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《ネタバレ》 日本では『SFやモンスターものといったジャンル映画は受けないから(ホラーは例外?)、宣伝でもそういうキーワードは使わない』と聞いたことがあります。この映画も、表立ったキャッチコピーは「このミステリーがすごい!大賞受賞!」というものだけ。映画ファンからすればあまり気分の良いものでありませんが、この映画は、そういう邦画(宣伝)業界の環境を逆手にとって見事にジャンル映画の楽しさをブチ込んだ作品だな、と思います。主演2人のラブストーリーに加え、「センシング」という、他人の意識下に潜り込む機械によって、色々な垣根が取っ払われてるわけですね。「意識の中ならどうにでもなる」「意識の共有による副作用」というオールオッケー☆な状況だから、幽霊が出ようが恐竜が出ようが、「アタシ、そういうのパス」ってな客でもハードルを上げずに観ることができるんじゃないでしょうか。ある意味だまし討ちだネ。
ちゃんと視覚的にも楽しめる映画で、「意識下」のマンションは、まるで迷路のようで悪夢的だし、「一体どこに連れて行かれるのだろう」とハラハラしました。まさかの恐竜出現には大興奮。映像の完成度も高くて驚きです。「ジュラパ」でさえ水棲の首長竜は映像化されていなかったので、お得感もモリモリ。 ただひとつ気になったのは、主人公2人が抱える「罪悪感」について。2人は過去の過ちを延々と悔いてますが、口では「自分が悪かった」と言っておきながら、態度は「自分以外の周りが悪い」という風に見えちゃうんです。罪悪感の元であるモリオ君は、実際にはとっくの昔に死んでいるのに、2人の中ではいつまでも追いかけてくる恐怖の存在。「こんなに反省してるんだから、もういい加減に許してちょーだい!」って感じで、自分が納得するかしないかしか考えてなさそう。社会的にどう落とし前を付けるかは感心なさそうなんですね。モリオ君が死んだのは自業自得な面もあるとは言え、死んだ後も2人の意識の中で「自分たちを許してくれない厄介者」として生き続けなかればならなかったと思うと、そっちのほうが不憫だなあと思っちゃいました。 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-06-09 11:44:43)
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