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《ネタバレ》 そもそも、レイ・ミランドごときがグレース・ケリーの夫だなんて、おかしいだろ、と言いたくなるのですが、心配ご無用、ちゃんと、夫婦の間はギクシャクしてます。って、何に安心してんだか。
と言う訳で、夫が代理殺人により妻を亡き者にしようとするも、事件は意外な方向へ、ってなオハナシで、だから犯人と犯行の模様は我々に明らかにされている、いわゆる倒叙モノですが、ミステリ色が濃く、その点が制約となったのかどうか。特に最初の30分くらいは会話シーンが続き、この部分がどうも説明めいた印象を与えてしまいます。 この場面では、犯行現場となる部屋の間取りや調度をじっくり描いておきたいところですが、後の展開で重要な役割を果たすアイテム(ドア、カーテン、電話など)の提示は意外に控えめ。もうちょっと印象づける描写があってもいいような気がするけど。その代わり、犯行に関与しない白手袋だのステッキだのを、レイ・ミランドは妙に強調し、これがイマイチぴんと来なくって。おそらく、彼がステッキを手放すのは、「実はステッキ無しで歩ける事を相手に示す=ここから密談が始まる」という合図、なんでしょうけど、あまり効果的な描写であるように思えません。 一方、いよいよ犯行の描写となると、これはもうお手のもの。しっかりと我々の視線を引きつけ、振り回してみせます。電話を掛ける場面ではわざわざ交換器の映像まで挿入して視覚化してみせる。一種の稚気だろうけど、見せ場の時間を引き延ばす、サスペンス上の効果も。 ミステリとして凝っている分、終盤の「謎解き」の部分はまた、少々、理屈っぽくなってしまいますが、暗い部屋で犯人を待ち構えるクライマックスなどは、スリリングに盛り上がります。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-06 10:30:09)(良:1票)
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