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「自然と人間の共生」という宮崎駿の永遠テーマを苛烈なまでに綴ったもののけ姫における悲痛なメッセージ「生きろ」を引き継ぐかのような本作でのメッセージは「懸命に生きろ」。千尋は数ある宮崎作品の主人公の中でも(ルックスも含め)最も平凡な女の子であり、それゆえにその懸命さが胸に突き刺さる。ただ、そのメッセージ、美しい映像、想像力を駆使した世界観、そして、お馴染み久石譲の印象的な音楽に酔いしれつつも、提示される多くの謎と暗喩にはどこか混乱しつつ見終わった。が、その直後、近くに座っていた子供(小学校低学年くらい)が発した一言「あー面白かった!」には愕然とした。考えてみれば童話なり昔話なり、そこでは不条理だったり非合理的だったりするのがむしろ当たり前であり、そこに疑問を持つ前にかつての自分もすんなりと入れ込めたはずなのに。今まで何のために多くの映画を見続けてきたのか。いつのまにか自分の感受性において、大切な部分がすっかり抜け落ちてしまっていたのか、との思いが込み上げるとともに本作こそ多くの童話等以上に後世まで語り継がれるべき傑作である、と確信した瞬間だった。DVDが出たら即買って何度でも繰り返し見たい。なお、千尋の声役の柊瑠美はその素人っぽさが逆にすごく良かったと思う。
【ダイ】さん 10点(2001-09-30 00:47:04)
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