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《ネタバレ》 作品のテーマ、制作時期、その他のゴタゴタによって、『博士の異常な愛情』と比べられがちですが、刻一刻と迫り来るタイムリミットに向かってそれぞれがそれぞれの立場で足掻き続ける姿を克明に描いている辺りからの連想でいくと、「日本のいちばん長い日」なんかも思い出したりします(勿論、リメイク版ではない方)。
誤ってソ連への水爆投下命令を受け取った米軍爆撃機がモスクワへと向かい、米大統領ですらそれを止められない事態に。このままではソ連の報復により米ソが互いに全面核攻撃に踏み切り、いよいよ人類最終戦争が勃発するのか。 「いやいや、ソ連が報復すれば自らの破滅を招くだけだから、報復は不可能、よって何も問題なし」という謎のパラドクス。信じる気があればどんなことでも信じられるかもしれないけれど、問題は、何も信じられない、ということ。 映画は密室劇の様相を呈し、わずかな情報源といえば、壁のパネルに簡略表示される米軍機の様子と、モスクワと繋がったホットライン。 こちらが混乱しているように、電話の向こうでも混乱しているのだろうけれど、その様子は映画では直接描かれず、米大統領が感じるもどかしさを、映画を見る我々も共有することになります。 絶望的なまでにそこに横たわる不信感。相手を信じることより、相手に信じさせることの難しさ。我々は、「相手が自分を信じている」ことを、信じることができるだろうか? さらには、アメリカが米軍機を撃墜せねばならない矛盾。ソ連が米軍機を撃墜することをアメリカが支援する矛盾。平和の代償はどんどん大きくなり、ついには。 ラストに出てくる、「こんなコトは実際には起き得ません」風のテロップ、これをここで出さなきゃならないということ自体に、かえって不安を感じてしまったり。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 9点(2021-09-11 13:41:26)(良:2票)
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