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《ネタバレ》 「夫は去った。自分の死期は近い。集まる妹夫婦、娘一家たち。久しぶりに会ったからって、仲のいい家族ごっこなんかしない。徹底的にぶち壊してやる!」
と、強い決意を持ってメリル・ストリープ演ずるヴァイオレットが「家族」をぶち壊していくストーリーでした。多分に他の家族たちの自爆部分もありましたが。 しかし、そこまでぶち壊さなければならないほど、彼女は家族たちが許せなかったのでしょうか。 「もっと認められ尊敬され尊重され愛されたかった」という狂おしいほどの願望と「それらはひとかけらも手に入らなかった」絶望、「自分が望んだようには何一つ育ってくれなかった娘たち」への失望、「自分をひそかに裏切っていた夫と妹」とのパワーゲーム、老いに蝕まれ癌に侵され「自分の人生のストーリーに何一つ満足できない」虚無感が、彼女を狂気に近いほど攻撃的にさせたのでしょうか。 しかしあそこまでモンスター級に描いてしまうと(演じられてしまうと)、観る側はみな「あんな母親のいる家からはそりゃ誰だって逃げ出したいよ」と思うだろう。 次女のアイビーは逃げ出せなかったが…あの後、自殺でもしなければいいのだが。たぶん彼女はそこまで弱くはないけれど(腐ってもヴァイオレットの娘だ)、けれど長女のバーバラほどには強くはない。 あの絶望的なラスト、一人ぼっちのバーバラは、やがて年老いた時、ヴァイオレットになってしまうのかもしれない。たぶん、それほど彼女も強い。ヴァイオレットから引き継いだその強さが、自分の家庭を壊してしまったのだから。きっと、バーバラが自覚しているその恐れが、ラストで自分自身を母親から引き離したのだと思う。 いや、離れた方がいいです。醜い自我むき出しの野生の手負いのケモノみたいな危険な人。同情も憐憫もわきゃしません。怖いでしょ、あんな人間。 この作品は映画としてどうなのか、と思ったのですが、戯曲の映画化だったのですね。それで色々納得いきましたが、評価が難しいですね。 映画向きではない脚本だったと思います。が、役者たちの熱演・怪演を評価してこの点数で。 【りりらっち】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-02-06 23:50:16)(良:1票)
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