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これ、ほんと面白かったです。自分ってこんなの好きなんだなーってつくづく思ってしまいました。もちろん、映画を創る上で、CGを駆使したり、ワイヤーを利用したり、早回しを使ったり、もしくはスタントマンなどを使うことは全然邪道だとは思いません。ですから、これらを禁じ手としたという事実自体は、この映画を評価する上で全く考慮する必要はないと思います。ただ、小津が「俯瞰」や「移動」を自らの禁じ手としたように、作家の個性とは、自らに禁じ手を多く課せば課すほど明確になってくるものではないでしょうか。あるいはルビッチが猥褻表現の規制をかわすために独特のユーモア表現を生み出したように、作家性とは自由からではなく、むしろ不自由さの中から滲み出てくる個性のようなものでしょう。クラシカルな映画において巧みな映像表現が数多くみられるのも、今ほど映像技術が発達していなかった「恩恵」であるという見方も可能でしょう。そう考えると、幸か不幸か、この映画には強引に課せられたこの不自由さが存在していて、明らかに他のアクション映画とは違った個性を映像にもたらすという効用を生んでいます。個人的にお気に入りなのがカーチェイスのシーケンスです。この生々しさは、まさに不自由さの「恩恵」。スローモーションはちょっとわざとらしいのですが、観たことも無い「新鮮」なアクションシーンはまさに圧巻です。ただ、このトニー・ジャーという男。コメディーのセンスが。。。。ない!プロットがプロットだけにこの路線で行くならどうしてもコメディーセンスは必要でしょう。そうでないときっと「飽き」という、作家として最大の難敵にぶち当たるような気がしてなりません。
【スロウボート】さん 7点(2004-09-20 18:04:10)(良:4票)
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