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スペイン内戦を素材にしたヘミングウェイの小説の映画化。内戦終結から間もない1940年に発表されたこの小説を、早速映画化し、43年に公開、ってんだから、ものすごーくタイムリー(しかも実際は、内戦が終結したというより、戦火が第2次大戦へと拡大したのがこの時代)。ということを思うと、意外におとなしい作品、という気もします。打倒ファシスト!みたいなプロパガンダ色は感じられず、ベストセラー小説をそのまんまスペクタクル映画に焼き直してみました、というノリでしょうか。細かいことは抜きで、とりあえず戦争映画だからスペクタクルです、恋愛もあります、ちゃんとスターを起用してます、どうかよろしく、と。ハードボイルドな原作に比べると、やはり映画の方はいかにも軟派な感じで、愛想のよい作風。主人公ロバート・ジョーダンから受ける印象も、「ひたすら行動の人」と言う感じではなくて、結構ベタベタな恋愛シーンを繰り広げてくれちゃったりする、人間的なオジサン。恋愛ありアクションあり、まさに娯楽作品の王道、な訳ですが。ただこの映画、原作の細かいエピソードやらセリフやらを、あまり深く考えずにバカ正直に脚本に取り入れちゃったりしていて(細かくない所はカットするくせに)、ちょっと節操が無い気もします(そのエピソードなりセリフなりが、原作においてどういう意味を持つのか、映画の中でどういう意味を持たせるのか)。もうちょっとオリジナリティを発揮しちゃったりしてもよかったんでは・・・。ところでこの作品、観ているとどうしてもクーパーとバーグマンの二人に視線が行ってしまうのですが、何しろこの二人以外は皆、顔に薄汚れたメークをして、岩肌みたいな顔の色してるもんで、まるで保護色。まるでカメレオン。二人が目立つというより、二人以外が目立たないのです。
【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-01-14 23:01:33)
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