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凄まじい描写力。強烈な作品だった。麻袋に押し込められた日本兵ら二人を預かることになってしまった村人の困惑、という切り口からして興味をそそられる。しかも、たっぷりとユーモアを利かした独特な演出で、観客を飽きさせずストーリーを展開させてゆく。やがて暗雲垂れこめ、修羅場と化すクライマックスへとつながる。本作では主役をも兼ねたチアン・ウェン監督。当時の日本軍を歪曲せずリアルに捉えており、日本人キャストの持ち味をもうまく引き出している。この人、監督としての手腕振りは確かだし、日本の文化についてもかなり詳しいのではないだろうか。《ネタバレ》ラスト、あの心優しい主人公マーが狂乱の行動をとる。鬼が来た!、というかまさに鬼が乗り移った瞬間を描いている。本作では言葉の壁も取り上げてはいるが、やはり“戦争”という二文字が、日本人や中国人に関係なく人間を狂気の行動に走らせる、と言いたかったのではないだろうか。つまり、鬼とは“戦争”により引き起こされる狂気のことを指すのであろう。主人公の狂乱の行動をも含め、本作をどう受けとめるかは観客の置かれた立場と考え方次第ではないだろうか。日本人なら必見の、問題作には違いない。
【光りやまねこ】さん 9点(2004-01-20 21:40:47)
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