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優しく包み込むようなメロディーと共に、一枚の羽がフワフワと舞い落ちるセンスの良いオープニングシーンからしてヤラレてしまう。トム・ハンクス演じるフォレスト・ガンプという、ちょっと頭は弱いが人間の愛というものを知り尽くしている男の数奇な半生を綴った物語。懐かしい数々のヒットナンバーをバックに激動のアメリカ現代史を絡めて展開させており、監督ロバート・ゼメキスのドラマチックで丁寧な演出が冴えに冴える。(原作はウィンストン・グルームで脚本はリック・ロス) また、アラン・シルヴェストリの抑揚のある音楽が感動を盛り上げ、時には涙腺を緩める。フォレストの純粋で無欲な行動があれよあれよと成功を収めるが、本人にしてみればどうでも良いことで、頭にあるのは常に愛する人への思いといつしか昔のように愛する人と一緒に時を過ごしたいだけ。その彼と対照的なのがジェニー(ロビン・ライト)の自分を見失い落ちぶれゆく半生であり、ダン隊長(ゲイリー・シニーズ)の神をも呪いたくなるベトナム戦争の後遺症であろう。とくにジェニーの生まれ育った家屋に向け狂ったように石を投げ付けるシーンは非常に印象的であり、あたかもこの家屋が自分のすべてを狂わし、自分なんか生まれて来なければ良かったとでも言いたげだ。そして神様に見離される者もいれば、時を経て神様と仲直りする者もいる。心温まるファンタジーでもあり、現代人に向けた寓話でもある。アカデミー賞総ざらいも納得の本作に、文句なしの10点満点。
【光りやまねこ】さん 10点(2003-08-10 21:57:03)(良:1票)
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