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前作に続き、御前様の死(?)をひたすら隠し続けるレギュラー達。笠智衆の他界によって、もやは御前様は登場しないのだが、会話の中で御前様の健在を示唆し続ける。ここで、本作で気になってしまうのが、もはや寅さんまでもが「会話中の人物」になりかけている事。寅さんの喧嘩や家出は、劇中で描かれることなく、他の登場人物の会話の中で描写されるのみ。映画における満男の存在がますます大きくなり、寅さんの影が薄くなっていく。このままあと10作くらいシリーズが続いたら、渥美清が一度も画面に登場することなく、人々の会話の中だけで寅さんが語られる映画になってしまいそう。今回の寅さんは、満男に対し商売の極意を伝授するシーンで、往年の勢いの片鱗をわずかに見せてくれるが、この場面でも、周囲が無闇に寅さんの話術について感心するのが、腫れ物にさわるようで、逆に湿っぽい感じがする。ああ、寅さんもすでに「伝説上の人物」なのか。神の領域なのか。映画から、御前様が去り、寅さんが去り、その他のメンバーも去り、やがて記念すべきシリーズ100本目に登場するのは、満男とサンペーちゃんだけ・・・。
【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2007-01-24 22:41:17)
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