娼年 の TANTO さんのクチコミ・感想

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娼年 の TANTO さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 娼年
製作国
上映時間119分
劇場公開日 2018-04-06
ジャンルドラマ,小説の映画化,エロティック
レビュー情報
《ネタバレ》  [娼婦」ならぬ「娼夫」。たいていの場合は体であるが、それを含めて自らを商売道具として売る一人の男性の話。
 
 まず個人的には、不特定多数の女性それぞれと真剣に向き合ってかつ、その場限りの関係で終えられるという感覚が私には理解し難かった。単純に、自分は一人の女性のことばかり考え、良くも悪くもその人以外のことに目が向かなくなる性格だからということもあるだろう。相手の女性に囚われずに、ある意味「器用に」女性の相手ができるこの森中領という人物に、宇宙人かな、と感じるくらい距離を覚えた。

 「女なんてつまらない」「セックスなんて手順の決まったただの運動」という領に、仕事を通して女性の多様さや深さを教えようとする静香。少し考えたことは、少々言葉が悪いが、この話は単に一般的な風俗で男が女を買う、というのを入れ替えただけなんだろうか、それとも女が男を買うとなったときにそこに込められる意味も変わってくるんだろうか、ということが気になってきた。私の感覚では、女性が相手を求める感覚も男性が相手を求める感覚も、そんなに違いはないと思っている。男性のほうがあからさまで直接的な場合が多いので、ことさら単純・シンプルと思われがちであろうが、それこそこの物語の森中領くんのような複雑さや深さを持った男性もいるだろう。逆に、男よりあからさまに性を求める女性だっているだろう。そういう意味では「女性は~」という言い回しは私にはさして響かなかった。ただ私自身は男性であり、「異性としての女性」はやはり特別な存在で、その中でも特定の女性には自分の身を半分以上持っていかれるような想いを抱いている。そのように一般的な意味の上での「女性」と私にとっての「女性」では見方が変わるので一概には言えないが、女性だろうが男性だろうがある程度の年齢を生きてきて複雑でも深くもない人間なんていないだろう、というのが私の感想だ。領と東くんの絡みでもあったように、男同士の同性でも感じるものがあってああいうことに発展する場合もある。そういうものも描くあたり、別に「女性」一本槍で押してくる映画でもないんだなと少しほっとした。

 「子どもの頃から大人の女性が大好きで、だから歳を重ねた女性がどうしてそのことを罪のように感じるのかがわからない」

 この台詞が心に残りました。私はそこまで相手が何歳でも良いとまでは言いませんが、結局その人に魅力を感じるかどうかが大事だと思っています。それ次第では自分より年下を好きになることもあるかも知れないし、その逆も充分あり得るだろう。ただやはり限界はあって、いくら年下でも高校生や中学生にはそんな感情は湧いたりしないし、それは彼ら彼女らはまだ子どもで、自分自身の判断能力も未熟なうちにそんなことをするべきではないと少なくとも私が考えているからだ。私はそうだが、果たしてこの領くんがどこまでそういったことを許容できるのかが知りたいと思った。一般的な美的感覚で言うところの造形が良くない女性であったり、体形が崩れた女性に対しても同じようにできるのか、汚い話ですが排尿はOKでも排便は?など、彼の限界値がどこにあるかが少し気になりました。色々考察する機会をくれるいい映画だと思います。
TANTOさん [インターネット(邦画)] 8点(2022-09-21 20:56:34)
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