出口のない海 の たいほう さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > テ行
 > 出口のない海
 > たいほうさんのレビュー
出口のない海 の たいほう さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 出口のない海
製作国
上映時間121分
劇場公開日 2006-09-16
ジャンルドラマ,戦争もの,スポーツもの,青春もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 50年前に観た新東宝映画「人間魚雷回天」とかなり似た構成や結末ですが,大戦後これだけ時間が経過しているのに多くの協力があったためか丁寧な作りになっています。潜水艦にはちゃんと当時のレーダーアンテナもついているし。でも艦内の照明が蛍光灯みたいで少し変でした。学徒出陣の光景は当時のニュースを用いているのは制作費の制約でしょうか?試合のシーンも含めてこのあたりには制作費の制約が大きかったようです。当時の明大野球部学生(大下弘の先輩ですね)の学生街の喫茶店での集まりや,多分近郊に在住の官吏と思われる一家の生活にはまだ緊迫感が少なかったところから志願して海軍に入るあたりには召集を受けて陸軍に入隊する庶民とは少し違ったものがあったようです。そのためにいわゆる初年兵への「しごき」のような場面は抜きで,それでも周囲の流れや誇りから特攻要員に志願するに至るところ,戦局についての知識は一般の人達よりも冷静に把握していて,その無意味さを知りながら,それでも意味を見出せずにいられないところが悲壮と言うか悲しいものがあります。勤労動員により女学生たちが部品を手作りで仕上げる人間魚雷は,それ故に信頼性が低くなる(当時の魚雷は最高の精密兵器でした)のは至極当然のことであり,そのようなシステムを特攻や軍神の美名で粉飾し,勝利はおろか打開への見通しも無くなった戦争を無為に継続させ,その場の責任逃れのためだけに自殺兵器を作らせ自らは生き延びた人々に対して,その兵器とそれによって死んでいったひとのことを語り継がせるために死ぬのだとの主人公に言わせたかった映画でしょう。
たいほうさん [映画館(邦画)] 7点(2006-09-27 21:45:02)(良:1票)
たいほう さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2014-01-14バトルシップ(2012)6レビュー5.77点
2014-01-08ゼロ・グラビティ7レビュー7.63点
2013-11-10春の夢(1960)8レビュー8.00点
2013-07-23風立ちぬ(2013)6レビュー6.53点
2012-11-08ワイルド76レビュー5.70点
2012-10-23ガントレット6レビュー5.86点
2012-07-16アンドロメダ・・・7レビュー6.98点
2012-02-15戦う翼7レビュー6.20点
2012-02-15連合艦隊6レビュー6.47点
2012-01-01聯合艦隊司令長官 山本五十六―太平洋戦争70年目の真実―7レビュー6.02点
出口のない海のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS