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ウチの子供に「鐘の音が変だ」と突っ込まれるも(赤ちゃんの頃から寺ばかり連れて行ったからなあ)、外国の映画だからそういうものなのだと、無理に納得させて。この映画、時々挿入されるHACHIの視線のカメラが、逆に「HACHIに話しかけられる言葉が、決してHACHIには通じない」ということをかえって強調して、切ないんですね、しかしそれよりも、白眉は何と言っても、奥さんがギア様の墓参りに来るシーンだと思います。夫が亡くなってから、随分月日が流れて。町の景色も色々と変わってしまったんでしょうが(惜しむらくは、この“変化”をしっかり描いて欲しかった!)、なんとそこに、年老いて薄汚れはしたけれど「変わることなく」HACHIが居る、という、そのまさに「変わらない」ということの衝撃。人間は皆、それぞれの人生を送りおそらくは様々な転機などもあったであろうその中で、変わることなく、夫である飼い主を待つ犬。夫が亡くなってからの歳月が一気に縮まり、犬を通じて過去と直結する瞬間。このシーンは本当に感動いたしました。で、ここでちょっと複雑に感じるのはラストに付加された「実在のハチ公」についての紹介。実話であることと同時に、「今でも日本ではその場所にハチ公が銅像として立っている」ということが紹介されて、「変わらないこと」が改めて示されるのですが……当の我々日本人の感覚からすると、逆に「変わってしまった」ことを再認識してしまう訳ですね。この映画で描かれるような物語が、今の極彩色の渋谷駅で綴られることはもはやあり得ない……。またその一方、この映画に関して感慨深いのは、かつて、シッカンという犬を待ち続けるイングマル少年の物語(そして待つことをやめた時に彼は成長するのだけど)を描いたハルストレム監督が(映画館に足を運んだ私もまだ高校生で、スウェーデン映画なんて見たことも聞いたこともなかった)、二十数年後、今度は逆に、「犬の側の、待つ物語」として、我々にはあまりにも馴染みのあるハチ公を題材にした作品を、アメリカで撮ったということ。これはまあ、感慨深くはあるんですけれども、映画自体の中身とは別のオハナシ。
【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-05-06 10:36:34)
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