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《ネタバレ》 今回の作品は、うーむ、何だか良かったなあ。というか感動した。今回の寅さんは、男女の仲としてマドンナに惚れるんじゃなくて、いわば父親的立場からの惚れ方、なんですね。ミリオンダラー・ベイビーみたいなもんですね、本作をハリウッドでリメイクするなら寅さん役はイーストウッドで決まり、ですね(何でやねん)。やはり父親にとっての娘ってのは限りなく恋愛対象に近い、あるいはそれを超える存在ですからね(←あくまで想像。何しろウチの娘はまだ0歳でちゅからね~。笑)。だから、いわば恒例である寅さんの失恋は、今回は、「娘」が他の男のもとにはしっていくという形になるわけで、何ともタマランものがあります(想像ですが。笑。←笑ってられるのも今のうち?)。ちなみにラストのお寺は、四国八十八箇所霊場の一番札所「霊山寺」ですね。一瞬、寅さんも今回ばかりはコタえて歩き遍路に挑戦するのかと思いましたが。そんなわけでともかく、父性愛がテーマのひとつにはなっているのですけども、その一方でしっかりと寅さんが稚気を発揮してくれているのが、嬉しくもあり、また切なくもあるところ。それが定時制高校のシーン。窓の外は夜、教室の明かりのもとに様々な年齢、様々な立場の人たちが集い授業を受ける独特の雰囲気のシーンだけれども、伊藤蘭を送り迎えするうちに、ついつい学校に入り浸る寅さん、やはりここにもしっかりと馴染んじゃう、このいつものノリに、ついつい苦笑。ここで、先生役の松村達雄が実にハマってる(おいちゃん役よりもピッタリ)。詩を朗読するシーンのうまさ、私も授業を受けてる気分になっちゃう。で、寅さんも仲間になりたいと思ったか、こっそり入学願書を出していたことが最後に発覚するけど、中学を卒業してない寅さんには入学資格が無いという残酷な事実(寅さんはそうとも知らず、中学中退の件を教室で楽しそうに語っていた!)、そして願書に貼られた写真の寅さんの、何とも言えないシカメッ面。本当に切ない気持ちになるシーンであります。とまあ、結構ホロリときちゃった作品なんですけども、バラエティに富んだ脇役陣、伏線を張り巡らした脚本の上手さなど、色々な面で楽しませてくれて、非常に魅力を感じた作品であります。
【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2006-08-14 00:09:34)(良:1票)
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