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スペクタクル映画の帝王=ジョージ・ケネディと、2時間ドラマの女王=丘みつ子の顔が1本の映画で両方拝めるという、奇跡のような映画。他のキャストも、ロバート・ヴォーン、ヘンリー・シルヴァなど、実にセコい、じゃなかった、ツボをついた顔ぶれ。それはさておき、人類の滅亡をテーマとした本作、ミイラ化した死体が点々とし、人類がいなくなった後も、何事もなかったかのように静かに佇む大地、その圧倒的な孤独感が胸を打ちます。病原体の蔓延により、世界各地がパニックになり、南極にいた人々が地球上に残される。映画冒頭のタイトルからもう哀し気で、まるでエンドタイトルを見ているような気分。日本の昭和基地にも「戦国自衛隊員」をはじめとした若干名がいたが(角川春樹もちゃっかり生き残ってるゾ)、しかし彼らには、故国で、世界で、何が起きているのか判らない。迫真の暴風の描写と相まって、絶望感が伝わります。一方日本ではパニックに見舞われる人々の姿。ココの描写が映画全体に対して半端で弱く、別にあってもなくても、という気はします(出番の多くない医師役に緒形拳を起用しているのは、少しでも印象を強めようという事なのかも知れないけど)が、多少ムダな描写でも個人的には歓迎(理由は後述)。しかし、生き残ったアキラちゃんが多岐川裕美に発見されるシーンはサスガに変ですね、アキラちゃんのウソ泣きぶり(えーんえーんママは?えーん)。そして何故か飛び乗るモーターボート、この映像にはつい、つげ義春『ねじ式』のラストを思い出してしまいます。さて、米政府の苦悩などを交えつつストーリーは進みますが(詳細略)、終盤で意外な展開、ここで女性達が南極を離れるために砕氷船に乗り込むシーンが実に印象的で、船に近付くボートからのカメラ視線が演出するゾクゾクする臨場感。さらにはラストでまたまた映画の様相は一変し、草刈正雄の世界秘境の旅へと。荒っぽい展開の映画だけど、これだけ様々なシーンを、曲がりなりにも必然性をもって詰め込んでくれると、お腹いっぱい、実に充実感があります。ボリュームに欠ける上述のパニック描写や、昭和基地隊員の存在が後半完全に無視されるなどのせいで、散漫な印象はありますが、逆にこれらの雑然とした感じの徹底ぶりがここではスケール感にまで昇華されており、見応えアリ。そしてラストの草刈正雄はホントにかっこいい。本気で憧れちゃう。
【鱗歌】さん 8点(2004-12-29 10:15:18)
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