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ここに登場する「悪」はちょっと戯画化されすぎてる印象があるし、「子供の死を願いそれを口にする親」ってのも、直球過ぎる気はします。しかし、あの、泥にまみれのたうち回る主人公の姿、絵具にまみれ自分を何とか消そうとする主人公の姿、これらのイメージは、到底他人とは思えない生々しさをもって、我々に強く迫ってきます。
本作を震災に絡めたこと、それを「あざとい」というには、あまりに園子温監督は危ない橋を渡っており、批判の矢面に立つ覚悟が感じられます。「もうちょっと被災者に気をつかった設定やセリフってもんがあるでしょう」という批判は、当然あるだろうけれど、本作はあえてそこまで踏み込んで、デフォルメされたグロテスクな世界(明日、自分の身の上に何が起こるかわからない、という意味では、我々の現実の世界も、なかなかにグロテスクなものなのかも知れない)における、ギリギリの再生と希望を描こうとする。泥だらけで傷だらけの自我の上に。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-10-19 12:44:28)(良:1票)
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