HANA-BI の 夢の中 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ハ行
 > HANA-BI
 > 夢の中さんのレビュー
HANA-BI の 夢の中 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 HANA-BI
製作国
上映時間103分
劇場公開日 1998-01-24
ジャンルドラマ,ラブストーリー,犯罪もの,刑事もの,バイオレンス,ロードムービー
レビュー情報
「HANA-BI」は確実にゴダールの「気狂いピエロ」に影響を受けている。
所々与えられた絵画群、青い海と空、暴力、犯罪、銃、愛。夫婦の死までも共通している。
しかしタケシはゴダールの様に映画の中にソレとわかる詩を唱えない。
映画中に現れる絵画にも存在する理由を与える。
照れがあるからであって、また、それを隠す為に暴力やギャグを利用する。
コレが彼特有の表現手段になっているのは明確であり、日常の経験論からのアプローチである。
いわば詩というインテリジェンスで叙情的な手段を使わず、むしろ逆の方向からゴダールと同じテーマを描いてみせたのだ。
凄い、タケシ。
ゴダールの様な巨大な芸術精神に彼なりの表現手段で並んでみせた。驚かされる。ゴダールがこの作品を誉めたのもうなずける。

「菊次郎の夏」でもタケシは「優しさ」を暴力やギャグの中にまぎれ込ませて表現した。
「HANA-BI」の中ではどうだろう。暴力の中に見出せる愛。そんなのは駄目だと意識は反発したがるのだが、理屈を超えた説得力を以って納得させる。
タケシの心は大きい。

しかし、タケシにとって、もはや表現手段として暴力を利用する事は楽な道の選択に思える。
次の課題は新しい表現手段を見出す事ではないのだろうか。
既に評価されている形に固執しない度胸と新しさを追及する力を彼は持っている。
タケシが新しいタケシへと展開するコトを期待をするのは、あながち的外れではない。

さて、現実のタケシは次の自分に対してどういった挑戦をしているのだろうか。
さあ次のタケシの作品を観なければなるまい。

しかし、困ってしまうのは、映画監督としてのタケシに対するリスペクトが深まる毎に、
ブラウン管の中のタケシにまで憧憬が増してしまう。彼にとっては不本意らしいのだが。
夢の中さん 10点(2004-03-06 03:03:06)
夢の中 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2008-04-13フライトプラン4レビュー5.02点
2008-01-17パンズ・ラビリンス8レビュー6.95点
2007-01-15プラダを着た悪魔8レビュー6.68点
2005-10-17ロスト・イン・トランスレーション9レビュー5.79点
2005-10-04Mr.&Mrs. スミス7レビュー5.99点
2005-09-18ニュー・シネマ・パラダイス8レビュー8.38点
2005-09-16チャーリーとチョコレート工場9レビュー6.50点
2004-07-31下妻物語8レビュー7.33点
2004-07-31コール3レビュー4.86点
2004-07-31リベリオン9レビュー6.40点
HANA-BIのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS