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冒頭のクダラナイ会話の場面、さしずめ「さてこれら登場人物の中に、本作の監督さんがいます、さて誰でしょう」ってな感じですが、この中の誰が主役で誰が脇役なのか、がポイントだったりします。主役と思った人物が退場して脇役と思った人物が幅をきかせたり、時間を自由に行き来することで脇役を中心に持ってきてみたり。そのコンセプトを明確なセクション分けで見せつけた『パルプ・フィクション』よりも、行き当たりばったり風の(実際は勿論計算ずくだろうけど)本作の方が、その点、さらにスリリングです。まず、やってきたのは、H・カイテルとS・ブシェミ、あと瀕死の男、約一名。H・カイテルとS・ブシェミのやりとりが軽妙につづられ、やがて二人は互いに銃を突きつけ合い、ああ次のショットでカメラが引くだろうと思った瞬間、やっぱりカメラがスッと引いて二人の姿をとらえるのだけど、それにとどまらずカメラはさらに引いて、そこにやってきたM・マドセンの姿をとらえる、という趣向。主役が脇役、脇役が主役、映画の中心がどこにあるのかを我々に掴ませず、それでもちゃんとある一点に収束していく。その無類の面白さ。
【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-01-25 23:00:10)(良:1票)
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