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《ネタバレ》 原作も背景も日本ですが、キリスト教迫害時代の宣教師目線の物語なので、主人公がハリウッドスターです。この場合へんてこりんな日本と、片言の日本語を喋る日系アメリカ人が日本人役で出てきたりしても、まあしょうがないかと諦めることに慣れてしまっているのですが、その点においては全く心配することなく、むしろ日本の俳優さんたちが素晴らしく、日本人としてちょっと嬉しく思いました。物語の内容と同じく、完全アウェーな宣教師になっていました。
島原の乱と踏み絵の事しか知らない無知で無宗教の私などにとって、カトリック教徒の遠藤周作とスコセッシ監督が語る、宣教師と切支丹とそれを取り締まる幕府の役人の事を考える良い機会になりました。それは間違いなく諸外国からの侵略を恐れての一方的な宗教弾圧であり、悲惨な場面もたくさんありましたが、「なぜ神はここまで私たちを苦しめるのか」をキーワードに、神と信仰心についてまで考えることになります。キリスト教の教え「唯一神」つまり神は一人である、という考えと、「神」とは信じる心があってこそ、その一人一人の心にそれぞれ宿るものという、より日本的(仏教的)な考え方。どっちだっていいし、それは人によっても国によっても違う。それに気づいた事こそ、神を理解したという事なのでした。原作にはないラストシーンとの事ですが、スコセッシ監督の解釈であり、エンターテイメントとしても分かりやすくなっていて、良かったと思います。 【ちゃか】さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-11-01 18:03:22)
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