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流れに逆らうようですが、微妙な作品だと思います。 自分も、エンドロールはおろか、明かりがついても劇場の椅子からしばらく立ち上がれなかったのは確かですが、それは、ストーリーの物理的な「重さ」から来たもので、「感動の波に飲まれて立ち上がれなかった。」ってのとは少し違う気がしました。 「あとは各自で処理するように。」と言って渡された大きな漬物石を抱えて、しばし茫然自失としたという感じです。 映画の終わり方としては,反則技に近いかも知れません。 肝心のボクシングのシーンはかなりお座成りで、イーストウッドのトレーナーとしての手腕や、ヒラリーのボクサーとしての圧倒的な強さに説得力のないまま簡単に成り上がってしまうので、その部分で一喜一憂する面白味がありませんでした。 話の顛末から鑑みて、前半の「生」の輝きをもっともっと眩しく描くべきだったんじゃないかと思いました。 ストーリーにメリハリが足りなかった気がします。 更に、ジムの連中を含め登場人物のほとんどが捨て駒で、モーガンの役どころにしてもどこか中途半端で、ストーリーの中での確固たる存在理由が希薄だった気がします。 主人公二人のラブストーリーという側面もありますが、はじめは断っていたトレーナーを結局引き受けた心情の変化が曖昧だったりして、クッキリとした輪郭が見えて来ません。 命の尊厳についてもひとつの答えが提示されているものの、悲壮感のある安いメロドラマ以上のパッションは感じませんでした。 良く言えば、泥臭くて不完全な人間臭いドラマと言えるかも知れないけれど、個人的には「傑作」とは言いにくいです。
【Beretta】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-06-14 03:52:04)(良:2票)
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