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海外で賞を取ったからと言って、その映画がとりわけ優れているとは限らない。海外で受け入れられたということは、単なる普遍性の表れに過ぎないのかもしれないのだから。作品の作り手が、ほんとうに自己の内なる声に忠実に、自分が信じ目指したその究極の到達点と、国際的な評価とが、一致するとは限らないから・・・・・・。例えばこの映画。あまりにも日本人にお馴染みの怪談世界(なんつーかその、子供時代に本やらテレビ番組の怪談モノでビビリまくってきた、一種のトラウマですね)、我々にとってはツーカーの世界であるがゆえに、「例えばその、説明ゼリフみたいなのは、もうちっと切り詰められるんでねいのかい」とか思える場面もあったりするわけで(このヘンが、怪談に触れても一人でトイレに行ける、大人の貫禄ですな。笑)。しかしこういうコトを気にしだすともうキリがない。“普遍性”なのか“冗長”なのか?いやそもそも、「曖昧さ」に対する、単なる個人的な嗜好の問題なのか?日本的なものが西洋で受け入れられることの無気味さ、一種の西洋コンプレックスに過ぎないのか?こんな昔に、こんな映画が西洋で賞賛されたことをどう受け止めていいのか判らず、私は右往左往するしかない。ただ、少なくとも、ある種の普遍性が確かにこの映画にはある(文化を超えると共に時代も超えている。幻惑される主人公を現代の「IT長者」置き換えても良い。なんちゃって)。その最小公倍数的?最大公約数的?な要素が、心地よさでもあり、同時にその反動としての後ろめたさでもあったりする・・・・・・。ひとまずよそう。とにかくこの映像だ。濃密であると同時に、何か、天からの解剖学的な視点ともいうべきものが感じられ、人間のあさましさを浮き彫りにする。実に実に充実した鑑賞時間を(イヤでも)過ごさせてもらえる映画だ。
【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2007-08-17 17:47:01)
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