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生生流転。この作品を観ていてまずその言葉を思い浮かべた。映画は、それぞれに悩みや問題を抱えながらも必要以上に踏み込まず、それらを正面切って描こうとはしない。ひたすら人々の何気ない日常が淡々と綴られ、人間の一生というものが季節の変わるが如く、ただただ静かに流れていく。この作品を支えているのは、キャスティングされた名優たちも然る事ながら、お年寄りや子供たちといった地元の人々の存在も忘れてはなるまい。そのさり気ない素朴さこそが本作の力となっているのだから。ただ、その子供たちに童謡を歌わせるという、いかにも浮世離れしたシーンや、肝心の四季の移ろいがあたかもカレンダーの風景写真的にしか感じられないのは困ったものだ。悪人などが登場するわけも無く、ドラマチックでもなく、物語性はいたって希薄。そういう意味ではいわゆる映画らしくない映画で、日頃、映画に毒されている人にとっては、少々物足らないかも知れない。劇場から一歩出たとたんに喧騒と厳しい現実社会が待っている。それ故の、これはひと時の癒しとして観るべきなのだろう。
【ドラえもん】さん 7点(2002-12-25 15:42:46)
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