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《ネタバレ》 一体これはサスペンス映画なのか不条理映画なのか。標的の知事さんの取り巻きの主要人物から警備係まで全て暗殺計画に関わっているのだから、自分たちで殺せば簡単な話なのに、空港で適当に選んだ男(ディップ)の子供を人質に男に暗殺を強要するなんていうのは、どう考えても現実的とは思えないし、その必然性の説明がされていない。オズワルドのJFK暗殺(彼はでっち上げられたダミーだったという噂がもっぱら)にヒントを得たのかもしれないが、オズワルドは事前に暗殺者らしく見えるように反政府活動などの前歴を周到に用意してあったのであり、そこらで拾ってきた一般市民とはわけが違う。もともと彼をダミーにするだけならば、わざわざディップを連れて来て、反って彼に振りまわされていらいいらするよりも、現場にいる人間を適当にダミーに仕立てればすんだはず。さらに知事暗殺に失敗して頭に来たウォーケンがよせばいいのに、腹立ちまぎれに人質の子供を殺しにやってきて、ディップに撃ち殺されてしまうのもスリルを感じるより間が抜けている。ラストで黒幕の男が一人悠然とリムジンでホテルを去るシーンでサスペンスの余韻を残そうとしたのかもしれないけども、夫が捕まってディップにも目撃されてしまっているわけだから、このまま逃げおおせるわけでもなし。知事が夫を疑い出してから、ラストのクライマックスに至るまでは結構スリリングで楽しめたのだから、前半のいい加減な筋立てが非常に残念な作品と言える。
【キムリン】さん 4点(2003-08-09 14:11:31)
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