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《ネタバレ》 確かに、物語性のある起承転結はここには無いかも知れないし、その点は本作の弱みとも言えるもかも知れませんが、これは明らかに確信犯的なもの。事件と事件の連関をオハナシとして描くのではなく、ジョン・デリンジャーの生き様そのものを物語とする。そういう意味では散文よりも詩に近いかも知れません。そしてそこにクリスチャン・ベール演じるメルヴィン・パーヴィスの生き様、というか執念が交錯する。むしろこの作品におけるジョン・デリンジャーは、悪の自由を満喫する“民衆の敵”としての姿よりも、パーヴィス捜査官に追われ追いつめられる不自由な姿の中でこそ、その孤独さの中でこそ、光っていたようにも思います。そして、何よりも印象的なラストシーン。涙を流す女の瞳をのみ映し続けるそのシーンでは、もう女の目には現実の何も見えていない、ただ過去のみを見つめるその視線が、たまりません。
【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-06-09 12:33:10)(良:1票)
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