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本人の回想に載せて綴られる壮絶な生還記。本人が語っているんだから、生還することはわかっているんだけど、それでも映画に釘付けになってしまう、怖い、怖い、とにかく怖い! 壮絶な雪山の映像と、淡々とした語りのギャップが、強烈なリアリティを発しています。いや、雪山は壮絶なだけじゃない、時に見せる美しい表情、美しいがどこまでも「非人間的な」その表情。彼らが山頂に達したとき、背景に流れる音楽は、トーマス・タリスの「スペム・イン・アリウム」、40声部からなるこのモテットの響きもまた、聴く者を威圧する不気味なものとして、この場面に暗示的に使われているように思います。そして不安に包まれるうちに辿る下山の途、ついに、まるで定められた運命であったかのごとく、恐るべき地獄へとはまりこんでいく・・・。この映画に出てくる人たち、決してスーパーヒーローなんかじゃない。無力な生身の人間が極限状態の中、絶望の中で、ただ「生き抜こう」とする姿。あ~あ、わたしゃこういうのにホント弱いのよ。とにかく、胸が熱くなりました。というわけで、まさにこれは、映画でなければ表現できない、迫真の映像体験であります。・・・・・・・それにしてもつくづく思います、人間って、やっぱり、すごいんだねえ、本当は。
【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-12-31 18:22:46)(良:1票)
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