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冒頭から、一人の男が銀行強盗を企んでいるらしい様子が描かれます。
スタンドの光の中、拳銃の準備をする彼。並べられた七つの銃弾。この銃弾によって、何人かの人の命が奪われるかも知れない。犯人の男のこれまでの何十年かの人生が犯行によって大きな岐路を迎えるだけではなく、犯行で何人かの命が奪われれば、その人数分だけの何十年かの人生がそこで途絶えてしまう。 という訳で、決行の日に向かって、犯人の様子に加えて、後に犯行の犠牲となる人びとの姿や人となりが並行して描かれる、という、なかなか異色の映画。 例えばチャンバラ映画の中で主人公に斬られる「敵の手下ども」なんて、まさに斬られてナンボ、斬られるためだけに存在し、彼らの人生なんて映画の中では意味を持たない。映画の中で死ぬ「巻き添えを食う通行人」なんてのも、それに近くって、時には、残された者の涙くらいは描かれるとしても、大抵、本人の人生などそこには無い。それがお約束。 しかし実際の世界はそうではなく、事件の主役であろうと脇役であろうと、人それぞれが自分の人生においては主役であり、自分の物語を紡いでいる。それをちゃんと描いたらどうなるか? そんな作品です。 あとには虚しさしか残らない。そんな作品。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-04-10 12:53:59)
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