死刑執行人もまた死す の スロウボート さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > シ行
 > 死刑執行人もまた死す
 > スロウボートさんのレビュー
死刑執行人もまた死す の スロウボート さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 死刑執行人もまた死す
製作国
上映時間134分
劇場公開日 1987-12-19
ジャンルドラマ,サスペンス,戦争もの,モノクロ映画
レビュー情報
《ネタバレ》 マーシャをかばった花屋の老婆が地下室で息を引き取るカット。鉄格子が作り出す長い影の向こうに浮かび上がるやつれた容姿。全編にわたって光と影、そして白と黒のコントラストを効かせた映像が印象的。プロットも秀逸で、前半はややしつこさがあるものの、後半の大胆な編集によるスピード感は圧倒的。一気にテンポアップしていきます。レジスタンスの地下組織でナチのスパイとして活動するチャカ。ゲシュタポそのものではなく、この卑怯千万な裏切り者を陥れて行くという展開が実に面白いです。このあたりはまさに第一級のサスペンス映画。戦争はどうしても集団という群れの中で生きることを人に強いるもの。単独で生き抜いて行くことを容易には許しません。ゲシュタポが生まれれば、レジスタンスが生み出され、一つの組織がもう一つの組織を作り出す。人々はこの組織の一員と成らざるを得ず、結局のところはその動向、形勢によって振り回されることになります。ゲシュタポとレジスタンス。この二つの組織のどちらからもはじき出されたチャカの悲劇はとても興味深いです。卑怯千万な彼の死は自業自得。しかし、徹底的におとしめられた彼の死は、「群衆」の恐ろしさをまざまざと感じさせます。反ナチス映画としてとらえればいいのでしょうが、市民の結束によって果たされたこの復讐劇にも、やはり非人間的なものを感じてしまいます。裁かれることなく撃ち殺されるチャカの死は決して民主的な解決にはなっておらず、まだまだこうした戦いは繰り返される、つまりNot TheEndということなのでしょうか。
スロウボートさん 7点(2004-03-18 20:37:26)(良:4票)
スロウボート さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2005-01-28御誂治郎吉格子7レビュー7.00点
2005-01-19落第はしたけれど8レビュー7.50点
2004-12-26下妻物語5レビュー7.33点
2004-12-25大人の見る絵本 生れてはみたけれど9レビュー7.66点
2004-12-14最後の人10レビュー7.62点
2004-11-29ゴッドファーザー PART Ⅱ8レビュー8.35点
2004-11-21いま、会いにゆきます8レビュー7.47点
2004-10-30ショーシャンクの空に8レビュー8.66点
2004-10-11死刑台のエレベーター(1958)8レビュー6.64点
2004-10-03ヴァン・ヘルシング2レビュー5.43点
死刑執行人もまた死すのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS