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あわや一触即発となった場を収めるため、心ならずも高倉健をタコ殴りにしてしまう池部良。この展開がすでに「勧進帳」を想起させ、やるせないものがあるのだけど、後で池部良が頭を下げれば高倉健はさらに深く頭を下げる、まさに礼儀人情思いやりの倍返し。ラストの殴り込みは、ヤクザもカタギもない、二人だけの世界。そして彼ら取り巻く人々、フジ純子はともかくとしても(笑)、(あと、真田広之少年の初々しさはともかくとしても)、一宿一飯の義理から鉄砲玉を買って出ようとする弟分の松、義理の息子の帰宅を、知らないふりでそっと見守っていた義母など、「無私」と「瘦せガマン」の美学に満ち溢れた、哀しきユートピアがここにあります。無情にもすべてを断ちきるような終わり方にも、絶大な余韻あり。
【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 10点(2013-11-04 10:58:04)
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