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こんな都合よく話が進むわけないべ、と思いつつも不愉快さはなかった。それはやっぱり主人公のバート・マンローさんの人柄によるところが大きいと思う。
とにかくキャラクターが魅力的。こういう自分のやりたいことが明確で、その実現のために周囲を振り回す人物はとんでもない中華思想の持ち主だったりするのが普通だけど、この爺さんは親切にされればきちんとお礼が言える。そして他人の好意は素直に受け取る。全く初対面の相手に心を開かせるだけのユーモアと包容力も持っている。 何より優しい。モーテルの受付嬢が「私、ヤローなの」とカミングアウトしても「これだけいい子ならどっちだっていいさ」。別れ際には「女の子にしか見えないのになぁ」なんてセリフを嫌味なく言ってのける。俺だってリアルで遭遇したら、この人のために何かしてやりたいって気になると思う。実話ということで関係者には申し訳ないけど、ストーリーは割とありふれたものだった。それでも最後まで嫌になることなく観れて、素直に観てよかったなぁと思えたのは、主人公がバート・マンローだったから…だと思う。 アンソニー・ホプキンスの凄さを再確認させられた。レクター博士のインパクトが強すぎたので心配していたけど、開始10分で不吉なイメージは吹っ飛んでしまった。レクターにしろバートにしろ、若者が恐れ入ってしまうような老人特有の「気品」みたいなものは共通していると思うし、それを演じることに関してこの人は超一級だと思う。いい映画だった。 【池田屋DIY】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-11-24 21:24:50)(良:1票)
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