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確かに、この映画を撮るならば、もう一本『硫黄島からの手紙』を撮らざるを得なかったのかも知れません、こんな“苦い”映画では、製作費を回収できない恐れがあるから。しかし、それだけに、本当に撮らなければならない映画は、コチラだったのかも知れないなあ、と。すなわち、もう一本の「よりとっつきやすい映画」とセットにして、までも。『~手紙』における、やや類型的なところのある人物像。圧倒的不利な状況で敵と戦う、明確な“絶望感”。それに比べてしまうと、こちらの作品の題材はいささかビミョー、まーはっきり言ってツマラン問題、と言う風に捉えられかねないところ。しかしその「比較されるリスク」を冒してまでも二部作の一つとして作られた本作は、時間を見事に行き来する、構成の巧みさに満ちています。テーマは、硫黄島に立てられる星条旗の写真の「捏造」問題。この有名な事件を、いまさら告発するように描くのではなく、否応なく巻き込まれた当事者の苦悩として描いています。ラストの方の断片的すぎる描写は、正直、好みではないのですが、それでも、観終わっての感想としては、「テーマだけ見ると、アンチヒーローもの。だけど、この映画で描かれる、“普通の”人たちが、“普通に”運命と戦う姿を見れば、やっぱりこれはヒーロー映画なのではないか」、と。
【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 8点(2008-10-13 17:43:34)
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