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登下校の何気ないひと時、遠い昔の記憶は、いつも奇跡のように思い出される。
それは、全校生徒が数人しかいない田舎の小中学校に通っていなくても、誰しもが持つ経験だと思う。 この映画は、単純に田舎の純朴さや雰囲気の良さを描いているのではなくて、そういったすべての人が持ち得る「遠い記憶」の何にも代え難い「価値」を描いていると思った。 主人公の中学生たちは、決して人間として完成なんてされていない。当たり前だ、中学生なのだから。 そんな彼らが、まわりの人間や自分自身の言動によって、喜び、傷つく。 全編通して、それほど大きな事件が起こるわけではない。むしろ「何もない映画」と言えるかもしれない。 しかし、日々の生活の中のたった“一言”が、彼らに生活の中では大事件であり、心は大きく揺れ動く。 きっとそれは誰しもが経験し、成長とともに徐々に薄れていく感受性なのだろう。 でもそれは全く無くなってしまうわけではなくて、それぞれの人間の奥の方に、ずうっと残り続ける。 そんな感覚をそっと思い起こさせる映画だった。 【鉄腕麗人】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-09-05 08:54:02)
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