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レビュー情報
皆さん、結構評価厳しいですね。個人的には大変面白く拝見させていただき真下。スピン・オフってハリウッドには多く見られるものの、日本映画では極めて珍しく、TV番組で好評を博し、その後の映画化でさらに圧倒的な支持を受けた「踊る」シリーズならばこそ実現できた企画ではないだろうか。だからと言って、決して安直さに堕することなく、むしろ本家をも凌駕するほどのスケール感と作品に対する熱気が感じられ、実にしたたかな作品に仕上がっている。見えざる敵から指名された交渉人とが頭脳ゲームを展開するという、コンセプトそのものは珍しくもないが、それを映画初主演のユースケ・サンタマリアが演ずるところに意外性の面白さがあり、本作が新鮮に感じるところ。声質が明瞭である反面、少しトボケた言葉の響きから、交渉人と言うよりも、いかにも頼りなげなサラリーマンといった彼の風情が、本作のひとつのアクセントともなり、その屈託の無い表情や演技の上手下手とは関係ないところで魅力を放つ、不思議なタレントだと言える。そういう意味ではズバリ!彼の起用は成功したと言っていいのではないだろうか。彼以外にも国村準、寺島進あるいは金田龍之介など、プロフェッショナルに徹した男をそれぞれが好演し、存在感を示している。場面場面で登場人物の表情を的確にしかもカッコ良く捉えたカメラが素晴らしく、通称“クモ”と呼ばれる実験車両の冷たく光沢を帯びたマシーンの妖しい美しさや、動と静の呼吸の間が、まるで生き物のような不気味さを感じさせて秀逸。さらには煌びやかな光に彩られたイヴの夜を俯瞰で捉えた爆発シーンや、象徴的にカラスをうまく採り入れた演出など、都会的な洗練された撮影技術が効力を発揮している。緊張の連続の中でホッとするような笑いを入れるなど、本広演出のテンポも実に心得たもので、邦画としてまずは上々の作品ではないだろうか。粗や矛盾点は探せなくも無いが、難癖をつけだすと、このテの映画は楽しめないという事も心しておく必要がありそうだ。
【ドラえもん】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-05-20 18:13:09)(良:1票)
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