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《ネタバレ》 脚本家の頭の中に潜む3つの声。1.ヒットさせたい! 2.オリジナリティある本物を! そして、3.にじみ出る自分の暗部は隠したい! これを双子の脚本家、そして記者オーリアンに託し、脚本家(もっといえばクリエーター)のあるべき姿を探究した作品。つまり、コーエン兄弟の『バートン・フィンク』、クローネンバーグの『裸のランチ』と同じテーマを扱っているのである。これら2作と一線を画すために、チャーリー・カウフマンは自らを主人公に据え、メタとして構築。これによって自分の暗部を隠そうとしたがるクリエーターへの皮肉を強調しえた。さすが天才といえる発想である。しかし、だ。やはり本作に決定的に欠けるのは観客の視点。創作に携わっていない観客にも楽しみを見つけられるよう、もっとストーリーテリングには力を注ぐべきだったのではないだろうか? 後半の展開はいくらなんでも陳腐すぎるだろう。マッキーの影響を受けハリウッドシステムを取り入れ展開が陳腐になったという設定もわかる。自分の暗部を隠したがるオーリアンと全てさらけ出すチャーリーの対比のための展開であることもわかる。だが、全体として面白みを見いだせないのも確かなのだ。いくら志が高くても、観客を楽しませられない物は商品としては成立しないことが図らずも立証されたのが最大の皮肉なのかもしれない。
【恭人】さん 4点(2004-05-05 15:38:12)
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