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とんでもない映画です。こんな映画は空前にして、間違いなく絶後でしょう。ユニバーサルの『フランケンシュタイン』に負けじと製作されたと、何処かのパンフで読んだことがありますが、それにしても世界中からオーディションしたほんとの奇形者を多数登場させ、しかもそれを宣伝にするとは、現在では絶対考えられないことです。最初に観たのは随分前になりますが、印象に残るのは2回目に観た時のこと。阪神大震災の時、ボランティアで神戸へ行った帰りでした。大阪で終電がなくなり、たった一人でお金もあまり持ち合わせていなかった為、梅田の映画館で一夜を過ごすことにした時のことです。『フリークス』として上映されていたのが、この映画でした。2回目なのでストーリーは覚えていましたが、これほどまでに恐ろしい映像体験は今までにしたことがなく、恐らくは今後もないのではと思われるほど緊張したのを覚えています。震災の跡をみた後という精神状態もあったのでしょうが、全くの見知らぬ土地で、しかも深夜の映画館でひとりぼっちという状況は、あきれるほど異様な臨場感となって、胸が痛くなったのを覚えています。映画の鑑賞にはちょっとした孤独感が必要なこと、映画を観る行為そのものがそもそも孤独なことであること、さらに、映画が、楽しい時、悲しい時、寂しい時、などのその時の状況でいろいろな表情をみせるものであること、こんなことを改めて考えさせられました。作品のレビューになっていなくて恐縮ですが、ストーリーに関係なく、すべての人にお勧めできる映画ではもちろんありません。点数という評価も難しいのですが、個人的な思い入れでいいのなら満点です。ただ、奇形者がかなり積極的に映画製作に参加している事実もあり、見せ物として発展してきた、映画のひとつの歴史がここにあるということは言えると思います。
【スロウボート】さん 10点(2004-01-16 01:11:08)(良:1票)
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