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《ネタバレ》 公開直後は散々な言われ方をされた映画である。
「これはウルトラQじゃなく怪奇大作戦だ」 「ナギラはいったいなんだったんだ。」 等々。 そもそも企画の推移の中に「金子監督や河崎実監督を起用して、オムニバスのウルトラQを」というのがあったから、一般ウルトラファンはそれを期待してしまったであろう(ちなみにこの企画自体は年月を経て、テレビ「ウルトラQダークファンタジー」に帰結する。) しかしこの作品は、一部のウルトラファンには大きな思い入れがあるのだ。 80年代初頭、実相寺監督と脚本の佐々木守が企画した「ウルトラマン 怪獣聖書」と言う作品が、ATGで企画されていた。その内容は鮮烈にして繊細で、かつメッセージ性とダイナミズムに溢れた傑作であったが、やはりATGとウルトラマンというのはソリが合わなかったのだろう、企画は流れてしまった。 その「ウルトラマン 怪獣聖書」を換骨奪胎したのが本作だったのだ。 当時企画断念に至った経緯を知った者の、本作への思い入れは大きく、そしてまた期待を裏切らない出来であった。 実相寺式ナルシズムや映像美への偏り、物語の歯切れの悪さや怪獣の扱い等で、評価を悪くされる方も多いかもしれない・ ただ「ウルトラQ」という存在の本質(何かのバランスが崩れ、そこで社会の裏面に隔離されていた真実が顔を覗かせる)を思うとき、この作品が「ウルトラQを唯一無比代表する映画」なのではなく、2004年に放映された「ウルトラQダークファンタジー」等と併せて観れば、その意義や存在感がまた見えてくるのではないかと提唱しておく。 【柿木坂 護】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-07-30 10:24:48)
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