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「仇の一家へ殴り込みをかける主人公、その歩く姿の背景に流れるのは、主演俳優のヘタクソな演歌」というクライマックスシーンは、もう既視感バリバリなんですが、その主人公が高倉健ではなく菅原文太というのがミソ。
そんなんどっちだって大差無いわい、などと言うなかれ。いやここだけ見たら大差無いかもしれないけれど、やはりそこは菅原文太。そして監督が鈴木則文。血飛沫飛び交う殴り込みの激しさがある一方で、全体的にはユーモアが溢れてます。まず、ヤクザ映画でありながらも、あくまで「テキ屋」なもんで、少し寅さん路線も入ってます。寅さんよりガラが悪く、そして寅さんよりも、ヤセ我慢の世界。 興行のハナシが出てくるのは題材からしてもごもっとも、ではあるけれど、そこで全女が登場する、というのがなかなか貴重。かつて全女が不渡り出して倒産した時には「現存する日本最古のプロレス団体が倒産」とニュースで騒がれたけど、そう、何せこの映画の頃にはまだ新日も全日も無かったんだもんね。 アラカンの親分は、やっぱり見ててヘンなんですが、他の人では出せない味があります。そして桜町弘子姐さんの、こちらは掛け値なしのカッコ良さ。その他、例によって例のごとく多彩な登場人物たちが収まるべきところにピタリと収まって。お見事。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-06-14 23:04:27)
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