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《ネタバレ》 事前に「東京物語へのオマージュ」という趣旨の触れ込みを聞いていたので、どういう作品なんだろうと思って観たのですが、セリフ等も含めて、かなり忠実なリメイクでした。ただ、家族構成は忠実ではなく、『東京物語』に、山田の監督作『息子』の永瀬正敏を妻夫木に置き換えて組み込んだ感じになっています。作品全体としても、『東京物語』に『息子』を折衷した印象が強いです。その分、オリジナル版で、実の子供たち役との対比で極めて重要な役柄だった原節子の役(本作では蒼井)の持っていたへヴィさが無くなり、作品としては少しポップになった気がします。
作品は、『東京物語』を見たことがある人・ない人では印象が分かれそうな気がします。『東京物語』のコアなテーマは、そのまま受け継いでいると思いますし、『東京物語』の持つ美しさ、そして残酷さを現代に蘇らせていると思います。本作では、小津のカメラワーク等の“形式美”は御挨拶程度になぞっているだけで、山田の作品へと消化していると思います。ただ出演者の方では、無茶苦茶オリジナル作品の影響を受けている演技のように思いました(むしろ意図的にそうしているんでしょうが)。この点は『東京物語』を未見の方が本作を見たら、少し異様に感じるかもしれません。 リメイク作品ですし、円熟の山田作品だけに、過去の作品と比べると目新しさはありません。中途半端に感じる部分もあります。どうせリメイクするなら思い切った冒険があっても面白かったのかもしれません。が、小津へのオマージュ作品としてはある程度成功していると思います。このタイミングでリメイクした意味は大いにあったように思います。 【hayakawadotcom】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-01-31 02:49:12)
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