の中では一番つまんなくて魅力に欠ける男をヒロインが選んだように思え、どうも二人の仲を祝福する気になれなかったんですよね。   かなり早い段階で(あぁ、この男と結ばれるんだな)と分かる作りになっている為、五人いる男性陣の中で、ヒロインは誰を選ぶのかってドキドキが全く無いのも、ちょっと勿体無い。  ポーカー云々の台詞により、チップのコインの持ち主が神父である事は大体分かるように出来ていると思うし、結婚式でも神父の言動が怪し過ぎるしで、その辺りの種明かしの仕方も下手だった気がします。  (いや、神父のコインなんだろ? もう分かってるよ……)と、観ていてじれったくなるし、最後の最後で「助手のフアン」が出てきて終わりというのも(だから何?)と思えちゃうしで、オチが弱い印象です。   後、これは自分がダックス・シェパード好きだからこそ気になる部分かも知れませんが、五人組の中で、彼が演じるモデルの扱いだけが極端に悪いというのも、如何なものかと。  他の面々は「移動する事を提案」「車を運転」「ドアを開いてみせる」と、クライマックスで活躍しているのに、彼だけ活躍しておらず、別にいなくても良かった形になっているんですよね。  「モデルやるくらいルックスが良くても、どれだけ筋肉を鍛えていても、恋愛では何の役にも立たない」というメッセージなのかも知れませんが、ちょっと受け入れ難いです。  ヒロインからも「あなたとの別れは楽」なんて言われちゃうしで、流石に可哀想。  そんな彼が、実生活では主演のクリスティン・ベルとラブラブであるという現実とのギャップを踏まえたギャグなのかも知れませんが、映画の中は映画の中で、きちんと彼にも見せ場を与えて欲しかったところです。    ……それと、これは完全に余談になってしまうのですが、現段階で投稿されているレビュワーが、日頃から(この人のレビューは面白い)と認識し、すっかり名前を憶えている二人であるという偶然にも、ちょっと吃驚。  贔屓の俳優さん達が出演している事も併せ、映画のクオリティ以上に忘れ難い、印象深い一品になりそうです。
[DVD(字幕)] 6点(2018-01-26 11:12:41)(良:2票)
293.  アップ・ザ・クリーク/激流スーパーアドベンチャー 《ネタバレ》 
 「ウハウハで行くか」「ザブーンだな」  という意味不明な会話シーンを目当てに、定期的に観返したくなる一本。   劇中の主人公達同様、この映画も「出来が良い」「優秀な作品」ってタイプではなく、むしろ「落ちこぼれの劣等生」って表現が似合いそうなくらいなんですけど……それでも何だか、憎めない魅力があるんですよね。  川下りを題材にしているという、それだけでも自分の好みだし、緩い感じのギャグが各所に散りばめられているから、リラックスして楽しむ事が出来る。   勿論、肝心の川下りシーンに迫力が無いとか「自殺した学長も一人いる」って台詞は流石に笑えないとか、欠点は幾らでもあるんですが、そんな「迫力の無さ」「出鱈目で悪趣味な設定」さえも、本作では何となく「愛嬌」に思えてくるんです。   「テンションが低い観客を盛り上げる為、ブロンド女性が胸をはだけてみせる」という、お色気ギャグなシーンも、妙に好き。  主人公達の愛犬チャックも、仕草や鳴き声が可愛くて、面白くて、良かったですね。  本作のMVPには、この犬を推したいくらいです。   そして何より、クライマックスの「爆発」→「洪水」の流れには、大いに興奮。  このシーン単体で見ると、そこまで凄いって訳じゃないかも知れないけど、それまでのボートレース描写がノンビリしていただけに、ギャップによって盛り上がる形になっているんですよね。  土壇場で逆転負けしたライバルチームが「史上最悪のボートレース!」と叫んだりするのも、下らないと思いつつ、何故だか笑っちゃう。   今回久し振りの観賞だったのですが、やっぱり結構面白かったし、また暫く経ったら、観返したくなるんでしょうね。  中々離れられない、味わい深い映画です。
[地上波(吹替)] 6点(2018-01-11 08:18:10)
294.  激流(1994) 《ネタバレ》 
 シンプルな邦題の「激流」ってのが、凄く恰好良いですね。   内容に関しても、画面に広がる雄大な自然を眺めてるだけで楽しいし「崩壊の危機にあった家族が、試練を乗り越え強く結ばれる」という王道展開も備えているしで、満足度は高いです。  一応サスペンス色も強い作りなんですが、血生臭い場面は出て来ないし、主人公一家の中から死人が出たりもしないという、安心設計。  程好い緩さの、程好い緊張感を味わえました。   旦那の命令は全く聞かないけれど、妻に命令されたらすぐに聞き入れる飼い犬の存在も、良いアクセントになっていましたね。  上述の描写は「旦那さんは仕事で忙しく、家を留守にしがち」「だからこそ、犬も旦那さんを家族として認めていない」と、さりげなく伝える効果があり、それだけでも感心していたのですが、実は終盤に掛けての伏線になっていたというんだから、もう吃驚。  共に協力し、危機を乗り越え「初めて私の言いつけ通りにしてくれたな」と、旦那さんが犬を抱き締め、喜ぶ展開に繋がってたんですよね。  「父と息子」「夫と妻」の和解は描かれるだろうと予測済みでしたが、この「主人と飼い犬」の絆に関しては予想していなかっただけに、気持ち良いサプライズ感を味わえました。   川下りの途中、釣りをする描写があるのも嬉しいし「一家は手話が使える」という設定の使い方も上手い。  メリル・ストリープも、流石の目力と存在感。  如何にも頼りなさそうな、眼鏡着用の旦那さんが、家族の為に奮起して超人的な活躍を見せちゃうというのも、観客としては応援したくなるし、良い脚本だったと思います。   そんな本作の不満点としては……やはり、ケヴィン・ベーコン演じるウェイドの扱いが挙げられるでしょうか。  勿論、良い悪役だったと思うんですけど、ちょっと勿体無い気がしたんですよね。  主人公一家の幼い息子、ロークと心を通わせる序盤の展開が好みだっただけに「結局は単なる悪人でした」というオチな事が、凄く寂しい。  ロークに拳銃の秘密をバラされた時に、傷付いた表情を浮かべたりするのが良かっただけに「悪人だが、子供には優しい」というキャラで通して欲しかったなと、つい思っちゃいます。   例えば「十徳ナイフ」の存在にしても、犯人達がそれをロークから取り上げておかないのって、凄く不自然なんですよね。  でも自分としては(ウェイドはロークが好きだから、誕生日プレゼントのナイフを取り上げるような真似はしたくないんだろう)と解釈し(十徳ナイフで危機を脱する展開を、自然にしてみせたな)と感心してたくらいなんです。  でも、クライマックスにてウェイドの本性が暴かれ「ガキも捕まえて殺せ」とか平気で言い出すもんだから(……じゃあ、あれって単に迂闊なだけかよ!)と、大いに失望。  自分の読み違いに過ぎないんですけど、それにしたってコレは落胆しちゃいました。   終盤の難所「ガントレット」を乗り越えるシーンに関しても、迫力があって良かったんですが(いや、旦那さんは陸路で先回り出来たんだから、無理して水路を選ばなくても良いのでは?)と、そこが気になっちゃうんですよね。  多分「犯人二人は、ガントレットを越える以外のルートは無いと、元仲間のフランクに騙されていた」「ローク達もそれを察し、陸路の事は口にしなかった」って事だとは思うんですが、それならそうで、もっと分かり易く説明して欲しかったです。   そもそも、登場人物達は「ガントレット」を越えた際に凄く盛り上がっている訳だけど、前提として「ガントレットを無事に越えたとしても、その後に犯人二人をどうにかしなければいけない」って課題が残っている訳だから、観客目線だと一緒に喜べないんですよね。  「犯人達と協力して難所を越えた事により、絆が芽生えて分かり合うなんて有り得ない」「勧善懲悪な結末であるべき」という真っ当な作りゆえに、映画の一番の山場で、カタルシスを得られなかったように思えます。   全体的には好みな作風ですし、家族の絆が深まるハッピーエンドなので、後味も悪くない。  それでも(最後、もうちょっと上手く着地してくれたらなぁ……)と、欲張りな気持ちを抱いてしまう。  そんな一品でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2018-01-09 08:57:29)(良:2票)
295.  イーグル・アイ 《ネタバレ》 
 面白かったはずなのに満足度は低めという、不思議な感覚が残った作品。   内容としては、コンピューターによる人類への反乱という「コロッサス」から連なる王道ネタを扱っているのですが「携帯電話の誘導に従って、窮地を乗り越えていく」というテイストを盛り込む事により、上手く独自色を出していましたね。  シャイア・ラブーフも、お得意の「事件に巻き込まれた若者」を好演していますし、嫌味なタイプの主人公なのに、しっかり感情移入させてくれる辺りなんかは、本当に凄かったです。   じゃあ何故「満足度は低め」なのかというと……まず、終盤のカタルシスに欠けるんです。  クライマックスに用意されているのは「主人公の自己犠牲によって、政府高官の暗殺を阻止してみせる」という展開な訳だけど、その前の段階で「息子を人質に取られた母親に対し、自分を撃てと諭す主人公」というシーンが、既に存在している。  つまり「自己犠牲展開」を二度やる形になっており「あの自分勝手な主人公が、他者の為に命を投げ出している」という衝撃も、二回目の場面では薄れてしまうんです。  おまけに「主人公は命を投げ出し自己犠牲を行ったけど、結局は助かった」というオチまで二連続になっている訳だから、これは流石にキツかったですね。   その他にも「絵を描く趣味がある」「息子の誕生日を憶えていない」などのネタが、大した伏線になっていないのも寂しいし、黒幕であるアリアを倒すのが主人公じゃなく、脇役の少佐と捜査官というのも、ちょっと乗り切れないものがありました。   最後はハッピーエンドである事自体は嬉しかったし「携帯電話の謎の声に、人々が導かれていく」パートは、本当に面白かったんですけどね。  特に「電車の中で、乗客の携帯電話が一斉に鳴り出し、主人公が指名手配されていると告げる」場面なんかは、かなりゾッとさせられるものがあって、忘れ難い。   色々と粗はあるけれど、何だかんだで内容を忘れた頃に再見したくなるような……そんな、不思議な魅力のある一品でした。 
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2018-01-07 19:57:50)(良:2票)
296.  Mr.ズーキーパーの婚活動物園 《ネタバレ》 
 当初ヒロインかと思われたステファニーの言動が酷過ぎる為、早い段階で(こりゃあ別の女性と結ばれるな)と読めてしまう事が難点ですね。   どうせ結ばれない、結ばれない方が良いと思ってしまうのに、作中の主人公は「ステファニーと結ばれたい」という一心で行動しているものだから、どうしても感情移入出来ないし、その恋を応援する事も出来ないという形。  同僚のケイトに頼み「ステファニーにヤキモチを妬かせる為、恋人のフリをする作戦」を敢行する辺りからは(これはケイトと結ばれるオチか)と分かり、王道なラブコメとして楽しめましたが……ちょっと尺のバランスが悪かった気がします。   冒頭でプロポーズを断られた主人公が、今度はステファニーの方からプロポーズされて、それを断る流れなどは痛快なものがあったし、冒頭と同じようにバンドが再び現れて、陽気に唄い出すのも可笑しかったしで、終盤の展開は本当に良いんですけどね。   動物園の飼育員である主人公が、人間不信のゴリラと少しずつ友情を深めていく流れも面白かったです。  ゴリラに服を着せて店に連れて行き、そこで楽しく騒いだり、腕時計をプレゼントしてみせたりする辺りなんかは、本作の白眉かと。   その他、不満点としては、ゴリラにスポットが当たり過ぎているせいか、他の動物が殆ど目立たず、主人公の恋を叶える上で活躍していないように思えちゃった事。  そして、カラスが他の動物から仲間外れにされるネタを繰り返した以上は、最後に「カラスも動物園の仲間だ」と、しっかり皆から認められるシーンが欲しかったとか、その辺りが挙げられそうですね。   エンドロールでのNG集も楽しかったんですけど「動物虐待している訳では無い」とばかりに、主人公がダチョウに乗ろうとして転ぶシーンは「CGによる合成だった」と種明かしする件があったのは、凄く残念。  自分がお気に入りだった主人公とゴリラが絡むシーンも、大半は合成だったんだろうなぁ……なんて思えてしまい、大いに白けちゃったんですよね。  そこは何というか「気付かせて欲しくなかった」という想いが強いです。   それと、原語では凄く豪華な面々が動物達の吹き替えをやっている訳だし、どうせなら「ニック・ノルティ」「アダム・サンドラー」「シルヴェスター・スタローン」の三人が、ちらっとでも出演してくれていたら、もっと面白くなったかも知れませんね。   そんな具合に、色々と気になる点もあったけど、基本的には安心して楽しめる作品でしたし、後味も悪くない。  及第点以上のラブコメ映画だったと思います。
[DVD(吹替)] 6点(2017-11-28 21:16:00)(良:1票)
297.  アップルゲイツ 《ネタバレ》 
 巨大カマキリ一家が人間に成り済まし、原子力発電所を破壊しようと画策するという、実にトンデモない映画。   とはいえ「昆虫と人類との戦い」を描いたアクション映画ではない、というのがポイントですね。  環境破壊によって住処の森を奪われ、復讐を果たす為、人間社会に潜入したはずの一家が、段々と「人間の毒」に当てられていく。  その様が皮肉たっぷりに描かれている、ブラックユーモア満載の映画なんです。   クレジットカード、酒、麻薬、同性愛、不倫と、昆虫だった頃には考えられない悪徳の類に没頭していく家族の姿が、妙にリアルで、目が離せない。  買い物中毒になってしまう奥さんの姿は、特に恐ろしくて「これは実生活で反面教師にしないとダメだ……」なんて、自らに言い聞かせちゃったくらいです。   「繭」にされた人間というビジュアルも、中々忘れ難いインパクトがありましたし、人間の姿から虫の姿へと変身する特撮も、適度にグロテスク。  虫が潰されて体液が飛び散る描写とか、目を背けたくなる場面も多いんですけど、全編がコメディタッチなせいか、不愉快というほどじゃないバランスなのも嬉しかったですね。  娘が人間の青年と交尾するシーン、それによって産み落とした卵を踏み潰されるシーンなんかも、本当に恐ろしくて、悲しくなっちゃいました。   一家の正体が露見し、さながら魔女狩りのように追い詰められていく場面では、バッドエンドも覚悟しましたが、何とか一家は無事に助かり「我々と人間は共存出来る」という結末に着地してくれた為、後味も良かったですね。  「娘とレズ関係になっていた恋人は、どうなったの?」とか「クライマックスの昆虫同士の戦いが、アッサリ決着付き過ぎ」とか、気になる点や不満点もありますけど、全体的には好印象。   意外な掘り出し物でありました。
[ビデオ(字幕)] 6点(2017-11-24 00:42:19)
298.  シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア 《ネタバレ》 
 観賞中「何故撮影者は危害を加えられないの?」「撮影者は人間じゃないの?」などの疑問が、頭の中を渦巻く事になる本作品。  一応「十字架を身に付けている」「取材対象から保護も受けている」と説明されているんですが「狼男やゾンビには十字架なんて関係ないじゃん」「撮影者も人間なら襲われているはずじゃん」といった具合に、次々と矛盾点が浮かんで来ちゃうんですよね。  それらを黙って飲み込むか、あるいは笑ってツッコんでみせるか、どちらかが出来る人じゃないと、この映画は肌に合わない気がします。   ……で、自分としてはツッコみつつ観賞するスタイルを選んだのですが、これが正解。  変に真面目ぶらず、リラックスして楽しむ事が出来ました。   比重としては「吸血鬼達の生態を捉えたモキュメンタリー映画」という以上に「若者達の同居生活を描いた青春映画」としての側面が強い内容になっているのも、嬉しいバランス。  何せ同居人同士で喧嘩する理由が「皿を使った後は自分で洗え」だったりしますからね。  そういった些細な事が原因で衝突するのは、人間も吸血鬼も変わらないんだなぁ……なんて、ほのぼのしちゃいました。   串刺し公ヴラドというビッグネームが主人公グループの中にいて、まるで「昔はやんちゃしていた」みたいなノリで「昔は憂さ晴らしに拷問していた」とインタビューで語っちゃう辺りも、ブラックだけど面白い。  こういう「若気の至り」理論で過去の悪事をサラッと語っちゃう人、結構いますからね。  架空の存在であるはずの吸血鬼が、現実の存在である人間をパロっているという図式。   「鏡に映らない」「招かれないと建物に入れない」「銀を身に着けると肌が焼ける」などの吸血鬼の弱点を、しっかりコメディ仕立てで描いている辺りも良かったです。  (こういう作風なら、そこは押さえておいてもらわないと困る)って部分を、しっかり押さえてくれているという安心感。   高い場所を掃除する時や、ビリヤードで難しい球を突いたりする時に、フワッと宙に浮いてみせて(あっ、やっぱり空を飛べるって便利だな……)と感じさせてくれるのも良い。  獲物を誘い込む為に考え抜いたファッションで夜の街に出掛けたら、ゲイに間違われちゃうオチなんかも好きですね。  前者は吸血鬼だからこそのユーモア、後者は人間の若者達でも有り得そうなユーモアって感じで、両者がバランス良く盛り込まれていたと思います。   幼い頃に吸血鬼になった女の子は、幼い姿のままなのでロリコン男を誘って血を吸うというのには(なるほど……夜遊びしている子供は少ないだろうし、大人を狙うのが正解だな)と納得させられたし、その一方で(じゃあ少年吸血鬼はどうするんだ? ショタコン男を誘うのか?)という疑問も湧いて来たりして、そんな感じでアレコレ考えさせられるのも楽しかったですね。  この辺りは、端的で不完全な描写をサラリと見せるからこその長所、空想の余地を与えてくれる世界観って感じでした。   そんな「ロリコン」がラストの伏線になっており、主人公格である吸血鬼のヴィアゴ(=見た目は好青年)が九十六歳の老婆(=見た目と年齢が同じ)と結ばれて「僕の方が四倍も年齢が上」「ロリコンって言われたって良い」と誇らしげな笑顔で語ってみせるのも(そう来たか!)と思えて楽しかったです。  ここの展開に関しては、正直ちょっと伏線が足りないというか「彼女に告白出来ずに迷っていたヴィアゴの背中を、友人が後押しする」的なシーンが欲しいという不満もあるんですが、視覚的な面白さがそれを補ってくれた気がしますね。  作中、唯一の人間の仲間としてシチュが登場する訳だけど、そんな彼が劇中で言われている通り「本当に血の気が良くて、吸血鬼目線だと凄く美味しそう」なルックスをしている辺りも、これまた説得力があって良かったです。   シチュの親友であるニックが「吸血鬼になった事」を彼に告白し「ダチの血は吸わない」と宣言してみせて、人間と吸血鬼との友情を描いている辺りも好きですね。  ここの場面が一番「青春映画」って感じがしました。   棺の中でマスターベーションする場面とか、血の嘔吐を繰り返す場面とか、微妙に感じる部分もあったし「自分も人間から吸血鬼になりたくて、下僕として彼らに尽くす女性」の扱いや顛末に関しては(本当にそれで良いの?)と思う部分もあったりして、絶賛するのは難しいんですけど「好きなタイプの作品」である事は、間違いないです。  エンドロール後には吸血鬼の特技「催眠術」によって、観客にこの映画の内容を忘れさせるというオチが付く訳だけど、そのまま素直に忘れちゃうには、少々勿体無い品でありました。
[DVD(吹替)] 6点(2017-11-14 11:45:12)(良:2票)
299.  THE 有頂天ホテル 《ネタバレ》 
 「グランド・ホテル」形式の作品である以上「出演者が有名人だらけのオールスターキャスト」である事が要求される訳ですが、その点は間違いなくクリアしていましたね。  (あっ、オダギリジョーだ)(唐沢寿明だ)といった感じに、脇役も見知った顔ばかりなのだから、実に贅沢。  大晦日を舞台としている事も併せ、お祭り映画としての楽しさが伝わってきました。   ……ただ、自分としては主人公であるはずの副支配人のエピソードが好みではなかったりして、そこは残念。  とにかくもう、見栄を張って元妻に嘘を吐く姿が痛々しくて、観ているこっちが恥ずかしくなっちゃうんです。  映画の最後を締める「おかえりなさいませ」の一言にしても、妙に滑舌が悪いもんだから(いや、これは撮り直せよ)とツッコんじゃったくらい。  この時点で「好きな映画」とは言えなくなってしまった気がします。   でも、そこは群像劇の強み。  複数の登場人物、複数のエピソードが用意されているもんだから、その中から自分好みのものを探す事が出来るようになっており、有難かったですね。  自分の場合、香取慎吾演じる「夢を諦め、故郷に帰ろうとしている青年」の憲二君がそれに該当し、このキャラクターのお蔭で、最後まで退屈せずに観賞出来た気がします。  歌手を目指していたという設定の為、終盤で絶対唄う事になるんだろうなと思っていたら、やっぱりそうなるという「お約束」「ベタさ加減」も心地良い。  ホテルの壁が薄い事が伏線になっており、彼の歌を聴いて、隣室の客が自殺を思い止まる展開になる辺りも良かったです。   演歌歌手を演じる西田敏行も魅力的だったし、そんな彼に「プロにはなるな」「君程度の歌手は五万といる」と諭され、意気消沈するも、やっぱり夢を諦め切れずに再びギターを手にする憲二君という流れも(そう来なくっちゃ!)という感じ。  かつて手放したはずのラッキーアイテムが、結局は手元に戻ってくる流れなんかも、非常に綺麗に決まっていたと思います。  そして何より、周りの人物、かつて夢を叶えられなかった人々が「夢を諦めないで」とエールを送る形になっているのも、実に素晴らしい。  ここの件だけでも(観て良かったな……)と、しみじみ感じ入りました。   そんな人々の想いと、叶わなかった夢の数々を背負って、憲二君がラストに熱唱する姿を、是非観たかったのですが……結果的には、YOU演じるチェリーさんに見せ場を奪われた形でしたね。  この辺りは「群像劇であるがゆえに、色んな人物に見せ場を用意する必要がある」という事が、マイナスに作用してしまった気がします。  最後をチェリーさんで〆るなら、もっと事前に「歌に対する彼女の想い」を描いておくべきだったと思いますし、そういった積み重ねが足りていないから、ラストに彼女が唄ってもカタルシスが無い。  逆に「歌に対する想い」が濃密に描かれていた憲二君に関しては「もう充分に見せ場を与えたから」とばかりにクライマックスで唄ってくれないので、結果的に両者ともに浮かばれない形になっているんです。  いっそ最初はチェリーさんが単独で唄い、途中から憲二君がギターを弾きつつ参加して合唱する流れにしても良かったんじゃないかと思うんですが、どうなんでしょう。   どちらかといえば、もっと長尺のテレビドラマ向きの題材じゃないか、とも思えたので、そちらのバージョンをアレコレ妄想してみるのも楽しそうです。
[DVD(邦画)] 6点(2017-11-01 09:21:43)
300.  自虐の詩 《ネタバレ》 
 良い話だし、感動もしたはずなのですが、どうも引っ掛かる部分がある一品でした。   まず、主人公の内縁の夫であるイサオに感情移入出来ないというか、同性の目からすると引いちゃうものがあるんですよね。  実質的な妻であるはずの幸江を働かせて、自分は働かない、家事もしない。  喧嘩して警察のお世話になったり、パチンコに使う金を幸江に集ったりで、あまりにも情けない男なんです。  こういった「暴力的で不器用な男」に惹かれる女性がいるのは分かるし「ああ見えて、良いところあるんだから……」という幸江の一言によって、彼女がイサオに依存している事も、分かり易く描かれてはいるんですが、ちょっと自分としては距離を感じちゃいました。  唯一「幸江を殴ったりはしない」という線引きを守っている事には感心しましたが、流石にそれだけじゃ物足りなかったです。   そんな二人の馴れ初めが、後半の回想シーンによって明かされる形になっている本作品。  「不幸な生い立ちゆえに薬物中毒の売春婦となっていた幸江を、イサオが救い出してくれた」 「だからイサオが駄目男になっても幸江は見捨てたりしない」   との事なので(良い話だなぁ……)と感じる一方(で、そんな理想の王子様みたいだったイサオが、何で駄目男になったの?)という疑問も湧いてきたりして、どうもスッキリしないんですよね。  「根っからのヤクザ気質なので、ヤクザを辞めたらまともな仕事も出来なくて恋人のヒモになってしまった」「そんな自分がやるせなくて、かつては女神のように崇拝していた幸江にも冷たくなってしまった」のだと解釈すれば、やっぱり(情けない奴だ)って感想しか出て来ないです。  イサオの代名詞であろう卓袱台返しに対しても、作中でお約束として何度も繰り返される度に「食べ物を粗末にするなよ」ってツッコんじゃったくらいなので、自分とは相性の悪いキャラクターだったのだと思います。   そんな具合に、根底の部分で肌に合わないものがあったのですが、全体的には楽しめたし、面白かったですね。  牛乳と饅頭をくれたりした新聞配達の雇い主が「悪いけど、明日から配達来なくて良いよ」と言う場面は衝撃的だったし、そういった不幸な場面が丁寧に描かれているから、観客としても、主人公には幸せになって欲しいと思わされる。  お守りの五円玉や、刻み海苔など、小道具の使い方も上手い。  熊本さんと殴り合って育まれる友情、駅での別れ、空港での再会も、ベタだけど良かったです。   「前略お母ちゃん、貴女は何故私を産んだのですか?」という冒頭の問いかけが、妊娠によって主人公の身に返って来る構成にも、ハッとさせられました。  その問いに対する答えは、やはり「幸せになりたいから」だろう。主人公も子を産む事によってハッピーエンドを迎えるはず……と思っていたら、それがちょっと違う方向に着地する辺りも、意外性があって良い。  「主人公カップルは生まれてきた子供と一緒に、幸せそうに海を眺めて終わり」 「その一方で、ラーメン屋の店主や隣人の小春さんは、不幸になる未来が示唆されている」 「結局、主人公達は結婚もしないし、イサオは真面目に働き出したとも思えないしで、子供が生まれた事以外は何も変わっていない」   という形であり、完全なハッピーエンドとは言い難いけど、主人公二人の状況は改善されたし(まぁ、これで良いのかな?)と思える、不思議なバランスだったのですよね。  恐らく「幸や不幸は、もういい」「どちらにも等しく価値がある」「人生には間違いなく意味がある」というメッセージで完結させた以上、何もかも幸福にして終わる訳にはいかない為、こんな形になったのだと思われます。  自分としては主人公カップルよりも、彼女達を支える隣人側に肩入れする気持ちがあっただけに、そこは少し残念。   主人公達が不幸を乗り越え「人生の意味」を見出せたのと同じように、店主や小春さん達も、何とか乗り越えて欲しいものです。
[DVD(邦画)] 6点(2017-10-26 22:44:21)(良:2票)
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